完全歩合制で働くメリットは少ない?退職するデメリット&リスク

完全歩合制は「フルコミッション制度」とも言われており、リスクが高い働き方だと認識されています。

実際に「フルコミで働くメリットが少ない…」と言われることもあります。

そこで今回は、完全歩合制で働くメリットや、正社員を辞めるデメリット&リスクについて解説していきたいと思います。

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完全歩合制のメリット

完全歩合制は「完全出来高制」とも呼ばれています。

完全歩合制はその名が示す通り、自分が仕事で出した成果がそのまま給料に反映される仕組みになります。

毎月安定的な給与が支給される給料制とは正反対のシステムであり、サラリーマンには無縁とも言える仕組みになります。

正社員の場合、自分がいくらトップセールスとして活躍したとしても、企業に所属している以上は自分が稼いだ売上全額が貰えるということにはなりません。

バックオフィス社員の給料、会社の備品などたくさんの経費が必要なので、稼いだ金額の大半が会社の運営費として差し引かれてしまいます。

しかし完全歩合制で働けば、稼いだ金額が全て自分のものになります。

したがって、完全歩合制の仕事の場合は、年齢・性別に関係なく、頑張り次第で青天井の年収が実現できるのです。

完全実力主義は稼げる

正社員としての雇用契約で歩合制を導入している企業はたくさんありますが、完全歩合制にしている企業は存在しません。

そのため、正社員として勤めている場合では「固定給+インセンティブ」という形式の給与体系になります。

その場合、確かに頑張った分はインセンティブとして還元されますが、インセンティブよりも固定給の比率がどうしても高くなります。

しかし固定給の査定に関しては、実力よりも勤務年数を重視(=年功序列)する企業が大半なので、なかなか会社内で固定給を上げることは難しいでしょう。

特に若手社員は固定給が少ないので、働くことに対して高いモチベーションを維持できない人が多いと聞きます。

しかし完全歩合制なら固定給が無い分、結果を出せば出すほど儲かる金額も大きくなるのです。

完全歩合制のデメリット

一般企業の場合は、営業職の正社員に対して歩合制を導入してるので、給与システムは「固定給+インセンティブ」になっています。

したがって、企業で正社員として働いていれば、仕事で結果を出すことができなくても毎月安定した給与が得られます。

それに対して完全歩合制では固定給が存在しないため、実績ゼロなら歩合(給与)ゼロになってしまいます。

したがって、一切収入の無い月が発生する可能性がゼロではないことを認識しておく必要があります。

リスクを細かく理解しておく

1~2ヶ月程度なら収入ゼロでも貯蓄で賄えますが、無収入の状態が長期間続いてしまうと生活が成り立たなくなってしまいます。

また、体調を崩したり、事故で働けなくなった場合、正社員であれば「休職」にしてもらい、給与の一部を受け取れることが普通です。

しかし、完全歩合制の場合は仕事を休んだ時の給与保証が無く、復帰した時に再度取引先が契約を結んでくれるとは限りません。

このように、フルコミッションは完全実力主義であるために、非常にリスクが高い仕組みになります。

つまりハイリスク&ハイリターンの働き方ということなのです。

できる人は評価されて世間一般の会社員よりもお金を稼ぐことができますが、結果を出すことができないと生活が破綻する可能性のある働き方だと言えます。

完全歩合制の正社員はあり得るの?

営業職の求人情報では、

  • 基本給(固定給)なし
  • 完全出来高制
  • インセンティブあり
  • フルコミッション

などといった求人情報をよく見かけます。

しかし、この求人は正社員募集の情報ではなく、業務委託募集の情報になります。

正社員として雇用されているのに、完全歩合制や完全出来高制、つまりフルコミッション制度を選ぶことはできません。

最低賃金制度において、「最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」定められているからです。

仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされます。

引用元:厚生労働省「最低賃金制度とは」

したがって、企業に所属する正社員でありながら完全歩合制として働いている場合は、最低賃金が保障されていないことから労働基準法に違反することになります。

フルコミッションで働く方法

フルコミッションとして働く場合は企業に所属する正社員として働くのではなく、企業と業務委託契約を結んで働くことになります。

労働基準法は、企業で働く労働者を守るための法律になります。

その為、最低賃金が保障されている正社員では、完全出来高制が実現できないのです。

その反面、個人事業主にあたるフルコミッションセールスの場合は、企業と雇用契約を結ぶわけでは無いので、労働基準法が適用されません。

給与制度において「完全歩合制」と「固定給制」は反対の意味を持つ言葉なのです。

そのため、世間一般より高い給与を稼ぐより、安定的な収入を得たいなら正社員(固定給制)が良いでしょう。

しかし、人よりも結果を出せる自信があって、所得の安定よりも高い報酬を目指すなら、企業と業務委託契約を結んで完全歩合制で働くのが良いでしょう。

完全歩合制の社会保険

完全歩合制の場合は、先ほど解説したように企業に所属する正社員ではなく、個人事業主として働くことになります。

したがって、社会保険の手続きや確定申告も全て自分で行わなければいけません。

完全歩合制の時に加入できる保険に関しては、社会保険のみとなっています。

労災保険や雇用保険は、企業で働く労働者で無ければ加入することができません。

また、残業代や有給休暇は雇用保険によって保障されています。

したがって、雇用保険に加入する権利を持たないフルコミッションを選んだ場合、残業代や有給休暇は保障されていないのです。

フリーランス化の流れもあって、収入保障保険(就業不能保険)という新しい保険商品も出てきました。

これは任意保険ですが、病気などで働けなくなった場合、収入を保証してくれる新しいジャンルの保険商品です。

個人事業主の場合には、このような保険加入を検討する必要もあるでしょう。

フルコミッションは自己責任の働き方

一般企業の場合は、1ヶ月間の労働時間に対し、それに見合った固定給が定められています。

そのため、歩合制が導入されている仕事であっても必ず毎月固定給が支払われます。

それに対して完全歩合制では、固定給や基本給がありません。

先ほど解説したように、フルコミッションは業務委託契約なので労働基準法が適用されないのです。

その為、固定給や基本給に関する取り決めをしなくても、法律に違反することにはなりません。

フルコミッションの場合、仕事の出来高に対して報酬が支払われるため、仕事で結果を出すことさえできれば時間の使い方は自由自在です。

しかし、このように固定給・基本給が保障されないというリスクも理解した上で働く必要があります。

歩合制の給与計算

完全歩合制で働く場合の給与計算方法は、1ヶ月に契約を獲得した件数に金額を足していくだけです。

企業で働いている場合と違って、税金が引かれない状態で受け取ることになるので、この場合は年度末に確定申告して1年分の税金をまとめて支払います。

完全歩合制の場合、1日の仕事量は契約内容によって自由に設定することができます。

例えば、受注1件で1万円のインセンティブなのであれば、1日3受注で3万円、25日稼働で75万円となり、月70万円以上を稼ぐことも可能です。

報酬条件は自分で交渉する

完全歩合制の場合は、売り上げ金額のうち「どれくらいの割合を報酬として受け取るか?」を取り決めする必要があります。

フルコミッションの場合の取り分に関しては40~60%程度が相場と言われており、高い場合でも70%ほどが一般的です。

ただ中には、売上金額の90%を報酬として支払うフルコミッション制度もあったりします。

この辺りは聞いてみないと分かりませんが、企業の取り分と自分の取り分が半々、もしくは自分の取り分が企業より少し多くなる程度を目安に条件交渉するのが良いと思います。

ただし、完全歩合制においても「自分の売り上げを100%自分の取り分にすることはできない」ということを理解しておく必要があります。

自分がとってきた売上を全て自分のものにしたいのであれば、独立起業して一切他社の力を借りずにビジネスするしかありません。

その場合には、自分達で製品サービスを作り上げて、粗利率を最大化することが必要でしょう。

まとめ

フルコミッションという働き方は、フリーランス化の流れもあって、これから益々増えていく一方だと思います。

しかし、デメリットやリスクのある働き方なので、その辺りをしっかり理解しておく必要があります。

個人事業主として独立開業する場合の参考にしてください。

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