働き方改革の一環でサラリーマンが新しい働き方を模索し始めています。
その流れの中で『パラレルワーク』という言葉が注目されているのをご存知でしょうか。
そこで今回は、パラレルキャリアと複業、また副業との違いについても解説したいと思います。
パラレルワークが注目される理由とは?
世界的に著名な経営学者である『ピーター・ファーディナンド・ドラッカー(P・F・ドラッカー)』が、かつて提唱した”パラレルキャリア”という生き方が注目されています。
現代では「パラレルワーク」と呼ばれることもありますが、この2つは基本的に同じ意味合いで使われています。
その意味は「本業と別に第2・第3の活動をする」という考え方を表しているのですが、このスタイルが最近注目されているのは大きく3つの理由があると言われています。
平均寿命が延びて、人生100年時代といわれるようになったのが1つ目の理由です。
現代企業は終身雇用や年功序列が崩壊していると言われており、会社員もそのような雇用システムにしがみつくことは、もう限界だと感じています。
- 長い人生の中でどのようなキャリアを築くか?
- どんなライフスタイルを作るか?
など旧来の考え方を転向するチャンスが来たといってもいいでしょう。
副業解禁や働き方改革が注目されていることが2つ目の理由です。
本業に支障のない範囲で”副業”を認める企業が増えつつあり、サイドビジネスやパラレルワークが注目されるきっかけになっています。
既に、本業以外のサイトビジネスを始める人も増えており、本業の就業時間外に少しずつ副収入を得ているそうです。
ちなみに、副業をしているうちに「副業も本業のようになる」、つまり「もはや両方とも本業」という状態が”複業”と呼ばれています。
複業とは「複数の本業を持つ」ことを意味していて、これが近年言われている「パラレルワーク」という働き方になります。
このような働き方が一般化してきている背景には、新しいスキルやキャリアを築くことで、「人生をより豊かに充実させたい!」と考える人が増えていることが挙げられるでしょう。
近年はインフレが加速しているので少しずつ改善の傾向はありますが、バブル崩壊後、日本国の平均年収は減少の一途を辿ってきました。
サラリーマンの平均年収は300万円台に突入していると言われるので、本当に少ないですよね。
このようになっている理由は、企業が内部留保ばかりを増やしているからです。
つまり、企業が将来に不安を感じているということになります。
人口減少に転じた日本のマクロ経済は弱体化する一方で、経済成長率も鈍化する一方です。
人口動態を見る限りでは、決して高度経済成長期のような伸び方は期待できません。
そのような状況下で、企業が給料を上げることは現実的でなく、どうしてもキャッシュアウトを抑える傾向が出てきてしまいます。
このような背景があって、「企業に頼るのではなく、自分の力で稼ぐ」という複業や副業が注目されているのです。
パラレルワークをするメリット
本業1つだけでも苦労しているのに、「わざわざ時間を割いて複業に励むこともないだろう…」という意見もあります。
確かに、本業1本だけでも生活はできますし、あえて複業をする必要がないという人がいても当然ですよね。
しかし、パラレルワークをするのには、それなりのメリットがあるという部分は見逃せません。
現代は「長寿社会」と言われており、これまでよりも余生が長くなる可能性が高いです。
それならば、まだ見ぬ将来を考えてパラレルキャリアをスタートしてみる価値が十分ありそうですよね。
実はパラレルワークすることで新たな出会いや人脈が広がって、公私ともにさらに充実した生活を送ることができると言われているのです。
この辺りは次で詳しく解説したいと思います。
パラレルワークの目的は”収入”じゃない!?
「なぜ複業するのか?」という疑問は、パラレルワークを語る上で避けて通れないはずです。
この辺りを理解する為には、まずパラレルワークの定義について確認しておくべきでしょう。
複数の本業を持つという働き方、又はライフスタイル
次に、副業(サイドビジネス)の定義も確認しておきたいと思います。
本業の他に収入を得る働き方、又はライフスタイル
これだけを見ても、複業と副業の違いは明確だと思います。
つまり、「複業とは全てが本業」という働き方で、「副業とは本業と別の仕事」という概念なのです。
このような理由もあって、パラレルキャリアをする理由は、必ずしも収入を得ることだけが目的になっているとは限りません。
しかし複業することによって収入が増やせることも事実です。
副業ではお金を稼ぐためだけに、つまらないアルバイト的な単純作業をすることが多いですが、複業ではスキルアップやキャリアアップを目的にした働き方が求められるので、そういった意味では一石二鳥かもしれません。
これからの時代はAIの登場によって、人間が単純作業をしない時代が必ずやってきます。
そのような時代で価値を出す為には、
- 幅広い知見
- クリエイティブな働き方
などAIでは代替できない存在価値が求められることになるでしょう。
つまり、1社に依存するのではなく短期間で様々な経験を得て、自分自身に付加価値を付けようとする動きがパラレルワークの正体なのです。
結果として収入が得られれば喜ばしいことですが、営利目的は二の次として、まずは「様々な経験を積むことが、結果的に自分の為になる」という部分を第一に考えながら動き出しているのです。
パラレルワークがもたらすデメリット
パラレルワークをすることは、個人にとっても企業にとってもデメリットになり得るケースがあります。
例えば、必ずしも収入に直結しないことは、やはりデメリットだと言えます。
貴重な時間を割く訳なので、給料があるのと無いのでは、働くモチベーションにも関係してきますよね。
もし収入アップを目的にしている場合には、途中で挫折してしまうかもしれません。
また、複業するとなれば1つ1つの仕事に十分な時間を確保できない可能性があります。
複業とは「全てが本業になる働き方」なので、そうなっていくとスケジュール管理がタイトになってしまい、結果的にどの仕事も中途半端でバランスが悪くなりかねません。
そのような働き方は、正社員として勤務している会社に迷惑をかけてしまう恐れも出てきます。
勤務先と同じ業種の競合企業で複業してしまうと、社内問題に発展する可能性もあるので、この辺りのコントロールは重要になってくるでしょう。
複業は時間管理が大変
本業で余った時間にする副業とは違って、複業は「どれもが本業」になり得ます。
全ての仕事に同じくらい注力していると、当然のことながら心身共に大きな負担がかかります。
その一番の原因と言われているのが「時間管理の難しさ」です。
常に仕事のことばかりになってしまうので、心身ともにストレスがたまって、豊かなライフスタイルどころではなくなってしまい、最悪のケースではうつ病を発症することもあるそうです。
適度な刺激になるストレスなら良いものの、それが重荷となってしまうのでは本末転倒ですよね。
自己管理能力が不足していると、パラレルワークはデメリットをもたらし、自己崩壊していくということです。
そうなってしまっては、楽しい人生ともかけ離れてしまうので、基本的にはメリットを追求しなければいけません。
前向きに考えれば、パラレルワークによって自己管理能力を鍛えることもできるはずです。
逆に「複業は自己成長する為に乗り越えるべき壁」と前向きに捉えながら取り組むのが良いでしょう。