ストックビジネスは全ての企業が探し求めているはずです。
企業経営を安定化させる要因にもなりえるので、「ストックビジネスを持っているか否か?」は経営者にとって非常に重要なポイントだと思います。
そこで今回は、ストックビジネスという話題についてフォーカスしていきたいと思います。
目次
ストックビジネスの意味とは?
ストックビジネスとは、継続収入を意味する言葉です。
そもそも英語の「stock」には、在庫品、手持ち品、蓄えなどの意味合いがありますが、ストックビジネスという使い方をする場合には「利益が蓄積していくビジネス」という意味で使われています。
つまり、契約をとればとるほど売上&利益が蓄積されるので、右肩上りに収益が伸びていくビジネスモデルのことなのです。
最も身近なストックビジネスといえば光熱費や携帯電話ですよね。
一度契約するとなかなか解約(変更を含む)しない商材が光熱費や携帯電話だと思います。
なので、東京電力やソフトバンクなどからすると、受注を取れば取るほどストック金額が増えていくことになるので、安定した収益を確保できるようになります。
もし「代理店マージンはストックです」と言われた場合には、自分が商材を販売した契約が続く限り、継続的な収入が入ってくると思って良いでしょう。
フロービジネスとは?
ストックビジネスを理解するためには、その対義語であるフロービジネスについても知っておくべきだと思います。
フロービジネスとは「一時収入」を意味する言葉なので、ストックビジネスとは反対の意味合いがあります。
ビジネスの現場では一般的に使われている言葉ですが、もし「代理店マージンはフローです」と言われた場合には、1回きりしか報酬が支払われないという理解で良いと思います。
フロービジネスは「ショット」とか「スポット」と呼ばれることもありますが、どれも同じ意味合いになります。
ストックビジネスは難しい…
経営者であれば誰でも「ストックビジネスが欲しい!」と思っているはずです。
なぜかと言うと、フロービジネスは労働集約型の自転車操業だからです。
例えばあなたが自動車を売るディーラーだった場合、自動車が売れればフロー収益が入ってきますが、自動車が売れなければ収益はゼロということになります。
しかし、ストック収益さえあれば、たとえ自動車が売れなくても安定的な収益を確保できるので、企業経営が安定化するのです。
しかし、ストック型ビジネスを作るのは至難の技だと言われています。
というのもストックビジネスの場合には、消費者が支払う金額が月額制になってしまうからです。
例えばあなたが利用している月額制のサービスは何でしょうか?
- 光熱費
- 家賃
- 駐車場代
- 携帯料金
- インターネット回線
- ウォーターサーバー
- フィットネスジム
- 動画サイト
一般的には上記のようなものくらいしか月額料金は支払っていないはずです。
つまり、消費者が月額料金を支払うハードルはそれほど高いのです。
一般的に月額費用は「ランニングコスト」とも呼ばれており、少ないほど可処分所得が増えるので良いとされています。
生活する上で”本当に必要だ”と思わなければ、どんなに安かろうが消費者は月額料金を支払いたくありません。
月額サービスに衝動買いは存在しないのです。
そう考えた場合、ストックビジネスを作ることは非常に難しいことだと理解できるはずです。
ストックビジネスの作り方を解説!
ストックビジネスを作る場合、大前提として「消費者から必要とされるサービス」にしなければいけません。
月額1,000円でも500円だったとしても、消費者は要らないものにお金を払いません。
なので、絶対的に価値のあるサービスを提供しなければストックビジネスは成り立たないのです。
また、ストックビジネスを作るのにはポイントがあるので、ここで押さえておきましょう。
ストックビジネスを作る上で、一番重要なことは「損失を提示する」ことです。
ストックビジネスを構築しようとした場合、消費者のメリットばかりに目が行きがちですが、それだけでは絶対に解約が出てしまうのです。
ストックビジネスを成功させるポイントとは、「いかに解約をさせないか」ということに集約されていきます。
つまり、一度契約したらなかなか解約が発生せず、高い継続率(一般的には95%以上)でストックが増え続けることがビジネスモデルとして重要なのです。
もちろん解約が出来なければクレームにつながってしまうので、解約がしにくい、もしくは解約が出づらい仕組みにするということです。
このようなビジネスモデルを構築するためには、製品サービスに磨きをかけることは当たり前ですが、それ以上に解約しづらいビジネスモデルを真剣に考えなければいけません。
例えば「長期優遇制度」というのは代表的な解約防止策だと思います。
長い期間利用してもらったユーザーに対して、割引や特典などでメリットを提供し、解約が出にくい状況を意図的に作ってしまうのです。
そうするとユーザーには「解約したら損するかも…」という心理が生まれるので、なかなか解約しづらくなります。
このように「損失を提示する」ということは、ストックビジネスを作る上で非常に重要な要素になります。
サブスクリプションが流行中
ストックビジネスといえば「サブスクリプションサービス」ですよね。
しかし「月額制サービス」と「サブスクリプションサービス」が同じだと思っている人は案外多いようです。
この両者は全く別のビジネスモデルなので、ここでその違いを押さえておきましょう。
月額制についてはここまで解説した通りですが、サブスクリプションには「使い放題」という意味合いが込められています。
つまり定額料金という部分は一緒なのですが、契約したサービスを制限なく自由に使えるのがサブスクリプションの特徴なのです。
例えば、代表的なサブスクリプションサービスといえばNetflixやAmazonプライムなどだと思います。
Netflixでは月額1,000円~2,000円ほどを支払えば、サイト内の動画がすべて見放題になります。
サブスクリプションは追加料金が発生することもないので、安心して利用できることが特徴的です。
なので、もしサブスクリプションサービスを作る場合には、「定額使い放題」というサービス要素を組み込むようにしましょう。
ストックビジネスのアイデア例
ストックビジネスを構築する場合、どのようなアイデアがあるのでしょうか?
そのやり方は大きく分けて2種類だと思います。
- メイン商材として販売する
- 副商材として販売する
メイン商材とは主力商材を意味しています。
例えば代表的な商材ではSaaS(Software as a Service)が挙げられます。
SaaSはクラウド型のソフトウェアですが、月額制にしているサービスが多いため、ストックビジネスになりやすいのです。
ソフトウェアはOSやパソコンのバージョンアップに対応しなければいけないので、常にアップデートが求められます。
もし円盤のソフトウェア(買い切り型)であれば、バージョンアップに対応するため買い直さなければいけませんが、クラウド型であれば更新した最新バージョンをインストールするだけで済みます。
しかもそれを自動的にやってくれるので、クラウド型のSaaSはユーザーにとって利便性が高いのです。
そのような理由から多くの企業でSaaSが利用されていますが、その料金体系は月額制になっているので、まさしくストックビジネスだと言えます。
次に副商材として販売するケースもあります。
副商材として販売する場合には、オプションなどで提供されるケースが多くなっています。
例えば、携帯電話の「安心サポートサービス:月額500円」などがそれに当たります。
メインである携帯電話を販売するついでに、副商材も販売してしまうのです。
やり方は様々ですが、企業の営業戦略によって、
- 主力商材として販売するか?
- 副商材として販売するか?
を決めるのが良いと思います。
ストックビジネスのデメリット
ここまで読み進めた人は、ストックビジネスにはメリットしか無いと思うかも知れませんが、実はデメリットも存在しています。
それは事業への投資金額が大きくなってしまうことです。
ストックビジネスは月額サービスなので、どうしても料金を高くすることができません。
例えば、月額制の動画サービスであれば月1,000円くらいが普通ですし、フィットネスジムの会費だった場合には1万円くらいが請求金額の限界だと思います。
月額10万円とか20万円という金額を請求するビジネスモデルはなかなか構築しづらいのです。
しかし、高級ブランドのアパレルやバッグであれば、ひとつ10万円とか100万円で販売することもできます。
例えば1個10万円の高級バックの粗利が90%(9万円)だった場合、その金額をストックビジネスで稼ぐにはどれほどの時間軸が必要なのでしょうか?
月額1,000円のサービスであれば、「9万円÷1,000円=90ヶ月」になりますし、月額1万円のサービスだったとしても「9万円÷1万円=9ヶ月」という計算になります。
新規契約をコツコツ積みますとしても、数年かかることは容易に想像できると思います。
つまり、それだけ長い期間をかけなければ、大きく稼ぐことができないのです。
ここまでの話で理解できたと思いますが、ストックビジネスとは少額をちょっとずつ積み上げていくビジネスモデルなのです。
なので、儲かるためにはどうしてもある程度の時間軸が必要になってしまいます。
これはつまり、損益分岐点が長くなることを意味しています。
大企業であれば体力(=資金力)があるので問題ありませんが、体力のない中小企業は赤字を出し続けるとすぐに倒産してしまいます。
よって、中小企業がストックビジネスを構築することは現実的に難しいのです。
これがストックビジネスを始めるにあたっての大きな障害でありデメリットだと言えます。
ストックビジネスの副業は最高!
ストックビジネスのデメリットについて理解できたと思いますが、そのような側面をうまく利用するには副業や副商材に使うという選択肢が良いと思います。
つまり、メインとなる稼ぎ頭(キャッシュカウ)がある状態であれば、たとえ時間軸が必要だったとしても何の問題も無いからです。
例えば個人レベルで考えてみましょう。
毎月の生活費が30万円だった場合、30万円の給料が支払われるサラリーマンとして働いていれば、とりあえず生活できますよね。
そのような状態で以下のようなストック型の副業を始めた場合を考えてみたいと思います。
- 月額1,000円のソフトウェアをインターネットで販売する
- 毎月の新規契約は5件
上記のような副業をした場合、以下のようなシミュレーションが成り立ちます。
- 1ヶ月目:5件×1,000円=5,000円
- 2ヶ月目:(5件×1,000円)+(5件×1,000円)=10,000円
- 3ヶ月目:(10件×1,000円)+(5件×1,000円)=15,000円
- 4ヶ月目:(15件×1,000円)+(5件×1,000円)=20,000円・・・
このように毎月5,000円ずつストックが増加していったと仮定した場合、60ヶ月で30万円に到達します。
もし仮に解約が出たとしても、高い継続率であれば70ヶ月くらいで30万円に到達することでしょう。
ということは、約5年から6年ほどで損益分岐点を超えることになります。
これはある意味で不労所得になるので、損益分岐点最高でしまえばサラリーマンを辞めて個人事業主(フリーランス)として活動することもできるはずです。
しかし、これを実現するためには5年~6年間は経営的な意味の赤字を出し続けるという覚悟が必要になってしまうのです。
よって、その赤字分を本業で補填できているサラリーマンにとっては非常に有利な状況であることが理解できるはずです。
もし会社員として副業する場合には、このようなストックビジネスを構築するようにしましょう。
この概念はもちろん法人にも適用できます。
例えば人材紹介会社のように大きな稼ぎ頭(キャッシュカウ)があれば、そこで稼いだお金をストックビジネスに投資することができるはずです。
つまり、既存顧客に対してストック型の副商材をクロスセルし、少しずつ月額収益を積み上げていくのです。
このような地道な努力が、5年後に花を咲かせるのです。
代理店募集にも使える
もしあなたが経営者だった場合、代理店募集するタイミングがあるかも知れません。
もしそのような機会があった場合、代理店マージンはストック型にした方が良いと思います。
冒頭お伝えした通り、どの企業もストック収益を欲しがっています。
なので、代理店報酬をストック収入にすることで、販売したがる人が必ず増えるはずです。
その結果、代理店募集も成功しやすくなります。
ただし、ストックビジネスにする場合には、その報酬管理が問題になってきます。
一度きりの支払いであるフロー収入であれば問題ありませんが、ストック収入の場合には代理店の過去実績を全て集計&管理していかなければいけません。
この集計がうまくいかず、代理店制度が崩壊してしまった例は後を絶ちません。
なので、もし代理店募集をする場合にはストックビジネスにすることをお勧めしますが、その集計方法についてはしっかり考えるようにしましょう。
まとめ
ストックビジネスを構築することは難しいですが、一度出来上がったストックビジネスはとても強固な地盤になります。
なので大変だとは思いますが、必ずストックビジネスを持つようにしましょう。
もし月額制のストックビジネスが難しいのであれば、「実質ストック」というやり方もあります。
これは「実質的なストックビジネス」という意味合いがある言葉です。
例えば化粧品などが典型例になります。
化粧品は自分の好みの製品を毎月購入する傾向があります。
月額制ではないですが、毎月購入されるという観点では実質的なストックビジネスになっているのです。
リピート商品とも呼ばれますが、このように「毎月必要とされる」「消耗品である」という製品サービスであれば、実質的なストックビジネスにできるはずです。
きっとあなたの商材にもストックビジネスにできる要素が何かしらあるはずです。
このあたりはアイデア次第だと思うので、色々と試しながら考えてみましょう。