シックスシグマをわかりやすく解説!
ここまでの情報を把握した上で、具体的なシックスシグマについて触れていきたいと思います。
しかし難しいと伝わりづらいので、今回は分かりやすく”料理”を例にしたいと思います。
シックスシグマは製造業で効果を発揮していますが、料理もある意味では”製造”と言えるので、例としてはピッタリですよね。
例えばインスタントラーメンを作る場合、そのプロセスを3つに分けてみましょう。
- 材料を準備する
- 調理する
- 完成
まずは材料を準備するので、お肉や野菜などを刻んだり、インスタントラーメンを袋から出します。
そして鍋に水を入れて、火をかけ、インスタント麺をグツグツと煮ます。
その間にお肉と野菜を手早く炒めておきます。
それらを器に持って、ラーメンの完成です!
この流れは「インスタントラーメンを作る」という作業ですが、そのやり方と「全く同じでなければラーメンは完成しない」というわけではありませんよね。
例えばカット野菜を使ったり、具材に海鮮を入れたり、生麺を使用するなど、色々なアレンジ方法があると思います。
どのようなやり方を選択しても、結果的にインスタントラーメンは出来上がりますよね。
このように、製造においては様々な要因や作業が発生するので、それによって結果が変わってしまうのです。
つまり成果物&不良品(=結果)などを発生させるのは、複数のプロセスが影響していると考えるべきでしょう。
それを式にしたのが「Y=f(x)」というものです。
「Y」というのは結果として起こっている現象のことで、Yに影響を与える要因を「x」で表します。
そしてこの2つのプロセスを「f」が結びつけるという考え方なのです。
なのでシックスシグマを理解する上では、「Y=f(x)」という公式を必ず覚えておきましょう!
VOCとCTQを決めよう!
VOCとは「Voice Of Customer(顧客の声)」なのですが、VOCを集めることがシックスシグマ活動のスタートと言われています。
なぜかといえば「美味しいラーメンを作る(=Y)」という目標を実現するためには、それを定義付けしなければいけないからです。
例えばインスタントラーメンを「塩ラーメン」にした場合、出来上がるのは塩ラーメンですよね。
しかしVOCで「醤油ラーメンが一番美味しい」という結果が出た場合、基本的には「醤油スープを使うべき」だと思います。
そして、ラーメンに入れる具材を考える場合、絶対に入れて欲しい具材として「チャーシュー」が挙げられたとします。
このような製品クオリティに決定的な影響を与える要因のことをCTQ(Critical To Quality)と呼んでいます。
CTQによって完成品(=Y)が変わるので、その重要度が理解できるはずです。
統計学を活用する
美味しいラーメンを作るために不可欠なのが「最適な茹で時間」です。
茹ですぎた麺は美味しくありませんし、硬すぎても美味しくありません。
しかし人によって「最適な麺の硬さ」にはバラツキ(σ)がありますよね。
そこで統計学の出番です!
Aさんは硬めが好きなので「3分が理想的」だと言っています。
そしてBさんは「5分がいい」と言っています。
このように統計データを取っていき、最適な時間を割り出していくのです。
MAICを回し続ける
MAICとは以下4つの頭文字を取った言葉です。
- M:Measure(測定)
- A:Analyze(分析)
- I:Improve(改善)
- C:Control(管理)
シックスシグマシグマでは、まず取り上げた課題の現状をきちんと把握して「どのような状況なのか?」を明確にする「Measure(測定)」を行います。
そして収集したデータをもとに問題点を定義して、改善の目標設定をする「Analyze(分析)」を実施します。
さらに分析した結果から最適解を導き出し、「Improve(改善)」を試みます。
そして改善結果をチェックして、その後のトラブルに対処する「Control(管理)」を実施するのです。
これらは継続的な活動になるので、ある意味では永遠にMAICを回し続けることになります。
これはPDCAサイクルに似ているので、そのようなものだと理解しておきましょう。
シックスシグマの具体的なプロセス例
「MAIC」という概念が理解できたところで、具体的なプロセスを検証してみたいと思います。
この記事を見ている方は”ビジネスパーソン”だと思うので、「会社に出社する」というシチュエーションを、シックスシグマで改善してみたいと思います。
サラリーマンは「会社に遅刻する」のがご法度だと思いますが、朝ダラダラしていて、始業時間である9時に間に合わなかったと仮定します。
すると上司から「二度と遅刻をするな!」と怒られたので、今回の改革テーマは「遅刻をしない」ということに決めました。
朝起きてから会社に到着するまでは1時間ですが、その内訳は以下の通りです。
朝8時に起きる
10分で身支度を整える
20分前後で朝食を取る
バス停まで10分歩く
バスに10分乗る
バス停から10分歩いて9時に会社到着
これらを全て足すと「10分+20分+10分+10分+10分=60分」なので、これでは出社時刻である9時ギリギリになってしまいます。
そして製造においては何らかの制約があるはずなので、今回は「起床時間の8時と始業時間の9時」を制約にしたいと思います。
このプロセスを改善するため、まずは身支度を整えるというプロセスを改善してみましょう!
サラリーマンの身支度といえば、髭を剃ったり整髪したり、スーツを着ることですよね。
朝起きて「どのスーツを着ようか?」と決めて、それに合うワイシャツを選び、アクセントになるネクタイを選ぶ…という作業は、日によってバラツキ(σ)が出てしまいます。
なので、その作業は前日寝る前に済ませましょう。
これでバラツキがなくなるので、毎朝きっちり5分以内になりました。
そして朝食を手作りするとバラツキが出てしまうので、前日に購入したパンとインスタントコーヒーにメニューを変更します。
これで食事の時間は10分以内に統一できました。
すでに15分節約できているので、これでかなり余裕ができましたよね。
しかし、なぜか次の日も遅刻してしまったのです。
なんでプロセスを改善したのに遅刻してしまったのでしょうか?
その原因はバス(移動手段)にありました。
バスは交通状況によって到着時間が変化するため、想定よりも到着が遅れてしまったのです。
到着時間にバラツキ(σ)が出ないように、今度は会社までの移動手段を改善することにしましょう。
会社への移動手段は「自家用車を購入する」「電車を利用する」など複数ありますが、その中から”最適解”を見つけて、今回は電車での移動に切り替えました。
電車でも人身事故や遅延は発生しますが、別の迂回ルートがあるため、バスほどバラツキが出なくなりました。
しかし電車に乗る時間帯によって、到着時間にバラツキ(σ)が出たので、今度は最もバラツキが出にくい時間帯を探すことにしました。
これまでは8時30分の電車に乗っていましたが、もう少し早い8時20分の電車であれば、到着時間のバラツキが出にくいことに気がつきました。
しかし起きる時間は朝8時という制約があるので、食事の時間を5分改善したいと思います。
そのためにインスタントコーヒーから、缶コーヒーに切り替えました。
これでお湯を沸かす時間が節約できますよね。
まとめ
ここまで読み進めた人は、シックスシグマ(6σ)という手法が「決して特別な手法ではない」ことに気がついたはずです。
実は私達が日常的に行っているプロセス改善こそが”シックスシグマの原型”であり、それをデータ化して分析し、論理的に仕上げたのが「シックスシグマ」という経営手法なのです。
もちろんこれは表面的な話なので、実際にはもっと奥深い分析が必要だったり、改善プロセスがあります。
しかし表面的にはこのような理解で十分だと思います。
他にもビジネスに活かせるノウハウはたくさんあるので、ぜひ下の記事も参考にしてください。