
病院やクリニック向けにセールスしている営業マンは、きっと苦戦していますよね。
なぜかと言えば「病院向けの営業活動はとても難しい」と言われているからです。
そこで今回は、病院向けの営業活動について解説したいと思います。
これから営業職として就職する人や、病院の新規開拓に四苦八苦している人はぜひご覧ください。
目次
病院に営業する仕事
世の中には病院・クリニック向けに営業している職種がたくさんありますよね。
- MR(医療情報担当者)
- 医療機器の卸・販売
- 求人媒体の販売会社
- 人材紹介会社
- 投資用不動産の会社
- 税理士・会計士
- 集客支援の会社
- 保険会社
- 証券会社 etc.
その中でも代表的なのはMRだと思います。
MRとは「Medical Representatives」の略称で、製薬企業の営業部門に所属しているセールスパーソンのことを指します。
あくまでも情報提供という立ち位置でドクターに接するので、一般的な営業職のような売り込みではないことが特徴的です。
他にも、看護師を集めるために使う求人サイトや人材紹介会社の営業もたくさん来ています。
そして富裕層である医者のもとには、投資用不動産や株式投資、節税といった話も舞い込みます。
なので一言に「営業職」といっても、様々な角度から病院・クリニックへのアプローチが実施されているのです。
クリニック向けの営業は難しい…
病院・クリニック向けの営業活動は難しいと言われますが、なぜそのように言われているのでしょうか。
その理由はいくつかありますが、主な理由は下の3点だと思います。
- 医者は患者を優先する
- 医者はとにかく多忙
- 医者は先生である
まずはこの三つについて解説していきたいと思います。
①医者は患者を優先する
これは当たり前の話ですが、病院のお客様は『患者』なので、どうしても営業マンは二の次にされてしまいます。
よって、アポイント日時を指定しづらいという特徴があります。
基本的に診察の合間で商談するため、その予定がかなり流動的なのです。
例えば、今日病院に来る患者の容態を全て予想するのは不可能なので、なかには診察が長引いたり、緊急対応しなければいけない患者も出てくるはずです。
そうなった場合、仮に13:00~というアポイントがあったとしても、それを二の次にされてしまう可能性があるのです。
これは医者という職業柄、当然といえば当然の話なのですが、セールスを生業にしている営業職にとっては非常に厄介な問題です。
予定通りに商談が実施されないと、もちろん実績に反映されづらくなるので、そもそも「ドクターは扱いづらい」とか「医者は上から目線」という感想になってしまうのです。
②医者はとにかく多忙
開業医や勤務医に限らず、とにかくドクターは多忙を極めます。
それゆえに高収入な職業なのです。
しかも開業医の場合には『自営業者』という立ち場になるので、一番優先すべきことは収益だと思います。
なので、少しでも患者対応できる件数を増やして、診療報酬を稼ぐことを優先するはずです。
『収益を追求する』というのは開業医を開拓するときのポイントになるので理解しておきましょう。
➂医者は『先生』である
医者というのは日常的に『先生』と呼ばれている職業です。
もちろん医者は営業マンからも「●●先生」と呼ばれていますよね。
通院する患者からも「先生」と呼ばれるのが当たり前で、学歴や年収、社会的な地位も高いので自尊心が高く、どうしても上から目線(自分は偉いと勘違い)になってしまうのです。
なので、アポイントをすっぽかすことは当たり前ですし、ちょっとでも気に障ることがあれば、すぐに出禁を食らってしまいます。
なので、病院向けに営業している人は、基本的に下手に出る必要があると思います。
もちろん下手に媚を売る必要はありませんが、相手を敬うことは必要だと思います。
相手を敬うのは当たり前なのですが、より一層注意すべき顧客が医者(ドクター)ということになります。
病院営業は飛び込みあり?
病院やクリニックを新規開拓する場合、よく使われている営業手法が『飛び込み営業』です。
手当たり次第に飛び込みすると、まずは受付が対応してくれるので、「院長先生はお手隙でしょうか?」と投げかけてみましょう。
もちろん相手は「診察中です」と答えるはずなので、その場では名刺や資料だけ渡してさっさと撤退しましょう。
この一連の流れを見る限り、なんとなく意味が無いように感じますが、実はこれがとても重要なのです。
病院営業を行う場合、飛び込み営業で一発受注することはほぼ不可能だと思います。
なので継続タッチを前提とした営業活動を実施しなければいけません。
その第一歩となるのが『自分の存在を認知してもらうこと』なのです。
中には「セールスお断り」という病院もありますが、基本的に営業行為は受け入れてくれますし、受付に名刺を渡せば、指定したドクターまでその名刺は届けられることが一般的です。
なので、まずは自分の存在を認知してもらい、その後にテレアポ営業へ繋げていくのですが、そのための第一歩が飛び込み営業なのだと理解しておきましょう。
医者とのアポイント獲得方法
一般的な営業活動では『アポなしの飛び込み営業は原則NG』と言われていますが、病院に限ってはそんなことありません。
しかし前述したとおり、ドクターは超多忙なので、飛び込みして即決営業というわけにいかないのも実情です。
なので、きちんと次回のアポイントを調整する必要があるのですが、これも前述したとおり『患者を優先する』という職業柄なので、なかなか思うようにいきません。
よって、ドクターを相手にする場合には少し頭を捻らなければいけないと思います。
そこでまず考えるべきことはアプローチ方法です。
診察中に電話しても出てくれる可能性が低い為、そもそもアプローチする時間帯を考えなければいけません。
そこで参考になるのが病院の診察時間です。
病院やクリニックのホームページには『診察時間』が記載されていますよね。
まずはその時間帯を避けて電話してみましょう。
もし診察時間外が自動音声になってしまうのであれば、『診察時間の終わり間際』を狙うのがおすすめです。
例えば午前の診察が「9:00~12:00」なのであれば、11:59に電話するのです。
毎日診察が混み合っているということもないので、5回に1回ぐらいは診察終了間際に手が空いているというケースがあるはずです。
その時、受付に名刺を渡していること、どんな製品サービスを提供しているのか売り込みしてみましょう。
結論から先に言う
医者は頭脳明晰な人が多い&超多忙なので、とにかく合理性を求めます。
よって電話口でのセールストークは結論から言うようにしましょう。
ダラダラ話す時間はないので、「何を提供していて、どんなメリットがあるのか?そして独自の強みは何なのか?」をエレベータートークのように15秒でプレゼンするのです。
「エレベータートーク」とは、同じエレベーターに乗り合わせた際に話せる程度の、ごく短い時間の中で、自分の言いたいことを相手にわかりやすく簡潔に伝える会話術のことをいいます。
何ができるのかを簡潔に説明して、競合他社と比較した強みや優位性を端的に伝えるのです。
このような営業トークが無ければ、医師(ドクター)を開拓するのは難しいでしょう。
アポイント時間に注意する
先ほどからお伝えしている通り、勤務時間は忙しいので、なかなか営業マンの対応なんてしてくれません。
よって、基本的には勤務時間外にアポイントを取った方がいいでしょう。
例えば、勤務時間外だったとしても午前中の診察(例:9:00~12:00)が終わる『12:00』にアポイントを取り付けたとします。
しかしその時間通りに訪問したとしても、患者の診察が長引いてしまえば、いつまでもエンドレスで待つハメになります。
また昼休憩といえども、その時間に次の診察の準備をしたり、ご飯を食べたりするので、悠長に営業マンの話を聞いている暇などありません。
これでは生産性が悪すぎるので、診察の合間を含めて昼間のアポイントは基本的に厳禁だと思っておきましょう。
それではいつが良いのかと言えば、『診察開始の前』か『診察終了の後』という結論になります。
もし午前中の診察が9:00~12:00なのであれば、7:00や8:00にアポイントを取るのです。
そして午後の診察が15:00~19:00なのであれば、19:30や20:00にアポイントを取るのです。
この時間帯であれば比較的ゆっくり話せるので、ビジネスにも繋げやすいはずです。
リファラル営業を活用する
リファラル営業とは『紹介営業』を意味する言葉です。
「口コミ営業」と呼ばれることもありますが、見込顧客を知人から紹介してもらう営業スタイルなので、多くのトップセールスが活用しているやり方として知られています。
もし医師へアプローチしたい場合には、このリファラル営業を活用するという選択肢も考えられるはずです。
つまりドクターに人脈がある人から、紹介して貰うのです。
このやり方であれば『紹介者』というフィルターが機能するので、きちんとした商談ができますよね。
もしリファラル営業を検討している場合には、リファラル営業サイトを活用するのがいいでしょう。
開業医を開拓する方法
アポイント獲得しようとしても、なかなかうまくいかないのであれば、別のやり方を検討する必要があります。
まず最初に思いつくやり方はフォーム営業やDM営業だと思います。
病院のホームページに問い合わせフォームがあれば、そこから営業メールを送信したり、直筆の手紙を郵送することも効果的でしょう。
効果が出ないやり方を何度も繰り返すのは脳死している状態なので、常にPDCAを回しながら営業活動を改善していくべきだと思います。
他にもSNSを活用するというやり方があります。
病院もSNSを運用するのが当たり前の時代なので、そのダイレクトメッセージ機能を使ってアプローチするのです。
わざわざSNSを運用しているということは、そこからの反響が気になるはずなので、小規模なクリニックであれば院長もSNSをチェックしているかもしれません。
ただし、外部のSNS運用代行会社に丸投げしているケースもあるので、その場合には効果がないかも知れません。
そしてこれは裏技的なやり方ですが、地方の開業医は『経営している病院の近くに自宅がある』というケースが多いのです。
なので『田中クリニック』であれば、近くにある比較的大きめな戸建てや、高級車(主にベンツ)がとまっているお宅を探して、その表札を確認してみましょう。
もしその表札が「田中」なのであれば、院長の自宅である可能性が高まります。
※同族経営の場合には院長の自宅でない(息子など)の可能性もあるので注意しましょう。
もし確信が持てないのであれば、となりのお宅に対して次のような営業トークをしてみましょう。

このようなやり方で院長の自宅が特定できれば、次は昼食のタイミングを狙いましょう。
自宅が近ければ、昼食を食べに自宅へ戻ってくるはずです。
なので、そのタイミングに名刺を渡したり、アポイントの約束を取り付けるのが良いでしょう。
もう少し別の角度で攻めるなら『院長の奥様と仲良くなる』という方法もあります。
院長の奥様は自宅にいるケースが多いので、何度か通って仲良くなれば、院長に口利きしてくれる可能性があります。
これは『足で稼ぐ』いわゆる古臭いやり方ですが、ゼンリン住宅地図を活用するのもいいでしょう。
これを見れば戸建て住宅の所有者が一目瞭然なので、会社経営者やドクターの自宅を特定するのに役立ちます。
開業医はこのような営業スタイルをクロスしながら攻めるのが良いでしょう。
病院やドクターは営業方法にクセがある
ここまで病院やクリニックの営業方法について解説してきました。
ここまで読み進めた人は『病院やドクターには普通の営業手法では通用しない』というのが理解できたと思います。
一癖ある特殊な職業がドクターなので、まずはその職業の働き方やビジネスモデルを理解する必要があると思います。
それが理解できれば「どの営業方法が効果的なのか?」という答えがおのずと見えてくるはずです。
なので、まずはドクターの日常業務やルーティンを把握しましょう。
このあたりは病院の受付に聞いても良いと思います。
病院の受付嬢をナンパして、その受付の女性から院長へ口利きしてもらっている証券会社のトップセールスマンを見かけたことがあります。
要するに直球勝負ばかりが営業活動では無いということです。
時には変化球を活用しながら、上手に目標達成を目指しましょう!