アンカリングは営業活動にも使える
先にも少し触れましたが、アンカリングは「営業で使える交渉テクニック」として知られています。
実際に「トップセールス」と呼ばれる営業パーソンは、アンカリングを活用して、お客様を上手にコントロールしています。
その結果、驚異的な営業成績を叩き出しているケースが少なくありません。
営業マンがアンカリングする場合には、”顧客にプラス評価してもらう為の価値基準”をアピールすることが大切になります。
それは些細な事でもOKなので、
- 待ち合わせに遅刻しない
- メールの返信が早い
- 言葉遣いが誠実
などでも充分です。
ビジネス面において時間を守ることや迅速な対応は信頼関係に繋がるので、アピールポイントとしては効果的なはずです。
次でアンカリングの実践テクニックを解説していきたいと思います。
アンカリングの実践テクニック
営業でアンカリングを使用する目的とは、もちろん受注(契約)を獲る為ですよね。
なので、アンカリングの実践テクニックという観点では、成果に繋がる方法が求められるはずです。
例えば、良く使われるアンカリングの手法は、価格提示についてです。
価格とは難しいもので、良く知られている商材の料金であればなんとなく相場を知っていますが、世界初の商材や、一般的ではない商材の平均相場なんて誰にもわかりませんよね。
例えば美術品や骨董品などはその代表格だと言えます。
まったく知らない新進気鋭アーティストの絵画を「この絵は1,000万円なんです!」と言われても、高いのか安いのか価格の妥当性が判断できませんよね?
なので料金感覚が不明確な商材ほど、アンカリングの効果は絶大だと言えます。
つまり、料金感覚が不明確な商材では、下のような二重価格にするとアンカリングと同時にお得感を演出できるということです。
このような表記は百貨店やスーパーマーケットで良く見かけますよね。
まさにこれがアンカーリングなのです。
このような表記にすることで、お客様には「だいたい5千円くらいの商品なんだなぁ…」という認知バイアスがかかります。
その判断基準を基にして、
- 買った方が良いのか?
- お得なのか?
- 他社製品と比べてどうなのか?
という決断作業へと入っていくのです。
つまり、人間はアンカーリングが無ければ、「購買の決断作業まで至ることがほぼ有り得ない」ということになります。
これは製品サービスのクロージングを仕事にしている営業パーソンにとっては、非常に重要なポイントですよね。
これを理解しているのと知らないのでは、営業実績に雲泥の差が出てくるはずです。
ただ、二重価格には厳格な規制がありますので、必ず事前に管轄省庁のホームページを確認するようにしてください。
高額商材も売りやすくなる
ここまではお得感を演出するためのアンカリングについて解説してきましたが、アンカリングは価格を高くするのにも活用できます。
例えば、清涼飲料水などは多くの人が参考価格を知っているため、価格アップが図りやすい商材と言われています。
清涼飲料水の平均価格は100円~150円くらいだと思いますが、ある付加価値をつけた飲料水を300円で料金設定すると、詳細説明をしなくても、なんとなく「特別な飲料水なんだろうなぁ」という印象を抱かせることができます。
つまり、これほど相場感が周知されている商材の場合には、安く見せるのではなく、高く見せた方がアンカリング効果が絶大だといえます。
このような例もありますので、自分の取り扱う商品には「どんなアンカリングが効果的なのか?」という点を確認した方が良いでしょう。
アンカリングの具体例を紹介!
身近な場面でアンカリングが頻繁に行われている場所は、スーパーマーケットが代表的だと思います。
スーパーマーケットでは定期的に卵や生鮮食品が特売の対象となり、手ごろな価格で買物をすることができますよね。
しかもスーパーマーケットには毎日のように通うので、消費者には自然と平均価格(相場)が刷り込まれていきます。
その一方で、販売している日用品の中には高額商品も少なくありませんし、特売商品と一緒にそれらを購入する人もいます。
このような環境は、とても効果的なアンカリングが実施できる現場だといえるでしょう。
先程もご説明したようにアンカリングは”価格の安さをアピール”するだけでなく、”高額商品をアピール”する時にも使用することができます。
このようにアンカリングは様々な交渉に役立つ認知バイアスなのです。
使い方次第では「営業のカンフル剤」になり得る施策なので、ぜひ積極的に活用してみましょう。
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