「星の王子さま」は誰もが聞いたことのある名著ですが、その世界的な名作を残した作家がサンテグジュペリです。
サンテグジュペリはフランス生まれの飛行士&作家ですが、正式な名前は「アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ」と言います。
星の王子さまは今でも語り継がれている不朽の名作ですが、その内容は子供向けではなく、実は大人に向けて書かれた本だとも言われています。
そこで今回は、星の王子様の名言をまとめてみました。
この名言集を見れば、ある程度は星の王子様という物語の内容が理解できて、作者であるサンテグジュペリが何を伝えたかったのか理解できるはずです。
世界的な名作を知っておくことはビジネスパーソンとしての必須知識だと思うので、ぜひ最後までご覧ください。
星の王子様の名言まとめ
星の王子さまはサン=テグジュペリに羊の絵を書いてもらいます。
そのヒツジが気に入らなかった星の王子さまは、何度も書き直しをお願いします。
それを面倒に感じたサン=テグジュペリは、木箱だけを描いて「この中に羊がいる」と言って星の王子様に渡したのです。
それを星の王子さまは大変喜びました。
「ヒツジ」という概念を押し付けない、サン=テグジュペリのやり方を気に入ったのです。
そしてこのように言いました。
きみのくれた木箱だけど、あれは夜、ヒツジの小屋にできるからいいよね。
「夜=怖い」というのが一般的なので、星の王子さまは暗闇から羊を守る術に木箱が使えると考えたのです。
これは星の王子さまの優しさが現れた一文だと思います。
星の王子さまが住んでいる星はとても小さいです。
住んでいる人も自分一人しかいないので、全て自分でやらなければいけません。
その情景をサン=テグジュペリは以下のように表現しました。
朝、自分の身づくろいが済んだら、今度は星の身づくろいを丁寧にしてあげるんだ。
星の王子さまは忙しくすることを好みません。
そのような考え方なので、下のような名言を残しています。
仕事には、先延ばしにしても大丈夫なものも、たまにある。
今すぐやるべきことと、やらなくていいことを取捨選択する必要があるということです。
ぼく、怠け者が住んでた星を知ってるんだ。
そいつ、バオバブの小さな木を3本ほっておいたから…
星の王子様の中で、バオバブは「悪い木」として描かれています。
それを取り除かなければ、根が星を貫通して、最後には星が破裂してしまうのです。
王子さまが住んでいる星はとても小さいので、少し歩けばいつでも夕暮れの景色が見れます。
星の王子さまは「1日に44回も陽が沈むのを見たことがある!」と興奮気味に言った後、この言葉を言いました。
ねぇ…、悲しくてたまらない時は、夕陽が見たくなるよね…
陽と陰のコントラストが美しいシーンですよね。
トゲは何のためにあるの?
これは花のトゲについて、サン=テグジュペリに尋ねた時の言葉です。
星の王子さまは、「花は弱いので自分の身を守るためにトゲを持っている」と考えたのです。
星の王子さまはサン=テグジュペリの発言を聞いて「おとなみたいな言い方だ!」と反応した後、この言葉を言いました。
きみはごちゃ混ぜにしている…
大事なこともそうでないことも、いっしょくたにしてる!
星の王子さまは、大人のような態度を取るサン=テグジュペリに対して本気で怒ったのです。
ぼく、真っ赤な顔のおじさんがいる星に行ったことがある。
おじさんは一度も花の香りをかいだことがなかった。
星を見たこともなかった。
誰も愛したことがなかった。
「真っ赤な顔のおじさん」はイライラしている人の比喩だと思います。
イライラしていると余裕が無くなって、周りが見えなくなってしまいますよね。
そのような人生を過ごすことはとても不幸だと思います。
もしも誰かが、何百万もある星のうち、たった一つに咲いている花を愛していたら、その人は星空を見つめるだけで幸せになれる。
これは生きる希望について語った名言です。
花とは「希望」を意味しています。
星の王子さま曰く「その星に咲いている花を、ひつじが食べてしまうと、生きる希望すらなくなってしまう」ということです。
ファンタジーですが、美しい表現ですよね。
あの花の言うことを、ぼくは聞いちゃいけなかったんだ。
これは気まぐれな花に出会った時、星の王子さまが呟いた言葉です。
星の王子さまは「あの花は、ぼくの星をいい香りでいっぱいにしてくれた。なのにぼくは、それを楽しむことができなかった」と続けています。
これはつまり、相手の言葉を鵜呑みにする危険性を語っているのです。
表面的には意地悪な発言をする人でも、本当は心の優しい人もいるのです。
星の王子さまは、ある日「星の王様」に出会いました。
その王様は星の王子さまを見て「おお、民が来たか!」と言いました。
それを聞いた星の王子さまの一言です。
一度も会ったことがないのに、ぼくが誰だか、どうしてわかるのかな?
王様は自分が一番偉いと思っているので、自分以外の人は全て「自分以下の存在」と決めつけているのです。
身分や肩書きだけで相手のことを見定める危うさを語った名言だと思います。
ここで王様は、一体何を治めているというのだろう?
これは王様の星があまりに小さいことに気づいた時の言葉です。
星の王子さまは王様に対して「陛下は…、何を治めていらっしゃるんですか?」と質問します。
それに対して王様は「全てをだ」と答えました。
王様は自分の星だけでなく、宇宙すべてを支配していると勘違いしていたのです。
大人って変わっているな。
これは自分の威厳ばかりを主張する王様の様子を見て、星の王子さまが呟いた言葉です。
大人は身分や肩書きなど、本質以外の部分にこだわるのです。
これは自分のことを認めて欲しい王様に対して、星の王子さまが言った言葉ですが、自己顕示欲が強い王様は「自分のことを称賛して欲しい!」と言いました。
それに対して、星の王子さまは下の言葉を返したのです。
でもこの星には、あなたしかいないよ!
現代はSNS全盛期で、誰もが自己顕示欲を誇示し、承認欲求を満たそうとしていますが、それはデジタル世界の話です。
あなたの周りに、その人たちは実在していません。
そのような人達からの承認をいくらたくさん集めても無駄(本質ではない)なのだと気づきましょう。
どうして飲んでるの?
これは酒浸りの男に会った時、星の王子さまが言った言葉です。
この言葉に対して「忘れるため」と酒浸りの男は答えます。
それに対して「忘れるって、なにを?」と星の王子様は反応します。
その後、色々な会話をしますが、最終的には酒浸りの男が「飲むことを恥じている!」と叫んだので、星の王子さまは「大人ってやっぱり変だ」と思うのです。
金持ちでいられると、何の役に立つの?
この言葉は、星の王子さまが実業家に会った時の言葉です。
実業家は数字ばかりを考えていて、儲かることに必死です。
その様子を見ていた星の王子様は「この人は酔っ払いと一緒だ(=本質を理解してない人)」と感じたのです。
この名言は探検家に対して星の王子さまが言った言葉です。
探検家が星の王子様が住む星について尋ねた時、「火山が3つあります。活火山が2つに、死火山が1つ」と言いました。
それに加えて、この言葉を伝えたのです。
花も一輪咲いています。
母なる大地の象徴的である火山と、か弱い一輪の花という明暗のコントラストがはっきりしているので、これはとても美しい表現だと思います。
星はどうして明かりを灯したみたいに光っているんだろう。
みんないつか自分の星に、帰って行けるようにするためかな。
僕の星を見て。
ちょうど真上にある…
でも、なんて遠いんだ!
「故郷に錦を飾る」という言葉がありますよね。
人間は誰しも、そのような感覚を持っていますが、それを成し遂げるための道のりが、あまりに遠すぎるので、その感情を比喩したのでしょう。
星の王子さまが道端に咲いた花に対して「人間たちはどこにいるんでしょう?」と尋ねた時の返答です。
人間たち?
いると思うわ。
6、7人。
もう何年も前に見たわ。
でもどこにいるのかはさっぱり。
風があっちこっち連れて行くのよ。
根がないんだもの、ずいぶん不便でしょうね。
人間は花と違って物理的な根っこがありません。
これは自然原理に沿って生きていない人間のことを揶揄した言葉だと思います。
星の王子さまは山の上に立って「こんにちは」と挨拶してみました。
すると「こんにちは…、こんにちは…、こんにちは…」とこだまが聞こえてきました。
それをこだまだと知らない星の王子さまは「友達になってくれませんか?ぼく、ひとりなんだ」とつぶやきました。
すると「ぼく、ひとりなんだ…、ぼく、ひとりなんだ…、ぼく、ひとりなんだ…」とこだまが返ってきました。
それに対して言った名言がこの言葉です。
なんて変な星だろう!
どこもかしこもカサカサしていて、とんがっていて、塩気でいっぱい。
それに人間っていうのも、想像力に欠けているな。
言われたことを繰り返すだけじゃないか…
これはまさに現代社会を揶揄していますよね。
人間関係は乾燥(ドライ)しきっていて、すぐにいざこざが起き、とてもしょっぱい関係性ばかりです。
一見すると周りに人がいるように感じますが、自分が発した言葉は宙を舞ってしまいます。
このような現代社会を、サンテグジュペリは悲観していたのでしょう。
星の王子様はキツネに出会います。
その狐は「なつく」というのは「信頼する」ことだと教えてくれます。
そしてキツネは下のように言ったのです。
人間たちはもう時間がなくなりすぎて、本当には、何も知ることができないでいる。
何もかも出来上がった品を、店で買う。
でも友達を売ってる店なんてないから、人間たちにはもう友達がいない。
きみも友達が欲しいなら、僕をなつかせて!
これは星の王子さまが出会ったキツネの言葉ですが、狐が言いたかったのは「時間をかけて関係性を構築する重要性」についてです。
キツネは「例えば、きみが夕方の4時に会いに来るなら、僕は3時から嬉しくなってくる。こうして幸福の味を知るんだよ。」と語っています。
これはつまり、星の王子さまが狐のことを考えてくれていることを嬉しく思うのです。
現代人はとても忙しいので、そのような余裕がありませんよね。
なので、信頼関係を省略した形、つまりお金で解決するやり方を好みますが、友達はお店に売っていません。
そのような矛盾を指摘しているのです。
星の王子さまは、たくさんの薔薇達と出会います。
しかし、星の王子様には、自分の星に置いてきた一輪のバラの友達がいます。
その一輪の薔薇と、出会った薔薇達を比較してこう言ったのです。
君たちは美しい。
でも外見だけで、中身は空っぽだね。
星の王子さまは一輪のバラと信頼関係を構築していました。
なぜかと言えば、自分が一生懸命お世話したからです。
たくさんの時間と労力を費やしたからです。
なので星の王子さまは、その薔薇のためであれば、死ぬこともできると言ったのです。
しかし、信頼関係のない美しい薔薇たちは、ただ美しいだけで、心までは動かされなかったのです。
子供達は、ぼろきれのお人形に時間を費やす。
だからそのお人形はとっても大事なものになる。
それで、取り上げられると泣くんだね…。
これは星の王子さまが出会った鉄道員に対して言った言葉です。
たとえ人形だったとしても、信頼関係は構築できるのです。
この言葉を聞いた鉄道員は「幸せ者だな、子供達は」と言ったのです。
この「子供達は」というのは、なかなか人間関係がうまく構築できない大人たちとの対比だと思います。
星の王子さまは、物売り(商人)に出会います。
その商人は、一週間に1粒飲めば、もう何も飲みたいと思わなくなる薬を売っていました。
それに対して「どうしてそんなものを売っているの?」と星の王子様は聞きます。
商売人は「素晴らしく時間が節約できるようになるからだ。一週間に53分の節約ができる。」と答えます。
星の王子さまは「それで、その53分をどうするの?」と聞くと、商売人は「好きなことに使うのさ…」と返答します。
それを聞いた星の王子さまは下のように思うのです。
もし53分あったら、そっと、ゆっくり泉に向かって歩いて行くよ。
時間は有限なので、出来る限り節約しようと試みますが、その節約した時間を有効活用できることは少ないと思います。
それであれば、一つ一つの出来事をじっくり楽しむ方が良いのかもしれません。
星々が美しいのは、ここからは見えない花が、どこかで一輪咲いているからだね…
これは星の王子さまのセリフですが、飛行士であったサン=テグジュペリの気持ちを代弁した言葉だと思います。
星を美しいと思うのは、その先にある未知なる希望を夢見ているからだと思います。
それを一輪の花に例えたのです。
砂漠って美しいね。
砂漠が美しいのは、どこかに井戸を一つ隠しているからだね…
これは星の王子さまというストーリーのテーマを表した名言です。
この本のテーマは「本当に大事なものは目に見えない」ということです。
目に見えない神秘的なものは、人を寄せ付けますが、それは砂漠でも、人間でも一緒なのだと思います。
人間達って、特急列車に乗っているのに、何を探しているのかもうわからないんだね。
だからせかせか動いたり、同じところをぐるぐる回ったり…
仕事をしていると出張で新幹線に乗って、また戻ってきて、また飛行機に乗って…
せかせか動いている割に「何を求めているのか?」と聞かれると、ただ仕事をしているだけなので、意外と返答に困りますよね。
そのように人生を浪費している現代人を皮肉った言葉だと思います。
星の王子さまが伝えたかったこと
作者のサン=テグジュペリは、幼い頃に金髪だったらしいので、おそらく星の王子さまは幼い頃の自分をオマージュしているのだと思います。
「星の王子さま」というタイトルを見ると、なんとなく子供向けの本かな?と思ってしまいますが、実際には大人向けの本だと推測します。
この本のテーマは「一番大切なことは目に見えない」ということです。
童話のようなストーリー形式になっていますが、人と人とが生きていくことに触れているので、その内容は普遍的ですよね。
大地と星、花と火山など、対比も美しく印象的です。
そして物語に出てくるのは一癖ある登場人物ばかりですが、それがまさに現代人とリンクしていくのです。
この辺りが、星の王子様というストーリーの面白さに拍車をかけている気がします。
もし星の王子さまに興味を持った人は、実際に読んでみてください。
自分で読めば、新しい視点にもきっと気が付くはずです。
星の王子さまが伝えたかったことを、自分なりに解釈することをオススメします。