クレーム対応やクレーム処理が好きな人なんていませんよね?
しかし、お客様とやり取りする営業職である以上、避けて通れないのがクレーム対応ともいえます。
そこで今回は、クレーム対応やクレーム処理にフォーカスして、詳しく解説していきたいと思います。
目次
クレーム対応とは「接客」である
企業が営業活動していく上で、クレームが起こることは「当たり前」といっても過言ではありません。
そもそも、取り扱う製品サービスに不備&不具合が生じることを完全に防ぐことは、現実的に難しいと思います。
しかしながら、営業マンとして心得ておかなければいけないのは、こうした事態がきっかけで発生する「クレーム」には、できるだけ迅速に応対した方が良いということです。
というのも、「クレーム対応も接客やセールス活動の一環」と考えることができるからです。
クレーム対応で注意すべきこと
クレーム対応をする時には、営業職として不適切な接客態度を見せたり、社会人が発しないような乱暴な言葉使いをすることは、たとえ自分達が悪くなかったとしても絶対に避けるべきです。
お客様と喧嘩しても何一つメリットがありませんし、逆にデメリットが膨らむばかりです。
営業マンの中には「クレーム対応は時間の無駄」と思っている人がいるかもしれませんが、それは誤った考え方です。
実は、クレーム対応はお客様と本音で話し合えるチャンスにもなり得るので、「優秀な営業マン」と呼ばれる人ほど、クレーム対応の重要性を良く理解しています。
「禍を転じて福と為す」という言葉がありますが、クレーム対応が後々の大きな成功に繋がるケースも少なくないのです。
そのようなことから、クレームの一報が入った時には、電話やメールで簡単に済ませるのではなく、極力お客様と本音で話し合える場をセッティングするように心掛けましょう。
もしそのような機会がもらえないのであれば、気持ちを伝える為に、直筆の手紙を出してご挨拶から始めるのも一つの手です。
この時には謝罪フレーズや言葉の表現、ビジネスマナーに注意しましょう。
せっかく手紙を出したのに、取引停止の引き金になっては元も子もありません。
そして、必要があれば顧客やクライアントとアポイントの約束をして、直接謝罪やお詫びをするのです。
これも立派な営業行為の一つと位置づけることができるでしょう。
謝罪に関するノウハウを知りたい場合は下の記事をご覧ください。
クレーム処理は理不尽な事が多い
一次対応の遅れや、間違ったクレーム対応をすることで、取り返しのつかない事態に陥ってしまうことが度々あります。
それだけ、クレーム対応は初動が重要ということになります。
とはいえ、クレーム対応は理不尽なことが多いということも否めません。
営業パーソンの中には、ストレスが掛かるクレーム対応が嫌で辞めてしまうケースも散見されます。
クレーム対応では、見込み顧客やクライアントからの容赦ない暴言や罵声を浴びせられることもあるので、そんな時には思わず、相手に言い返したり、感情的になってしまうこともありますが、そこでグッと耐えなければいけないのが営業マンの宿命です。
それもこれも「全て自分の為」と思えるような、図太さや賢さを持つことも必要なのです。
過剰要求には応対しない
電話やメール、手紙など様々な方法で寄せられてくるクレームには、過剰要求と言えるようなものが散見されます。
慰謝料や迷惑料、業務妨害、損害賠償などの名目で、多額の金銭や、それに代わる金品を求めてくるようなことも珍しくありません。
そのような中には悪意をもって接してくる人もいます。
さの編集長が過去に在籍していた会社で実際にあった事例なのですが、ある営業マンが個人情報漏洩をしてしまったケースがあります。
件数的には数百件程度だったので大規模な事例には至りませんでしたが、それでも会社としては該当する全ての方に誠意をもって対応していきました。
その中の一人(以下、A氏とする)が、個人情報漏洩に対して金銭要求をしてきたのです。
もちろん迷惑料的な意味合いで金銭の支払い(千円程度)を準備していましたが、A氏が要求してきた金額は50万円でした。
その根拠は曖昧でしたが、主張は以下の通りです。
個人情報が漏洩してから携帯電話に不審な着信が鳴り止まない、どうしてくれるんだ!仕事に支障が出ているから損害賠償しろ!
携帯の着信が鳴り止まないことと、今回起こった情報漏えいの因果関係は全くわかりませんでしたが、それでも誠意ある対応をするしかありませんでした。
A氏は個人事業主で、仕事にマイナスの影響が出ていると主張していましたが、その後に色々と調査をした結果、A氏は自分の携帯番号をSNSで公開していることが判明しました。
つまり情報漏洩云々よりも、自ら携帯番号を公開していたのです。
それであれば話は変わってきます。
もちろん情報漏洩したこと自体は誠意をもって謝罪しましたが、公開している電話番号に知らない人から着信が殺到することは本件とは因果関係がないことを丁寧にお伝えしました。
毎日のように脅迫めいた連絡をしてきたA氏ですが、上記を伝えた以後はA氏からの連絡がパッタリと止みました。
おそらくこれ以上脅迫しても金を支払わないと判断したのだと思います。
このようなケースはビジネスあるあるなのですが、明らかに悪意をもってクレームしているケースだと思います。
なので、このようなケースでは営業マンの一存で対処するのではなく「会社」として対応した方が無難だと思います。
過剰要求に応対してしまうことで、ますます相手の要求内容がエスカレートすることにもなりかねません。
もし、自分が担当する顧客やクライアントからそのような要求を確認した場合には、不用意な受け答えをすることは避けて、まずは上司に相談してみましょう。
クレーム対応が上手い人の特徴
前述した通り、クレーム対応の良し悪しが企業の命運を握るといっても決して大袈裟ではありません。
すなわち、クレーム対応が上手い営業マンは、企業から重用されることになります。
日本国内でも多く存在する「コールセンター」には、毎日のように多くのクレーム電話がかかってきます。
その中には、提供する商品サービスに対するクレーム電話も少なくありません。
そのため、クレーム対応が上手な人に、対応を一任しているケースも多く見られます。
「神対応」として称賛されるようなクレーム対応のプロフェッショナルには、共通の特徴があります。
営業職であれば、その特徴をマスターすることが必要だと言えますが、クレーム対応が上手い人の特徴は以下の通りになります。
- 冷静沈着である
- 論理的な思考を持っている
- 性悪説を前提としている
まず「冷静沈着である」ということについてですが、クレーム対応するためにはどうしても冷静になれなければいけません。
クレームを言ってくるお客様は基本的に熱くなった状態なので、こちらまで熱くなってしまうと収拾がつかなくなります。
なので、クレーム対応する担当者は「常に冷静沈着なこと」が求められます。
次に「論理的な思考を持っている」ということについてです。
クレームを言ってくるお客様は、チャンスがあれば揚げ足を取ってきます。
なので論理的な説明や思考回路が求められるのです。
つまり会話に矛盾が出た瞬間にクレーム客はそこを突いてきますし、全く関係ないところで炎上する可能性すらあります。
このような相手をなだめるためには倫理観も必要になります。
つまり哲学的な発想ですが、「何が善で何が悪か?」という判断基準を持つことが重要なのです。
最後に「性悪説を前提としている」ということについてです。
性善説と対照的に語られる性悪説ですが、クレーム対応という場面に限定した場合には「性悪説」を前提としたほうが無難だと思います。
先ほどもご紹介しましたが、クレームしてくる人の中には明らかに悪意を持った人もいます。
もちろん全員がそうではありませんが、一定数そういう人がいることは事実だと思います。
なので基本的には「性悪説」に基づいて対応をしていき、相手の言っているロジックに筋が通っているのであれば、「性善説」に基づいて対応していくというスタイルの方が好ましいと思います。
クレーム対応が上手い人を真似する
クレーム対応に長けている人にとってみれば、顧客やクライアントから寄せられるクレームに対峙すること自体が「楽しい」と感じることもあるようです。
大部分のスタッフが苦手意識を持ち、理不尽なことが多いクレーム対応ですが、慣れている人にとっては「お客様の本音を聞ける良い機会だ」と認識されているようです。
そのやり方がわからない場合には、まずクレーム対応が上手い人を真似することから始めていきましょう。
人を観察して真似することはとても大切なことですし、ビジネスパーソンにおいては最短のスキルアップ手法ともいえます。
クレーム対応が不得意な人のほとんどは、相手の言葉を途中で遮ったり、過度に慌ててしまったりします。
そのような態度が、相手の怒りや不安感をさらに増大させることにも繋がりかねません。
自社に対する厳しい声や意見にも「真正面」から向き合えるのが、クレーム対応に秀でている人の特徴なのです。
クレーム対応の失敗例
実際に起きたクレーム対応の失敗例を参考にすることも大切なことです。
クレーム対応が上手い人の話法や成功例などを身につけることも必要ですが、失敗例にも多くの学びがあるはずです。
実際にあった失敗例
とある企業で実際発生した事例をご紹介したいと思います。
これは納品した商品の一部に、納品不備が発生したケースでした。
クレーム対応に当たった担当者は、「忙しいから…」という理由で、そのクレームを一旦放置して、お客様には後日新しい商品を発送しておきました。
発送後にお客様へ連絡することはなく、「納品個数は揃ったので、これで十分…」という勝手な認識で対応終了としました。
しかも、この事態を上司に報告することもなく、担当者の一存だけで済ませてしまったのです。
ところが、これが後々の大クレームへと発展していきます。
上司が事態を把握したのは、先方から怒りの連絡が入ってからです。
このケースはあまりにもクレーム対応がずさんというばかりでなく、ミスを放置したことも大きな問題に発展させた原因といえます。
会社という組織で営業活動をしている以上、どんなに些細なミスや失敗でも、チームとして内容を共有しておかなければ、いざという時に会社は守ってくれません。
内容次第では、始末書や顛末書、降格、減給などの処罰もあり得ます。
商品サービスを提供する会社であれば、不備や不良品を発生させてしまった場合、その根本的原因を突き止めることが求められます。
クレーム対応の初期対応をミスしたことで、事態が悪化した典型的な失敗例だといえます。
クレーム対応の本を読む
営業という仕事をするからには、クレーム対応はつきものです。
社会人としての経験がまだまだ少ない新人営業マンはもとより、百戦錬磨の経験を持つベテランにとっても、クレーム対応は決して楽なことではありません。
できるなら「クレーム対応は回避したい…」というのが本音ではないでしょうか。
そんな営業マンの強い味方と言われているのが、クレーム対応にまつわるマニュアル本や教科書です。
オススメの「クレーム対応本」
クレーム対応本の著者は「長年クレーム対応を担当してきた人」が多くて、数多くのノウハウを持っています。
そこに書かれている具体的なクレーマーの撃退法や、クレームを発生させてしまった時の対処法などは、営業現場の参考にすることができるので、ここではおすすめの「クレーム対応本」をご紹介していきたいと思います。
超一流のクレーム対応
「超一流のクレーム対応」は、初級レベルから超一流レベルまでのクレーム対応を学べる一冊です。
営業職やお客様相談センター、コールセンター、販売店、飲食店などの店員などクレームを受ける可能性がある全ての人に有益な一冊となっています。
クレーム対応はビジネスパーソンの頭を悩ませるトラブルだと思います。
クレームに対してストレスを感じない人はいませんし、できれば早く逃げたいと思いますよね。
そんな時に役立つスキルやノウハウが詰まった一冊になります。
クレーム対応 最強の話しかた
「クレーム対応 最強の話しかた」は、役所窓口で1日200件、指導企業1,000社以上の凄腕コンサルタントが持つクレーム対応ノウハウを記した本です。
クレームが発生するパターンは様々なので、対応マニュアルを用意していても全く役に立ちません。
この本の著者曰く、旧来的な「誠実な対応をする」というクレーム対応では対処できないレベルになっているのが現代社会だということです。
クレーム対応に失敗すると、それがSNSで瞬時に拡散するリスクもあります。
「モンスタークレーマー」と呼ばれる人たちもで出てきていて、クレーム対応の難易度は年々増すばかりです。
本書では、これまでのクレーム対応の話し方とはまったく違った画期的な話し方をご紹介しています。
誰でもできる単純なスキルなのですが、意外と気づかないモノなので、ぜひ本書を読んで学んでください。
モンスタークレーマーを一気に黙らせるクレーム対応術
現代には「モンスタークレーマー」という人達がいます。
モンスタークレーマーの特徴とは「自分の意見は正しい」と信じ込んでいることです。
また「お客様は神様だ!」という迷信を信じ込んでいることも特徴的です。
そのようなクレームに対応するのはストレスしかありませんが、企業にとってプラスの効果があることもまた事実だと思います。
つまりお客様からのクレームを「情報源」と捉えて、うまく活用することで顧客満足(CS)につなげて、新たなファンを生み出すチャンスとポジティブに考えるのです。
どのようなクレームに対応するのにも原理原則があります。
本書では、さまざまなシーンで起こったクレーム事例を取り上げながら、それぞれの解決策をわかりやすく解説し、実践的なクレーム対応のノウハウをご紹介しています。
まとめ
クレーム対応は大変な仕事だと思います。
ただ、お客様との関係性を再構築するチャンスであることもまた事実です。
それであれば、ぜひ前向きにクレーム対応をして、お客様との信頼関係を厚くして欲しいと思います。
同じ仕事をするのであれば、ポジティブな気持ちで営業活動した方が楽しいですよね。
ぜひクレーム対応を前向きに捉えてください。