通路も商品とダンボールに占拠され、売り場はまるで迷路のジャングル状態になった。
泥棒市場は18坪の店舗だったので、その狭い空間の中にとりあえず全ての商品を詰め込みました。
ただし箱を積み上げるだけでは「何を売っているのか?」がわからないので、ダンボールに小窓を開けて、商品を説明した手書きPOPを貼りまくったそうです。
これが後のドン・キホーテ名物「圧縮陳列」と「POP洪水」の原型になったと語っています。
一般的な小売業は「見やすく、取りやすく、買いやすく」がセオリーですか、まさに逆張りですよねw
ナイトマーケットこそ、日本の流通業界に残された最後の大金鉱脈である。
一般的な小売業は、夜の20時~22時ぐらいで商売をやめてしまいますが、「夜の経済(ナイトマーケット)」には大きな可能性があると読み、早い段階から深夜営業に乗り出していたそうです。
従来の流通、販売、マーケティングの成功法則が必ずしも正解ではない。
泥棒市場は、流通業界の”非常識”を詰め込んだようなお店でしたが、それでも18坪のお店で年商2億円、粗利益1億円以上のビジネスモデルに成長させることができました。
このようなビジネスモデルが出来上がった背景には、教科書通りのマーケティングノウハウを学んでいたというバックボーンもあったはずです。
つまり教科書通りのマーケティングにアンチテーゼを突きつけることによって、イノベーションへと繋げることができたのだと思います。
ビジネスパーソンはすべからくマーケティングを勉強すべきだと思っているので、「名著」と呼ばれる本ぐらいは読んでおきましょう!
商人にとって究極の能力は「お客様が本当に望んでいるものは何かを敏感に感じ取り、それを正確に、しかも素早く仕入れ、陳列に反映させること」ではないだろうか。
この名言は、様々な経験をした安田隆夫がたどり着いた”商売の答え”だと言えます。
なんとなく当たり前の言葉に感じますが、実は「実践することがとても難しい」と言われています。
これは商売の基本なので必ず覚えておきましょう!
リーダーでは、営業マンがトラックに目いっぱい商品を詰め込み、全国を巡回販売するという従来のスタイルではなく、電話でFAXによる営業に変えた。
泥棒市場(小売業)で成功した安田隆夫は、商売の限界を感じて、バッタ商品を卸売りするビジネス「屋号:リーダー」に鞍替えします。
そのビジネスには競合がいたのですが、同業他社が行っていた非合理的な営業スタイルに逆張りすることにしました。
- 電話とFAXを駆使した営業
- 配送は業者へ委託
- 集金は専門の人間を雇う
このような三権分立ビジネスを確立したのです。
革新的な方法によって設立数年で年商50億円という『関東最大級の現金問屋』に成長させたそうです。
あの蠱惑的(こわくてき)なナイトマーケットを、なんとかもう一度、自分の手で大輪の花に咲かせてみたかった。
バッタ卸売のリーダーでも大成功した安田隆夫ですが、どうしても「もう一度、小売業に参入したい!」という想いが強くなったそうです。
毎月、何千万もの利益が出るリーダーの資金を元手に、ドン・キホーテの設立へと動いたのです。
絶対に人の真似をせず、独自の道を突き進むぞ…、そうした強い自戒の念を込めたのである。
これは「ドン・キホーテ」という店名した由来です。
ご存知の通り、スペインの文豪「セルバンテス」が書いた小説の主人公がドン・キホーテなのですが、その人物像をオマージュしたそうです。
定番商品を主体に、教科書通りにきちんと整理整頓された店や売り場に、「買い物の面白さ」は決してない。
安田隆夫は従業員に「見にくく、取りにくく、買いにくい店を作れ」と指示していました。
しかし『小売業の非常識』とも言える指示を従業員が理解できるわけもなく、最初の頃ドン・キホーテは大赤字を垂れ流したそうです。
「もうダメだ、やめよう」と思ったことも一度や二度ではない。
ドン・キホーテは2024年現在で2兆円の時価総額を誇る大企業へと成長しましたが、やはり創業当時はかなり苦労したようです。
順風満帆、綺麗にビジネスすることは不可能なので、泥水をすすりながら頑張りましょう!
悩みに悩んだ末、最終的に私を教えるのをやめた。
ドン・キホーテ名物の「圧縮陳列」や「POP洪水」などを従業員に教えても、全く理解してもらえず悩んだそうですが、最終的には教えるのをやめて、「全て自分でやらせた」そうです。
それも一部ではなく『全部を任せる』という大胆な決断をしました。
従業員ごとに担当売り場を決めて、仕入れから陳列、値付け、販売まで全て「好きにやれ」と丸投げしたのです。
しかも従業員ごとに専用の預金通帳を作って、それで商売をさせる「個人商店主システム」という権限委譲システムを創造したのです。
このシステムにした結果、バッタ卸のリーダーが販売した商品だと知らずに、それを他社から再仕入れする大馬鹿者も出てきたそうですが、それでも安田隆夫は何一つ口出ししなかったそうです。
これは京セラ創業者である稲盛和夫が考案した「アメーバ経営」と似ているので、詳しく知りたい人は下の記事をご覧ください。