PDCAサイクルを回すことはビジネスの常識になりましたが、その反面「PDCAサイクルは時代遅れ」とか「PDCAなんて古臭い」と言われることもあります。
しかし、本当にPDCAサイクルは無駄なのでしょうか?
そこで今回は「PDCAサイクル」という話題にフォーカスしていきたいと思います。
ビジネスパーソンや営業マンは是非ご覧ください。
目次
PDCAサイクルとは?
ビジネスパーソンが好成績を出すために用いるべき手法の一つに「PDCAサイクル」があります。
このPDCAサイクルというのは、
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(確認)
- Action(改善)
の頭文字をとった言葉です。
この順番で行動することによって、業務を効率化し、パフォーマンスの改善を目指すという考え方がPDCAサイクルなのです。
日本国内では1990年代から導入する企業が現れ始めましたが、新規事業開発や営業活動など、様々なビジネスシーンで使えるロジックの為、とても重宝されているのです。
PDCAを回すタイミング
PDCAサイクルを回す頻度は「年次」というのが一般的ですが、よりきめ細やかに営業活動の見直しを図るためには半期ごとや四半期、又は月次といったより短い期間で行なった方が良いでしょう。
できるだけ短い期間でPDCAサイクルを回した方が、事業の成長スピードも早くなるはずです。
つまり通常運行をしながら、月次や四半期ごとといった単位で計画と進捗とのズレを洗い出し、その理由を分析した上で原因特定し、その改善に向けて必要な手当てを講じるのです。
これがPDCAサイクルの全体概要ですが、あまり高頻度で確認、改善を行いすぎると、かえってチームメンバーのモチベーションを下げることにつながりかねません。
この辺りは諸刃の剣となりえるので、十分注意しましょう。
PDCAサイクルを回す意味
次に、PDCAサイクルを回す意味について解説していきたいと思います。
それは端的に言ってしまえば、労働生産性の向上ということになります。
ビジネスには大小かかわらず無駄な作業があると思います。
ビジネスを立ち上げした頃は必要な作業だったものが、技術の進化と共に無駄な作業になってしまうケースも十分あり得ます。
なので、営業活動においての非効率な部分を一定頻度で洗い出し、必要な手当てを行うことによって、より労働生産性を向上させて大きな成果につなげるという役割があるのです。
ビジネスにおいては日々の改善活動が重要であることは言うまでもありませんが、営業のように物理的に何かを作り上げる仕事でない場合には、改善するタイミングが難しいと思います。
だからといって毎日決まった行動ばかりをしていると、結果的に惰性と言えるような日々を過ごす羽目になりかねません。
そうなってしまうと業績も頭打ちになり、徐々にビジネスが衰退する可能性が出てくるのです。
そうなってからでは遅いので、まだ改善できるうちに有効な手立てを講じることが求められますが、それを探す役割がPDCAサイクルにはあるのです。
つまりPDCAサイクルで事業をメンテナンスするという考え方です。
すなわちPDCAサイクルを導入することで、定期的にビジネスを確認&改善するようにし、それによって労働生産性の伸びや悩みを打破するという狙いが込められているのです。
営業成績が上がらないという背景には、きっと何らかの理由があるはずであり、それを的確に把握して対処できれば、少なくとも現状以上の業績を上げることは不可能ではないはずです。
PDCAサイクルの問題点
PDCAサイクルは決して万能なツールではなく、いくつかの欠点が指摘されています。
まずもっとも大きな欠点と言われているのが、PDCAサイクルを回すことが主眼となって、確認や改善のプロセスに多くの労働時間を割くことになり、かえって実際に行動する時間が制限されてしまうことです。
たとえPDCAサイクルによって労働生産性が上がったとしても、営業活動を行う時間がその分減少してしまえば、総合的に見た場合にはかえって業績悪化につながりかねません。
そこで、この欠点を補うための方法として、確認と改善のプロセスを必要最小限に抑えるというアイデアがあります。
一つの方策としては、社内プロセスを管理する担当者を配置し、現場担当とプロセス担当者とが協力しながらPDCAサイクルを回すといったやり方が考えられます。
このプロセス担当者は、一般的にマネージャーが兼務していると思うので、現場作業にマネージャー自らが介入していくイメージに近いと思います。
この仕組みであればPDCAサイクルの効果を最大限享受しつつ、それに伴うデメリットを最大限排除できるはずです。
PDCAサイクルは古くて無意味!?
PDCAサイクルは昔ながらの古い方法であり、既に時代遅れになっていると指摘されることもあります。
経済がグローバル化し、迅速な意思決定や行動が求められるようになっている昨今において、いちいち確認や改善のプロセスを設けていたのでは、機動的なビジネスに支障をきたしかねないということが背景にあるようです。
しかしPDCAサイクルは業務改善に必要なルーティンだと思うので、きちんと運用すれば必ず結果がついてくるはずです。
もしPDCAサイクルを回す場合には、前述したような指摘を回避するために、必要以上に確認・改善プロセスに時間を割くことは避けるべきだと言えます。
PDCAサイクルで売上アップさせる
営業パーソンがPDCAサイクルを活用する場合、その目的は売上向上になると思います。
しかし売り上げアップを図るためには、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
そのやり方は「営業担当者単位」と「営業部門単位」の2つについて、それぞれPDCAサイクルを回すことがポイントとなります。
理論上、会社の営業成績とは営業マン個々人の成績を積み上げた結果なので、全体の成績を向上させるためには個々人の成績アップが欠かせません。
そのため、まずは営業担当者に対して毎期の行動計画を策定してもらい、それに沿って営業活動を実施し、その結果を定期的に確認し、不足があれば改善に向けた行動を指示することが求められます。
一方、個々の営業担当者の成績が改善したとしても、それだけでは会社全体の営業成績の最適化にはなりません。
つまり営業マンごとに成績がデコボコしてしまうと、属人化から抜け出せていないので、仕組み化できていないことになるのです。
これを改善するためには、営業フローそのものの見直しが必要になるはずです。
例えば、受注率はある程度一定だったとしても、契約フローが複雑で申込書の回収に捺印(会社の代表印)が必要だったとします。
お客様の中には「会社の代表印なんてむやみに押印したくない」という要望もあるので、それが上手く説明できないと失注する羽目になります。
それであれば会社の代表印でなく、会社の角印(認印)でもOKにしたり、そもそも申込書の回収すら廃止するべきだと思います。
申込書を回収する目的は、未入金対策や訴訟対策だと思うので、そもそも顧客と揉めづらいビジネスモデルなのであれば、もっと簡易的なフローに見直しても問題ないはずです。
例えば、Eメールを活用した契約手続きに変更したり、Googleフォームを活用したやり方に変更するのも良いでしょう。
電子契約システムのようなツールを利用して、契約手続きを簡素化するやり方もあると思います。
このように営業担当者レベルと営業部門レベル、2つの切り口からPDCAサイクルを回すことができれば、会社の業績は着実に改善していくことでしょう。
PDCAサイクルの使い方は簡単です!
これまで見てきたように、PDCAサイクルは営業の成績向上に向けて非常に有用なツールですが、実際の企業の営業現場において導入されているケースは決して多くはありません。
その背景には「確認・改善プロセスに割く時間があるくらいなら、少しでも多くの顧客にセールスした方が早いはず…」という体育会的な発想がある為です。
まだまだ営業マンにはITリテラシーの低い、脳筋族が多いみたいですね。
確かにPDCAサイクルをはじめとする業務改善にはマーケティングノウハウが必要なので、営業マンの中にはそれを煩わしく感じる人がいるのも事実だと思います。
しかし、PDCAサイクルを回すことは決して難しくありません。
大切なことは、経営者が「PDCAサイクルを回せば営業成績アップ、引いては企業業績が向上する」という認識を持つことだと思います。
つまり、PDCAサイクルを回すことは必要不可欠であり、メリットはあると社員に周知させなければいけないのです。
そして業務改善することを仕事の一環として捉え、現場が積極的に取り組むような仕組みを設ける必要があると思います。
この段階まで来れば、PDCAサイクルを使いこなすのは簡単です。
自主的に改善を繰り返すことができる体勢をしっかりと構築するだけで、あとは放っておいても業績はついてくるのです。
まずはそういった体制を整備すべく、社内での役割分担を決めていきましょう。