
ショッピングモールへ行くと、靴下専門店Tabio(タビオ)を見かけますよね。
しかし、ABCマートのようなシューズ専門店やユニクロのような衣料品専門店はよく見かけますが、靴下専門店はとても珍しいと思います。
実際、一定数量以上の靴下専業は世界的にも珍しく、日本ではタビオだけ、海外でもドイツのファルケくらいだと言われています。
靴下だけでビッグビジネスをするなんて凄過ぎですが、それもこれも創業者である越智直正の経営手腕があったからだと思います。
そこで今回は、Tabio(タビオ)創業者である越智直正(おちなおまさ)の名言集をご紹介したいと思います。
元気をくれる言葉ばかりなので、独立・起業を目指す人は是非ご覧ください。
越智直正(おちなおまさ)の略歴
越智直正(おちなおまさ)は靴下専門店Tabio(タビオ)の創業者です。
1939年に愛媛県で生まれ、中学卒業後に大阪の靴下問屋に丁稚奉公します。
丁稚奉公という仕組みは、将来的に暖簾分けして独立開業するのが前提なので、そこで一生懸命頑張っていたのですが、師匠の勝手な思い違いでクビにされてしまい、仕方なく自分で靴下の卸売を始めることにしました。
苦労しながらも事業を軌道に乗せ、1982年には小売業へ進出、84年に靴下屋の1号店をオープンさせフランチャイズ展開を開始します。
とにかくメイドインジャパンにこだわった高品質な商品を提供し、2000年には靴下専業会社として日本初の上場企業となります。
その後も積極的に海外進出などを進めましたが、2022年に不慮の事故で逝去しました。
Tabio創業者「越智直正」の名言まとめ
いい靴下を作るには常に靴下のことを考えていないといけない。
越智直正は自分のことを「靴下バカ」と揶揄するほど、昨日も今日も明日も”靴下”のことしか考えていないそうです。
ゴルフも麻雀もせず、お酒もあまり飲まずに、いい靴下を作ることだけを常に考えています。
あくまでも自称ですが「私は世界一いい靴下を見ている人間」と語っています。
自分の人生は自分の力で切り開くより他に道はない。
越智直正は15歳で丁稚奉公に出て、大変な苦労をしますが、その時に出会ったのが孫子の兵法や論語だったそうです。
中国古典を読んでいるうちに、少しずつ内容が理解できるようになり「考える重要性」に気づいたそうです。
日本経済の父と呼ばれている渋沢栄一も、論語を愛読書にしており、ビジネスパーソンが必ず読むべき本として推奨しています。
まだ論語を読んだことがない人は、ぜひ一度手に取ってみてください。

頭、目、耳、鼻、口、手、足。
人間の機能は使う順番に並んでいる。
何か問題が起きた時、とにかく右往左往してしまう人を見かけますが、体の機能を上から順番に使っていくのがおすすめだそうです。
まずは頭で考えて、目や耳を使って現状を把握し、その後に手や足を動かすのです。
関西商法の真髄は才覚、算用、始末。
越智直正は大阪で丁稚奉公していた時、才覚、算用、始末の3つを叩き込まれたそうです。
- 才覚:全知全能を使って機敏に解決する能力のこと
- 算用:スタートからゴールまで数字に落とし込むこと
- 始末:物事一つ一つのけじめをつけること
これが関西商法の真髄みたいなので、ビジネスパーソンは覚えておきましょう!
聞くは一時の恥、聞かぬは末代の恥と言います。
「無知の知」と言ったのは、あの有名な古代ギリシャ哲学者のソクラテスです。
「無知の知」(または「不知の自覚」)とは自分に知識がないことを自覚するという概念です。 「自分に知識がないことに気づいた者は、それに気づかない者よりも賢い」ということを意味しています。
無知であることを恥じる必要はありません。
越智直正は「自分の知らないことを知っているなら、赤子にだって遠慮なく教えてもらえ」と語っています。
なぜ靴下だったのか。
他に能があったら、靴下なんてやってないよ。
何とも潔い名言ですよね。
靴下を仕事にした理由について「それ以外に才能がないだけのことよ」と語っています。
自分で職業を選ぶのではない。
仕事があなたを選ぶのです。
これは、その人の人生や職歴、価値観など全てが加味された結果、人間は必然的な仕事を選んでいるという考え方です。
このような考え方を、世間一般では「天職」と呼んでいます。
才能がなくても一生懸命に頑張っていれば、仕事があなたを守ってくれる。
これはとてもいい言葉ですよね。
「ルールを守るから、自分もルールに守られる」という格言もありますが、まさにそれを伝えている名言だと思います。
仕事というのは社会とつながる鎖のようなものなので、仕事を頑張っていれば必然的に社会との繋がりが強くなり、結果的にそれが「自分を守ってくれる」ようになるのです。
靴下だけが僕の誇りやし、靴下以外に誇れるものが何もない。
だからせめて靴下だけは誇れる人間になりたいと思っています。
日本唯一の靴下専業会社を上場まで導いた越智直正ですが、これまで一度も100点満点の靴下を作ったことがないそうです。
常に原点回帰しているそうですが、もの凄い向上心ですよね。
今も昔も歴史に残る偉人や大偉業をなした人は、目標に向かって真剣に、無心で取り組んだ人たちです。
偉人達が残した名言からは多くの学びがありますし、とても有用だと思います。
偉人達の名言を知りたい人は下の記事をご覧ください。
あの時無茶を承知であの条件を押し通したからこそ我が社は機を逃さず創業できた。
これは「20日締め月末現金払い」という、ビジネス常識から逸脱した”無茶苦茶な条件”で取引先開拓していた頃を語った名言です。
当時の中小企業はほとんど120日サイトだったので、この条件がいかにむちゃくちゃか理解できるはずです。
しかし当時を振り返って越智直正は「あの決断は間違いではなかった」と語っています。
企業経営をしていると、いくつもの決断を迫られる局面がやってきます。
どんな決断を下すにしても、その責任を取るのは自分自身なので、本気でビジネスするためには並大抵ではない”覚悟”が必要だと考えています。
経営に奇策はありません。
原理原則を貫けば道は開けます。
この名言からもわかるように、越智直正は「経営者に必要なのは原理原則を身につけることでしょう」と語っています。
これは「道徳感」や「善悪の判断」などと言い換えることができますが、それらは論語を通じて学んだそうですが、同じことを渋沢栄一も言っています。
日本経済の父と呼ばれている渋沢栄一が残した本が「論語と算盤」なので、ビジネスパーソンはぜひ読んでみてください。

知ったことを使えなかったら、知ったうちに入らない。
現代は情報化社会なので、様々な情報が簡単に手に入りますよね。
つまり知識だけはいくらでもつけられるということです。
しかし勝つためには知識だけを溜め込んでも意味がないので、それを元にした行動を起こさなければいけません。
このように豊富な知識を持っていて、行動力も兼ね備えた人のことを「智恵のある人」と呼んでいます。
本気になれば解決できる。
逃げ腰では解決できない。
これは越智直正が丁稚奉公していた先の大将(師匠)に言われた言葉です。
人生には様々な問題が発生しますが、基本的に解決できない問題などありえないと考えています。
なぜかといえば、あなたの人生の延長線上に出てきた問題だからです。
例えば、あなたの人生に下のような問題が出てくるでしょうか?
- 今季の業績が-1000億円で、会社が倒産しそう
- この勝負に勝てばオリンピックの金メダルが手に入る
- 国際特許を取りたいがやり方がわからない
これらは年商1兆円の会社を経営している社長だったり、世界最高のトップアスリートだったり、とんでもない技術革新をした人の前にしか現れない問題ですよね。
普通の生活をしている人の前には、このような課題が出てくることがありません。
このような問題が目の前に出てくるということは、その人であれば乗り切れるだけのスキルがあるという裏返しです。
そう思えば、逆境すらも楽しめますよね。
自分で言うのも何やけど、僕はむちゃくちゃ借金するのが上手です。
何かを担保に入れて借金するのは簡単ですが、越智直正は担保がなくてもたくさん借金できたそうです。
それがあまりに膨れ上がりすぎて、自分のことを「無能経営者」と思っていたみたいですが、資金調達能力が経営にとって非常に重要な要素だと気づいてから、借金することの考え方が180度変わったそうです。
どのような方法だったとしても、資金調達できて損することはありません。
経営者を目指すのであれば、資金調達スキルを磨いておきましょう!
交渉がうまいとは自分でも思わんけど、死に物狂いだと色々な知恵が出てくるのでしょうな。
人間は追い詰められなければ本当の力を発揮できません。
とにかく自分にストレスをかけて、徹底的に追い込むことが、結局のところ”自己成長”につながるのだと思います。
戦うことは覇道であり、経営は王道を歩むべきもの。
経営は王道を行かなければいけません。
覇道は「武力や企みで組織をマネジメントすること」なので、結局は邪な考え方になり、うまく人を動かすことができなくなるのです。
人の動かし方について学びたい人は、下の記事をご覧ください。
価格競争になれば当社のような体力の限られる中小企業に勝ち目はありません。
靴下は一足単位で売るのが一般的でしたが、1980年頃に「3足1000円」という売り方が急速に普及しました。
しかし越智直正は、絶対にそのような売り方をしなかったそうです。
体力のない中小企業が大手企業と同じやり方をやった場合、確実に負けることになります。
そのようなケースでは差別化戦略が重要になるので、基本的にはランチェスター戦略に基づいた局地戦をするべきだと思います。

自らブルーオーシャンを発掘する「ブルーオーシャン戦略」というやり方もあるので、知らない人は下の本を読んでみてください。

僕は基本的に善悪ではなく、正邪で物事を考えます。
この理由について「善悪を軸にすると、自分にとって都合の良いことが善になり、都合の悪いことは悪になってしまう」と語っています。
しかし正邪で考えた場合、この判断基準には社会性が入ってくるので、俯瞰的に物事を見れるそうです。
僕は誰が何と言おうと戦わない経営をする。
越智直正は孫子の兵法を愛読していました。
その中にある「戦わずして勝つ」という考え方が染み付いているので、ライバル(競合他社)含めて、絶対に戦うことをしなかったそうです。
孫子の兵法にはビジネスの要諦が詰まっているので、必ず読んでおきましょう。

僕が唯一反対したのが靴下屋という屋号でした。
Tabio(タビオ)は元々「靴下屋」という屋号の店舗でした。
しかしこの名前は業界全体の責任を背負うような”尊大なネーミング”なので、最初は大反対したそうです。
しかし結果的に、この名前だったからこそ認知が広がり、株式上場することができたと語っています。
問題の解決方法は、根本が何かを探すことです。
問題が複数あった場合、対応する順番を考えて、すぐにできるところから取り組むべきでしょう。
商品がどれだけ売れるかは誰にも予測できません。
100作って、100ぴったり売り切るのが理想ですが、現実は50だったり、120だったりします。
100作ったのに50だったら在庫になりますし、120だったら機会損失になります。
このような問題を解決するために、越智直正は”店頭の売れ筋状況”を迅速につかんで生産へとつなげる「生産・販売管理システム」を構築したそうです。
幸運はやる気のある人に集まります。
これを世間一般では「引き寄せの法則」と呼んでいますが、行動は必ず結果に繋がっていきます。
それが結果的に「運のある人」と呼ばれているのです。
花を見ても映画を観ても、散歩していても、自分の人生や職業に結びつくヒントがあります。
何気ない日常の風景だったとしても、その中に問題解決のヒントが隠されていたり、ビジネスシードが潜んでいると言われます。
それらは常に問題意識を抱えている人にだけ見える風景だと聞きます。
始末の悪い人間は信用されない。
物事には始まりと終わりがあります。
そこできちんとけじめをつけなければ、相手から信用されないので注意しましょう。
得意先から利を奪わず、相手の利を優先する。
利益を奪う人のことをテイカー(Taker)と呼び、利益を与える人のことをギバー(Giver)と呼んでいます。
テイカーとは付き合わず、自分はギバーになりましょう!
大切なのは「理念の共有」です。
ヒトモノカネの経営資源が限られている中小企業では、理念の共有が必要不可欠です。
同じ目的意識を持って、同じビジョンを描いていれば、その組織は多馬力になるので、きっと大きな成果を残せるはずです。
これを実現するためのポイントについて、越智直正は「今日この集団を作る上で大切なのは、リーダーが情熱を持って理想を語り続けること」だと語っています。
最高の靴下を最適な価格でお客様に届けたい。
これがタビオという会社が目指す理想です。
とても分かりやすくてシンプルな言葉ですよね。
日本の靴下は世界最高品質です。
Tabioはメイドインジャパンにこだわっていますが、その理由は「世界最高品質」だからです。
品質の劣る安物を販売しているところは。僕からすればお客さんを馬鹿にしていますのや。
ビジネスに対する信念がないと、「自分さえ儲かれば良い」という極端な考え方になってしまいます。
そうではなくて、「この事業で実現したいことは何なのか」をきちんと把握するべきだと思います。
まとめ
ここまでタビオ創業者である越智直正(おちなおまさ)の名言をご紹介してきました。
日本一の靴下専門店を創業した人物の言葉には多くの学びがあると思います。
このような偉業を残した人たちの名言を知りたい場合には、下の記事もご覧ください。