
代理店制度には様々な仕組みがありますが、その中でも有名なのは「一次代理店」という仕組みでしょう。
しかし一次代理店と似ている「二次代理店」や「三次代理店」という言葉もあるので、慣れない人は混乱してしまうかもしれません。
そこで今回は、仕組みが複雑と言われる代理店制度について解説していきたいと思います。
代理店の種類にも触れていくので、これから代理店展開する経営者や、代理店担当者の方はぜひご覧ください。
目次
代理店制度の仕組みとは?
代理店制度とは、外部の販売パートナーを活用して販路拡大を目指す営業戦略のことを言います。
販路拡大に協力してくれる外部パートナーは個人・法人を問いませんが、ビジネスモデルによっては「法人限定」「エリア限定」などの制限が加わるケースもあります。
この辺りは代理店展開を仕掛ける本部(メーカー)に委ねられますが、出来る限り幅広い代理店が獲得できる仕組みにした方が良いでしょう。
肝心の代理店制度を構築するやり方には、自力で構築するやり方と、外部のコンサルタントに依頼する方法の2種類がありますが、ほとんどのケースで”自力で構築する”やり方が選択されています。
しかしここに落とし穴があるので注意しましょう。
代理店展開は一度動き出すと、もう二度と止めることができません。
止める時は代理店施策から撤退する時だけなのです。
コンサルタントフィーをケチって自前で代理店制度を構築したばかりに、代理店制度に抜け穴ができて、結果的に仕組みが崩壊してしまうのは良く聞く話です。
そのようなケースを過去に何件も目にしてきました。
なので、代理店募集をする前に、しっかり抜け目のない代理店制度を構築する必要があると思います。
外部コンサルタントに依頼するとコンサルティングフィーが発生しますが、それはある意味で”保険”だと思って支払った方が無難だと思います。
実際に外部コンサルタントを使うかどうかは自由ですが、これまで多くの失敗を見てきた経験者から言わせてもらうと、本当に保険のような意味合いでコンサルタントを雇った方が無難だと思います。
逆説的に言ってしまえば、外部のコンサルタントを雇えないような企業(=予算がない本部)は、代理店展開するべきではないのです。
代理店の種類をご紹介
代理店制度には様々な種類がありますが、ここではメジャーな代理店制度をご紹介しておきたいと思います。
ぜひ代理店制度を構築するヒントにしてください。
販売代理店
代理店と言えば、やっぱり販売代理店ですよね。
一般的に「代理店」といえばこの仕組みを指すことが多く、見込み顧客探し~顧客フォローまで行う、いわゆる販社の役割を担っている代理店です。
全ての営業活動を任せられるので、代理店本部にとっては非常に頼りがいのある販売パートナーである反面、裏切られた時のインパクトが最も大きい代理店とも言えます。
この辺りは諸刃の剣とも言えますが、メーカーは有力な販売代理店の顔色を窺いながら事業展開をしなければいけないのです。
紹介店
名前の通り「見込顧客を紹介するだけ」を業務内容にした代理店制度です。
最近では「リファラル営業」と呼ばれるケースも多く、それを支援するリファラル営業サイトも出てきました。
業務内容がとても簡単なので、ビジネスの現場では幅広く活用されているスキームで、個人の副業やサイドビジネスにも紹介店は最適だと思います。
アイデア次第で様々な活用方法があるのが紹介店の魅力でしょう。
特約店
本部と特別な契約を交わした代理店のことを「特約店」と呼んでいます。
もちろん仕組みは代理店制度の一種なのですが、特別な条件を提示されているケースがほとんどなので、一般的な代理店よりも優遇するイメージです。
それによって代理店は恩恵を受けられますが、その反面重いノルマが課せられるなどデメリットもあると言われています。
一次代理店
一次代理店は、メーカー(代理店本部)をピラミッドの頂点と考えた場合、その直下にくる代理店のことを指します。
一次代理店を活用するシーンとは、ある程度規模の大きい販社が出てきたケースだと思います。
例えば、日清食品はチキンラーメンを流通させるために三菱商事や伊藤忠商事などを一次代理店に指定しました。
これは三菱商事や伊藤忠商事が一次代理店として手を挙げてくれたからなのですが、このような優良企業が参画してくれた場合、一次代理店にすることで製品価値が上がったり、ビジネスに箔がついたりするのです。
つまり、一次代理店という仕組みを機能させるためには、「製品・サービスが極めて優秀である」という前提が必要なのです。
総代理店
傘下代理店の取りまとめ役として任命された代理店のことを「総代理店」と呼んでいます。
この仕組みは代理店本部(メーカー)が製品開発に専念したいケースなどで活用されている代理店制度です。
これはあくまでも一般論ですが、総代理店には代理店開拓の権利や、全ての営業権が付与されるので、営業活動全てをアウトソーシングしたい時にぴったりだと思います。
しかし総代理店は慎重に選ぶべきだと思います。
営業力の強い代理店であることはもちろんですが、信頼関係が強い個人・法人を総代理店にしなければ、後々トラブルになるでしょう。
なぜかといえば、商材の販売量が総代理店に一任されたのと同義になってしまうからです。
総代理店の動き方次第で、自社の売上が大きく変動する仕組みになるので、これはもはや一心同体のビジネスパートナーだと言えます。
エリア代理店
ある特定の地域だけを担当する代理店のことを「エリア代理店」と呼んでいます。
例えば「東京都のエリア代理店」「千葉県のエリア代理店」など、営業できるエリアごとに権利を付与し、そのエリアを統括してもらうのです。
一般的には需要と供給に基づいてエリア分けされるので、基本的には47都道府県で分けて、需要の多い東京都だけは23区で分ける、などの方法がとられたりしています。
そして需要の多いエリアは権利金(又は加盟金)が高く、需要の少ないエリアは権利金が低いというやり方が一般的です。
エリア代理店に指定する相手は、基本的にそのエリアに定住している人が理想的です。
エリア代理店を47都道府県に設置できれば、全国対応が可能になるので、ビジネスの提供範囲が一気に広がるはずです。
一次代理店を活用するメリット
ここから一次代理店にフォーカスしていきたいと思います。
一次代理店を活用するメリットはたくさんありますが、逆に言ってしまえば「メリットがあるから企業は代理店展開する」と考えて良いでしょう。
メリット①:営業活動をアウトソーシングできる
先ほども少し触れましたが、一次代理店を活用することで、メーカーは開発業務に専念することができます。
営業活動は企業経営の根幹と言える部分ですが、それだけにタスクボリュームが大きいのです。
それを十分に実施していくためには、営業マネージャーを雇用して、営業部を組織して、営業フローを仕組み化しなければいけません。
もちろんセールスに慣れている人であれば難しい話ではありませんが、これまで営業をやったことがない事務職や研究職にとっては、とてもハードルが高い話になってきます。
そんな時に一次代理店が便利なのです。
セールスに強みを持った個人・法人と提携することで、苦手意識のある営業活動を全般的にアウトソーシングすることができます。
これによって自分たちが本来やるべき資金調達や研究開発に専念できたりするのです。
メリット②:販売量が増加する
なんと言っても、代理店展開するメリットは売上増加でしょう。
これは一次代理店を活用する場合でも変わりません。
むしろ一次代理店、二次代理店、三次代理店…、という仕組みにしたほうが、販路拡大に繋がっていくので、それに伴い販売量も増加していくはずです。
代理店網を全国に広げれば、販売代理店がセールスしてくれるので、必然的に見込顧客との接点が増えていきます。
すると売上にも反映されていき、売上増加が期待できるのです。
基本的にはこのロジックが適用される為、代理店数に比例して売上が増加していくことになります。
メリット➂:販路拡大ができる
販路拡大の本質とは、これまでと異なる新しい販売チャネルを確立することです。
例えば、これまで訪問販売だけをやっていた場合、テレマーケティングに強みのある代理店を作れば、「訪問販売×テレマ」という販売手法が確立できます。
このように、これまで無かった新しい販売チャネルを作ることで、顧客との接点が増えていくので、人海戦術が最大化されていきます。
また同じ訪問販売のスキームでも、自社がカバーしきれていない地方都市に強みを持った代理店を獲得すれば、地方への販路拡大になります。
この販路拡大は代理店展開する上でのメリットだと言えるので、極力最大化するように努めましょう。
メリット④:固定費が増えない
これは経営者にとって大きなメリットだと思います。
代理店展開とは、平たく言えば「営業人員を増やす施策」となりますが、決して人件費が増えることはありません。
一般的に営業スタッフを採用すると、その分の人件費が上がりますよね。
それは当たり前の話ですが、代理店に固定費(基本給など)は支払わないので、コストアップする心配がありません。
例えば営業マンを30人抱えている代理店を開拓したとします。
自社で30人の営業マンを採用しようとすれば、月間1,000万円、年間1億円を超える人件費が必要になりますが、代理店展開の場合にはこの人件費がゼロになります。
これだけでも経営者にとっては魅力的に映るはずです。
一次代理店の業務内容
一次代理店を開拓する場合、「どこまでの仕事を任せるか?」というのは重要なポイントだと思います。
後々トラブルにならないように、あらかじめ一次代理店へ委託する仕事内容を考えておくべきでしょう。
ここでは一般的な一次代理店の業務内容をご紹介していきたいと思います。
二次代理店の開拓
一次代理店において、最も重要なのが新規代理店の開拓業務です。
一次代理店がいるということは、二次代理店、三次代理店…、というピラミッド構造になっているはずなので、まずは二次代理店を開拓しなければいけません。
これを怠るといつまで経っても販路拡大へ繋がらないので、代理店展開が失敗する可能性すら出てきます。
なので、一次代理店には開拓ノルマを課すなど、色々工夫すべきだと思います。
新規顧客の開拓
これは一次代理店に委託する場合と、そうでない場合とがあります。
一次代理店に依頼するのは「二次代理店の開拓」のみで、新規顧客の開拓は依頼しないという選択肢もあるからです。
新規顧客を開拓すると、お客様との契約手続きをしたり、フォローアップ業務が増えてくるので、直販営業部隊と同じような動きになってきます。
これは代理店開拓(パートナーセールス)と違った動き方になるので、全く別の営業組織を構築しなければいけません。
管理業務も増えていくため、それを嫌う場合には代理店開拓だけに専念させた方が良いでしょう。
傘下代理店の研修
一次代理店が開拓した傘下代理店に対して、研修を実施する業務です。
研修内容は様々ですが、基本的には製品研修、営業研修などがメインになるでしょう。
製品研修は代理店本部(メーカー)に依頼して、営業研修だけを巻き取るケースもあります。
ここで気づく人は多いですが、一次代理店が営業研修をする場合、セールスノウハウを持っていなければいけないのです。
つまり先ほど、新規顧客の開拓について触れましたが、一次代理店もある程度の新規開拓を経験していないと、二次代理店にやり方を伝えることができないのです。
そういった意味では、一次代理店に登録する要件として「新規顧客●件以上」とか「新規顧客の売り上げ●万円以上」という制限を設けても良いと思います。
本部(メーカー)とのコミュニケーション
一次代理店を設置した場合には、基本的に二次代理店と本部であるメーカーが直接コミュニケーションすることはありません。
すべて一次代理店を経由したコミュニケーションになっていくので、一次代理店の力量が問われてきます。
なので、絶対に重視すべきことは、一次代理店とのコミュニケーションでストレスを感じないことでしょう。
不足している部分は後々直してもらえばいいのですが、根本的な部分(社内体制や誠実さなど)でストレスを感じるようでは、後々トラブルになってしまいます。
もし一次代理店を選定する場合には、この辺りを重視した方が良いと思います。
業務報告書の提出
業務報告書(レポート)の提出も一次代理店の業務内容です。
一次代理店には営業活動を任せてしまうので、現在の進捗状況や達成率など、委託した仕事がどうなっているかを適時把握すべきでしょう。
もし共有を面倒に感じるのであれば、クラウド型のシステムを導入したり、管理画面を開発することもオススメです。
まずは簡易的にGoogleドライブを使うのも良いでしょう。
とにかく代理店開拓が第一優先で、業務報告書は二の次なので、できるだけ手間のかからない仕組みを目指しましょう。
まとめ
ここまで一次代理店の業務内容や仕組みについて触れてきましたが、一次代理店制度はあまり表に情報が出てこないので、仕組みづくりに四苦八苦するはずです。
知り合いの会社にアドバイスを求めたところで、それは”儲かる仕組み”なので、きっと秘密を教えてくれることはないでしょう。
なので、もし不安があるようであれば、代理店制度の構築コンサルティングを依頼するのもアリだと思います。
とにかく冒頭でお伝えした通り、代理店展開は一度走り出したらやめられません。
もう後戻りできないので、「これで完璧だ!」といえるような仕組みを抜かりなく準備しましょう。
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