
あなたは”マイナス思考”ですか?
こう聞かれてドキッとする人は8割にも上ります。そんなにマイナスイメージを持って生活している人は多いんですね。
そこで今回は、ネガティブ思考を克服するコツについて解説していきたいと思います。
概要
マイナス思考になる原因とは?
なんでも物事を悪い方向に考えてしまう”マイナス思考”は多くの場合、過去の経験に原因があると考えています。
これはフロイトやユングなどの心理学的な観点では「原因論」と呼ばれる考え方です。
例えば、育った環境が悪かったという場合、幼少期に親や友人から自分のことについて否定ばかりされて育ってきた為に自分のことを過小評価したり、挑戦を恐れるようになってしまったというのは良くある話だと思います。
逆に過剰なまでの期待を背負わされてしまい、「その期待に応えなければ…」と努力する過程で失敗体験を繰り返した為に、マイナス思考が定着してしまったというパターンもあります。
ネガティブになる原因は様々
ネガティブになっていまう原因は様々です。
例えば、
- 恋愛で手ひどく振られてしまった
- 仕事で大きな失敗をしてしまった
- 受験の結果落選してしまった
といった失敗によるトラウマもマイナス思考になってしまう原因のひとつです。
それまでポジティブな考え方を持っていた人が急にネガティブ思考を持つようになってしまった場合は、直近でトラウマになってしまうような体験をしてしまった可能性もあります。
適切な対処法を講じて過去の大きな失敗経験を振り払うことでプラス思考に再び転じることもあれば、後々まで尾を引きずってマイナス思考が定着してしまうこともあるので、トラウマの克服が「マイナス思考からの脱却を果たすための鍵」と言っても過言ではないでしょう。
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マイナス思考は疲れる
過度のマイナス思考は日常生活にも影響してくるので、とても疲れてしまいますよね。
「自分はどうせ駄目な人間だ」とネガティブな自己評価を行い続けていると、仕事に対するモチベーションが低下してしまったり、失敗を繰り返す原因にもなり得ます。
そして、失敗体験を繰り返すことで余計に思考がネガティブになってしまうという負のスパイラルに陥っていきます。
一度この状態になってしまうと、自分一人で脱却することはとても困難でしょう。
ネガティブ思考は伝染する
マイナス思考を重ねることで友達や家族、会社の同僚など周囲の思考や人間関係に悪影響が及ぶことについても注意すべきです。
自分一人がマイナス思考であるのはまだ良い方ですが、ネガティブ思考は周りに伝染していきます。
そういった観点では、ネガティブシンキングは感染症のような感覚もあります。
例えば、友達や同僚の考え方に合わず、イライラしてしまって、相手と衝突したとします。
考え方の相違が起こるのは仕方ないことですが、これを起因とする意見対立によって、人間関係の崩壊を招く危険性も否定できません。
マイナス思考は行動すること自体に恐怖を覚えるだけに留まらず、人間関係の摩擦や失敗の繰り返しによるストレスが蓄積していきます。
このような状態が続くことは極めて危険な状況です。
そうなってくると、
- よく泣く
- 口数が少なくなる
- 喜怒哀楽が無くなる
などうつ病の前兆が表れ始めます。
こうなってしまうと、精神内科での治療が必要になることもあります。
マイナス思考を続けすぎてしまうと、ここまで悪影響が及ぼされる可能性があるので注意が必要です。
マイナス思考の特徴
マイナス思考な人は思考に柔軟性がなく、自分の考えにこだわってしまう傾向にあります。
例えば、SNS上のやり取りの返事が短かったり、返事がすぐに来なかったりすると「この人は自分を嫌っているのではないか?」という考えに囚われてしまったりします。
実際は「忙しくて丁寧に返信する余裕がなかっただけ」だと思いますが、マイナス思考に陥ると視野が狭くなるので固定概念が先行してしまいます。
自己評価の低さが原因で人に頼れなくなったり、他人と自分を比較して自虐的になることもマイナス思考の人に現れる傾向だと言えます。
この結果、チャンスを逃してしまったり、自分の長所に気付かず、自分自身を認めることができなくなってしまいます。
こうして自分のネガティブな部分にとらわれてしまった結果、「どうせ自分なんて…」とネガティブなことしか言わない人になってしまうのです。
また、前述した通りネガティブな言動は周囲にも悪影響を及ぼします。
類は友を呼ぶという言葉がありますが、マイナス思考が強すぎる人の周囲にもマイナス思考にとらわれている人が集まりやすい傾向があります。
他人と比較して自分を卑下してしまったり、プラス思考の人といるとより自分のマイナス面が際立って見えてしまうため、彼らにとってはマイナス思考の人同士で付き合う方が楽に思えるからです。
「マイナス思考」にもメリットがある!?
過度のマイナス思考は「自分や周囲に悪影響を与えてしまう」ことについては前述した通りですが、実は適度なマイナス思考はメリットをもたらすケースがあります。
例えば、マイナス思考は裏を返せば「物事のリスクや問題に目が行きやすい」という慎重派の立場をとります。
すなわち、これらのリスクや問題を予め解消したり、回避したりする危機管理能力が非常に高く、自分の不用心に起因する失敗が起きにくいと言われています。
また、他人と自分を比較してしまう点については、裏を返せば他人の個性や長所に気が付きやすいということです。
これを上手く活かせば、他人を思いやって行動することができます。
ネガティブ思考を仕事に活かそう!
ネガティブな言動を表に出さずに他人への気遣いを行ったり、他人の長所や個性を褒めることができれば、人間関係の円滑な構築につなげることができます。
成功者と呼ばれる人の中には、こうしたマイナス思考と上手く付き合い、時には己の武器として活かすことで大成功した人もいます。
2009年に発生したUSエアウェイズ1549便不時着事故で、乗員・乗客の犠牲者を一切出さなかったことで一躍時の人となった機長のチェスリー・サレンバーガー氏がいます。
氏は内気でコミュニケーションが苦手な人なので、ストイックで独り善がりな思考に陥りがちという典型的マイナス思考の持ち主でした。
しかし、自分の思考パターンをしっかりと分析しつつ、事故が起きた当時に「近くの空港に引き返す判断は大惨事に繋がる」というリスクが見えていたことで、ハドソン川への着水という最適な手段を選ぶことができ、「ハドソン川の奇跡」と讃えられることになったのです。
マイナス思考のやめ方
マイナス思考が強すぎる状況から自分を救い出す方法としては、少しずつ考え方や行動を変えていくことが一番です。
まずはネガティブ発言を出来る限り控えるようにしましょう。
ネガティブな思考を口に出してしまうことで、自分の思考はその言葉に引きずられてしまいます。
ネガティブな思考は自分の中に留めておくことで、周囲への悪影響を防ぐこともできます。
完璧を求め過ぎない
マイナス思考は慎重になるあまりに、「完璧」を求める姿勢が行き過ぎてしまうことがあります。
まずは、万事が完璧に進むことはないという心構えが大切です。
特に自分のコントロールが及ばない、他人の行動や天気などについては自分が引き起こす訳ではないので、少なくとも全てが自分のせいではないと考えるようにしましょう。
この辺りの考え方はフロイトやユングと対極にあると言われる「アドラー心理学」が参考になるはずです。
原因論を提唱するフロイトに対して、アルフレッド・アドラーは目的論を提唱しました。
つまり、人生は外的要因に左右されるのではなく、自分自身で選択しているということを提唱した思考論になります。
フロイトが提唱する原因論では、自分ではない外部要因が影響してネガティブになっていると考えますが、アドラーの目的論では自分から進んでネガティブになったと考えます。
このような観点では外部要因が関係なくなってきます。
極論してしまうと、外部要因などノイズでしかないので一切考慮する必要はなく、自分が正しいと考えたことを実行するだけで良いのです。
例えば、ここに良い例があります。
「馬を水飲み場に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない。」
この格言が表す意味とは、「馬が水を飲まないことを憂いでも仕方がない…」ということです。
つまり、馬が水を飲むことは馬の課題なので、あなた自身の課題ではないのです。
これと同じで、自分自身では何にも変えられない事象に悩んだり、課題感を持つこと自体が時間の無駄であり、意味のないことと言えるでしょう。
例えば、
- 人から嫌われる
- ウチは貧乏だ
- 走るのが遅い
- 成績が悪い
- 不器用だ
などは全て無駄な悩みと言えます。
これらは全て対人関係に由来し、人と関係を持ったり、比較することから発生する悩みです。
この問題を解決する為には、
- 人から嫌われる→周りに好きだと言ってもらう
- ウチは貧乏だ→周りに貧乏になってもらう
- 走るのが遅い→周りに遅く走ってもらう
- 成績が悪い→周りの成績を下げてもらう
- 不器用だ→周りが不器用になってもらう
ということが必要になります。
もちろん努力して人に好かれたり、お金持ちになることもできますが、それではどうしても不確実性が残ってしまいます。
なので、上記のようなやり方が確実な方法だと言えます。
しかし、人を思い通りに動かすことは不可能ですよね。
つまり、これらは「自分で解決できないこと」ということになります。
自分で解決できないことで悩むのはもう止めましょう。
そんなことは、ただ時間を浪費するだけの無駄な行為です。
休暇を取って治療する
メンタルをリセットするために、身体や頭を休ませるようにすることも大切です。
思い切って有給申請してみたり、リフレッシュ休暇を取って自分の時間を作ってみましょう。
余暇の時間を筋トレやランニングなどの運動に使ったり、外を散歩して陽の光に当たれば気分がリフレッシュするので、物事を前向きに考えられるようになります。
これに関連して、寝る直前にスマホをいじるのをやめて睡眠の質を上げたり、早寝早起きを心がけて生活リズムを整えるようにすると心も身体も活発になります。
心身ともに健康な状態で日々を送ることで、マイナス思考を吹き飛ばしてしまいましょう。