
心理学は、人間の心の動きや行動結果について研究している学問です。
例えば、下の言葉は有名なフレーズですが、両方とも同じことを言っているのが理解できるでしょうか。
給料の2割を貯金してごらん
給料の8割で生活してごらん
このように、言い回しによって受け手側の印象や行動は変化するのです。
つまり、心理学を理解すれば、人を操るテクニックが手に入るということです。
ビジネスにおいてこれは非常に重要なポイントだと思います。
ビジネスでは、上司や部下、取引先、お客様など、たくさんの登場人物がいますよね。
それらのステークホルダーを円滑にコントロールすることが売上の最大化につながっていくのです。
そう考えた場合、ビジネスパーソンは人心掌握術を身につけておいて損することがありません。
そこで今回は、仕事やビジネスで使える心理テクニックについて解説していきたいと思います。
知っておいて損することがない情報なので、ぜひ最後までご覧ください。

目次
- 1 ビジネスに使える心理術まとめ
- 1.1 1:好意の返報性
- 1.2 2:スリーセット理論
- 1.3 3:ローボール効果
- 1.4 4:希少性の原理
- 1.5 5:類似性の法則
- 1.6 6:バランス理論
- 1.7 7:パブリックコミットメント
- 1.8 8バーナム効果
- 1.9 9:スリーパーエフェクト(仮眠効果)
- 1.10 10:クライマックス法&アンチクライマックス法
- 1.11 11:コントラスト効果
- 1.12 12:ホーソン効果
- 1.13 13:ハロー効果
- 1.14 14:フット・イン・ザ・ドア法
- 1.15 15:ドア・イン・ザ・フェイス法
- 1.16 16:カリギュラ効果
- 1.17 17:両面提示の法則
- 1.18 18:ランチョン・テクニック
- 1.19 19:オープン&クローズドポジション
- 1.20 20:ピグマリオン効果
- 1.21 21:同質の原理
- 1.22 22:スティンザー効果
- 2 まとめ
ビジネスに使える心理術まとめ
ここからビジネスで使える心理テクニックを解説していきたいと思います。
交渉を有利に進めたり、営業活動に使ったり、プライベートの恋愛に使えるテクニックもあるので、一つずつ確認していきましょう。
1:好意の返報性
好意の返報性は、人付き合いや恋愛で使える心理テクニックです。
例えば、あなたは全く意識していなかった異性だったとしても、友達から「●●がキミのこと好きみたいだよ」と聞かされると、多少なりとも意識しますよね。
このように人からの意識を集中させたり、人を振り向かせるテクニックが好意の返報性なのです。
なので仲良くなりたい取引先に対して「▲▲さんと話してみたかったんですよ~」と言えば、きっとその人はあなたに好感を持ってくれるでしょう。
恋愛で好意の返報性を使う場合、「あなたのことを勝手に好きになっていいですか?」という伝え方が効果的だと思います。
このように言われたら、それまで意識していなかったとしても、確実にその相手のことが気になってしまうはずです。
好意の返報性は「人との距離を縮める心理術」なので、上手に活用していきましょう。
2:スリーセット理論
スリーセット理論とは、相手の印象を操作する心理テクニックで、実験でも実証された心理術です。
AとBが3回会って話すことで、相手の印象がどう変化するかを確認する実験
- 1回目:AはBにわざと嫌われるような態度をとります。⇒BはAに対して悪印象を持ちます。
- 2回目:AはBに人と接するのが苦手だと告白します。⇒BはAに対して共感を持ちます。
- 3回目:AはBに優しい態度を取って、1回目の態度を謝罪します。⇒BはAに対して好印象を持ちます。
この実験の結果、最初の頃BはAに嫌悪感を抱いていましたが、3回目に会った時にはむしろ好印象になっていたのです。
これは印象ギャップを利用した心理テクニックですが、この実験からもわかるように、ある特定のプロセスを踏めば、人の印象は簡単に操作できるということになります。
逆に言ってしまうと、もし会いたくない人や付き合いたくない取引先がいた場合、これの逆パターンをやれば良いのです。
そうすれば自然にあなたから離れてくれます。
3:ローボール効果
ローボール効果とは、最初に小さな依頼を出して相手から「イエス(承諾)」の言葉を引き出し、徐々に依頼を大きくしていって、本来の目的を達成する心理術のことを言います。
人間というのは、段階を踏みながら相手に「イエス」を引き出されると、徐々に否定できなくなってしまうのです。
例えば部下に対して新規プロジェクトの立ち上げを依頼したい場合、以下のようなやり方になります。
- 部下に対してコピー(印刷)の依頼をする。
- コピーした用紙を持って来たついでに、新規プロジェクトのアイデアがないか聞いてみる。
- 出てきたアイデアの市場性を調べてみて欲しいと依頼する。
- その後に「新規プロジェクトのリーダーになって欲しい」と依頼する。
いきなり新規プロジェクトの立ち上げをお願いしても、相手はできるか不安に感じるので、引き受けてくれない可能性があります。
しかしローボールテクニックを使えば、それが実現してしまうのです。
ローボール効果は営業現場でも使えるテクニックなので、色々と工夫してみましょう。
4:希少性の原理
希少性とは、限定品や珍しいモノのことを表した言葉です。
「残り1個」とか「期間限定」と言われると、なんとなく欲しくなりますよね。
実は、希少性の原理は人間にも当てはまるのです。
例えば、あなたが友人を食事に誘う場合、「いつ空いてるの?」と質問するはずです。
この時「いつでもいいよ」と返答されるのと、「今週はスケジュールがいっぱいだから…、来週の水曜と金曜ならOKだよ」と返事をされるのでは、どちらの方が希少性を感じるでしょうか。
人間は勝手に相手の希少性を判断して、その人の価値を上げてしまう傾向があります。
これは自分自身のブランディングにも使える心理テクニックだと思います。
やっぱり暇な人(人気がない人)より忙しい人(人気者)とビジネスしたいですよね。
ビジネスを有利に進めたり、自分のブランディングをするために、希少性の原理はとても便利だと思います。
上記のような返答されると「結構忙しいんだな…」と勝手に勘違いしてくれるので、相手は自分の予定にあわせようとしてくれます。
それは結果的に、相手をコントロールすることに繋がっていくのです。
希少性の原理はビジネスだけでなく、恋愛にも使えるテクニックです。
デートの依頼に対して「あえて日付を限定」したり、「LINEの返信をあえて遅らせる」ことも希少性の原理に基づいたやり方だと思います。
日常生活でも使える心理術なので、気軽に試してみましょう。
5:類似性の法則
人間は自分と似ている相手に親近感をもって、信頼をする傾向があります。
それを利用したのが類似性の法則です。
例えば地元が同じ出身地だったり、出身大学が同じだったり、趣味が同じだった場合、なんか親近感わきますよね。
北海道札幌市出身のAさんが、東京都港区出身のBさんと、北海道札幌市出身のCさんの2名と初対面だった場合、必ずと言っていいほどCさんに親近感を持つはずです。
この原則は万能なので、もちろんビジネスでも活用できる法則です。
お客様の出身地を聞いたり、趣味を聞いたり、家族構成を聞く中で、もし類似する部分があればそこにフォーカスした話を展開しましょう。
それだけでお客様はあなたに親近感を抱いてくれるはずです。
6:バランス理論
バランス理論は、人間が本質的に持っている協調性のことを言います。
例えば、親しい友人から「●●って美味しいよね」と言われた場合、そのお菓子を好きになったり、「▲▲の歌っていいよね」と言われたら、その歌手が好きになってしまう現象のことを言います。
これはありとあらゆる分野に共通する心理術なので、もちろん営業活動に応用することもできます。
例えば、ある不動産会社へ営業に行って、そこの担当者が決断を迷っていた場合、バランス理論を活用するのです。
もしかしたら競合相手かもしれませんが、■■(会社名)も利用しているサービスなんですよ。
このように伝えると、それを聞いた担当者には色々な考えを巡らせます。
- あの会社が使っているなら効果があるのかも…
- ウチも使わないと置いてかれるかもしれない…
- あの会社が使っているなら大丈夫だろう…
たった一言でも様々な思惑が錯綜するので、バランス効果はクロージングする決め手になる可能性があります。
しかし、このシチュエーションの場合は、競合他社である「■■の社名が成功事例として公表されている」などの前提条件が必要となります。
そのような事前承諾がないのに取引情報を教えてしまうと、相手に不信感を与えることになります。
それでは逆効果なので十分注意しましょう。
7:パブリックコミットメント
あなたが営業職なら、きっと営業ノルマがあると思います。
もし営業ノルマが無かったとしても、仕事をする上では何らかの目標があるはずです。
それは集客数だったり、納期だったり、フォロワーの獲得数かもしれません。
そのような目標をチーム全員の前で発表させて、コミットメントすることが「パブリックコミットメント」と呼ばれています。
イメージして欲しいのですが、パブリックコミットメントをすると、かなり大きなプレッシャーが襲いかかってきますよね。
今月の売り上げノルマは1,000万円です。必ず達成させます!
このように発表した場合、ピリッとしますよね。
これがパブリックコミットメントの効果なのです。
公の場で自分の目標を宣言すると、それを達成するため、一生懸命努力する確率が高くなるのです。
ということは、チームメンバーにはパブリックコミットメントをさせた方が生産性が上がるということになります。
他にも、取引先に対して納期を明言させたり、お客様に対して社内稟議の通過予定日を聞いたり、様々な場面でパブリックコミットメントは活用できます。
8バーナム効果
バーナム効果は、アメリカの実業家として知られた「P・T・バーナム」が由来となった心理効果です。
その内容とは、誰でも当てはまるような一般的な話を、自分だけに当てはまる情報として受け取ってしまう現象のことを言います。
これだとわかりにくいので例をご紹介しましょう。
例えばあなたが占い師のもとに行ったとします。
その占い師から以下のように言われたらどう感じるでしょうか?
- あなたは努力家ですが、時々サボる癖がありますね。
- あなたは他人を思いやる気持ちが強いですが、一番大事なのは自分自身だと思っていますね。
- 一目惚れすることはありますが、その恋愛はなかなか成就しませんね。
自分のことを分析した言葉のように見えますが、よく見てみると、とても一般的なことを言っていることが分かるはずです。
つまり、万人に当てはまるようなことばかりなのです。
これは「コールドリーディング」と言われることもありますが、バーナム効果は霊能力者や占い師、おみくじなどでも使われている心理効果です。
当たり前のことなのに、なぜか説得力があり、相手が自分のことを理解してくれていると勘違いしてしまうバーナム効果は、他人からの信頼を集めるために使える心理テクニックなのです。
9:スリーパーエフェクト(仮眠効果)
スリーパーエフェクトとは、正確な情報を相手に与えておき、その相手を放置することで自分に対する信頼を高める心理効果です。
例えば相見積もりしている新規見込み客に対して提案する場合、自社サービスや競合サービスについて正直に話しておきます。
そうしたら、その見込み顧客は一旦放置するのです。
お客様は相見積もりをしているので、その後も様々な角度から情報収集し続けるはずです。
すると不思議なことに、最初はあなたの提案を「ふ~ん、そうなんだ」くらいにしか聞いていませんでしたが、情報を集めるにつれて「あの営業マンの言っていたことは正しかったんだな」と気づき始めます。
するとあなたに対する信頼感が勝手に増していき、結果的に受注へと至るのです。
これはビジネスだけでなく恋愛にも使える心理テクニックです。
とにかく落とすのが難しい相手であれば、一旦放置してみるのも良いかもしれません。
10:クライマックス法&アンチクライマックス法
クライマックス法はプレゼンで使える心理テクニックです。
どういうやり方なのかと言えば、最初に説明をしてから、最後に結論を話すプレゼン方法のことを言います。
それと真逆のやり方が、アンチクライマックス法です。
アンチクライマックス法では、最初に結論を話してから、その後に説明をしていくのです。
この二つをきちんと使い分けているビジネスパーソンは意外と少ないはずです。
「どのように使い分ければ良いのか?」というポイントは以下の通りです。
- クライマックス法:あなたの話に興味がある人にプレゼンする場合
- アンチクライマックス法:あなたの話に興味がない人にプレゼンする場合
つまり、相手に効くスタンスがあるかないかでプレゼン手法が分かれるのです。
これはビジネスパーソンが知っておくべき知識なので、ここで押さえておきましょう。
11:コントラスト効果
これはビジネスにおいて常套手段とも言える心理テクニックです。
例えば、あなたが幼い子供のために英語の学習教材を探しているとします。
その時に見かけた学習教材が3万円だった場合、ちょっと高いと感じるはずです。
しかし、最初に10万円の学習教材を提案されて、それを断った後に「実はもう少し安い教材があるんです」と言われて3万円の学習教材を提案されたらどうでしょうか?
最初は「3万円なんて高いよ!」と思っていた人でも、10万円と比較した場合「割安かも…」という印象に変化したはずです。
このテクニックは訪問販売の詐欺師が使っている心理術でもあります。
最初に50万円の羽毛布団を提案しておいて、それを断ったタイミングで「実は5万円の安い羽毛布団もあるんです」と提案するのです。
しかしよく考えてみると、5万円の羽毛布団は高級品なので、そもそもそれを売るために50万円の羽毛布団を提案していることに気づくはずです。
この効果は結婚式場でもよく使われている心理テクニックだと思います。
結婚式の予算は300万円とか500万円ですよね。
その内訳を見てみると、お祝いの樽酒:30万円、ウェディングケーキ:35万円、シャンパンタワー20万円、カメラマンの撮影15万円など、どれも非常に高額です。
その中に「テーブルキャンドル:1万円」というのが紛れていると「これは割安だな」と感じてしまうのです。
しかし実際には「テーブルキャンドル:1万円」はありえないぐらい高いですよね。
コントラスト効果は、お客様に対して割安感を演出するのに使える心理術なので、営業パーソンは覚えておきましょう。
12:ホーソン効果
ホーソン効果は、アメリカのホーソン工場で実験されたのが名前の由来となります。
それはいたってシンプルな心理効果で、従業員を褒めることで生産性を向上させるというものです。
やり方のコツは、ちょっとしたことであっても少し大げさに褒めるというだけです。
しかし、あまり大げさに褒め過ぎると、相手はバカにされたように感じるので逆効果になってしまいます。
それさえ注意すれば、とても簡単にホーソン効果は活用できるはずです。
なので、部下を持っているビジネスパーソンはホーソン効果をうまく活用してみましょう。
13:ハロー効果
素敵なスーツをビシッと着こなしている人は優秀そうに見えますよね。
このように目立った特徴に引きずられて他の特徴についての評価が変わったり、地位や肩書などによって相手の評価が変化する現象を「ハロー効果」と呼んでいます。
これはビジネスパーソンにとって、非常に利用しやすい心理効果なので、ぜひ取り入れたほうが良いでしょう。
基本的には上質なスーツを着こなして、髪型をセットし、靴の磨き上げておけば、お客様からの好感度がアップするはずです。
14:フット・イン・ザ・ドア法
フット・イン・ザ・ドアは、多くのセールスパーソンが使っている心理テクニックだと思います。
フット・イン・ザ・ドアは、一度相手が承諾した場合、その後に断りにくくなる人間心理を利用したテクニックです。
つまり、相手に「YES(はい)」と言わせる心理テクニックなのです。
例えば、友人にジュースを奢ってもらいたい場合、いきなり「ジュースを奢ってよ」と言っても難しいと思います。
その場合には、友人がジュースを買いに行くタイミングで「俺にもジュースを買ってきてよ」とお願いしてみるのです。
そこで承諾が取れれば、すかさず「お願いだからジュース奢ってくれない?」と依頼してみるのです。
すると不思議なことに、高確率でジュースを奢ってくれるのです。
一番最初から「ジュースを奢ってよ」と依頼しても、ほとんどのケースで断られることでしょう。
他にも、まずはお客様に簡単なアンケートをお願いして、それに回答してもらいます。
その後に「お客様の課題が解決できる無料セミナーがあるので参加しませんか?」と誘ってみるのです。
そのセミナーに参加したお客様に対して、高額商品を提案するやり方も代表的なフット・イン・ザ・ドア・テクニックだと思います。
フット・イン・ザ・ドアを使う場合には、まず最初に断りにくい小さな要求をして、その要求を徐々に大きくしていき、「コミットメント」と呼ばれる心理メカニズムを活用するのです。
これは様々なシチュエーションで使える心理術なので、ビジネスパーソンは是非活用してみましょう。

15:ドア・イン・ザ・フェイス法
ドア・イン・ザ・フェイスは、フット・イン・ザ・ドアと真逆のアプローチ手法になります。
しかし、フット・イン・ザ・ドアよりもリスクがある説得方法と言われていて、相手よりも心理的に上の立場になければ成功しないやり方になります。
やり方はとても簡単で、まず相手に対してかなり無理な頼み事をし、断った相手の後ろめたい気持ちを利用して、本来の目的であった小さな頼みごとをするのです。
つまり先ほどの例で言うと「ジュースを奢ってよ」と最初に言ってみて、それを断られたタイミングで、「じゃあ、お金を渡すからジュースを買ってきてくれない」という本来の目的を伝えるのです。
これは様々なシチュエーションで使える心理テクニックです。
例えば好意のある異性に対して「二人きりで旅行に行かない?」と伝え、それを断られたタイミングで「じゃあ、レストランで食事しようよ!」と提示するのです。
このようなアプローチ方法を取れば、最初から「レストランで食事しようよ!」と伝えるよりも成功率が高まるはずです。
16:カリギュラ効果
カリギュラ効果とは、禁止されたことをやってみたくなる心理効果のことを言います。
例えば「絶対に見るな!」と言われるほど見たくなったり、「絶対にやるな!」と言われるほどやってみたくなることはありますよね。
日本の昔話にある浦島太郎や鶴の恩返しは、こうした心理効果を描いた物語です。
カリギュラ効果はもちろんビジネスに使うことができます。
例えば辛いお菓子を販売している場合「メチャクチャ辛いので絶対に買わないでください!」という手書きPOPをつければ、きっと売上はアップするでしょう。
17:両面提示の法則
両面提示の法則は、営業トークに説得力を持たせることができます。
例えば商品サービスなど提案する際、どうしても悪い点は隠したくなりますよね。
つまり片面提示をしがちということです。
営業現場で片面提示をしてしまうと、その後に知ったデメリット分を減点することになるので、徐々に製品サービスの魅力が薄れていきます。
しかし、あらかじめ両面提示をしておけば、「デメリットはすでに織り込み済み」となるので、お客様の中に免疫効果が働くのです。
また「この営業マンは正直に話してくれる」という信頼感を得られる効果もあります。
商品の悪い点は隠したくなるのが人間心理ですが、それを逆に開示することで得られるメリットは大きいのです。
18:ランチョン・テクニック
ランチョン・テクニックとは、食事をしながら商談を進める心理テクニックのことを言います。
人間は美味しいものを食べると満足感がアップするので、その満足感を相手に対する好感度と錯覚してしまうのです。
ということは、もし成立させたい商談があれば、ランチ会などを開いて話すのが効果的ということになります。
美味しい食事が商談の緊張感をやわらげ、あなたの発言も説得力を増してくるのです。
19:オープン&クローズドポジション
ビジネスでは相手の心理が読めないケースもありますよね。
そんな時に便利なのがポジションの確認です。
オープン・ポジションとは、正面を向いて座り、やや両足を開いた状態のことを言います。
この姿勢をとっている人は、こちらの意見に肯定的なケースが多いのです。
逆にクローズド・ポジションとは、横を向いて足を組み、半身を構えた状態のことを言います。
このポジションをとる人は、あなたの意見に否定的なケースが多いはずです。
クローズド・ポジションは拒絶の現れなので、もしそのような態度をとる人がいれば脈がないと思って切り上げましょう。
20:ピグマリオン効果
ピグマリオン効果とは、自分が期待することによって、相手もその期待に応えようとする心理現象のことを言います。
ギリシャ神話に出てくるピグマリオンの逸話から名付けられた心理効果ですが、もちろんこれもビジネスに使えます。
営業成績が良くない営業パーソンに対して叱咤するのではなく、期待感を込めた激励をするのです。
するとその期待に応えようと営業パーソンは奮起するはずなので、きっと期待以上の働きをしてくれることでしょう。
21:同質の原理
同質の原理とは、シチュエーションによって購買意欲が変化する心理効果のことを言います。
例えばお店で流れるBGMが典型例です。
ショッピングモールなどでは、スローテンポの音楽を流すよりも、アップテンポの音楽を流した方が売り上げは高くなります。
逆にレストランでは、アップテンポの曲よりも、スローテンポの曲を流した方が滞在時間が長くなるので、一人当たりの顧客単価もアップするのです。
このように状況によって音楽を使い分けると、人の気分や行動をコントロールできるのです。
22:スティンザー効果
スティンザー効果とは、会議に参加している人が無意識にとる行動を分析した心理テクニックです。
ビジネスパーソンであれば、自分の意見を通したい会議や、重要な打ち合わせの機会があると思うので、そんな時にはスティンザー効果を活用しましょう。
まず自分の意見を通したい場合、長方形のテーブルであれば短い辺の方に座るようにしましょう。
その方がリーダーシップを取れるからです。
そして自分の発言が終わったタイミングで、肯定的な意見が出るように仕掛けておきましょう。
スティンザー効果によって、一つの発言が終わった後は、肯定的な意見よりも否定的な意見の方が多くなる傾向があります。
それが出始めると自分の発言が弱まってしまうので、まず最初に肯定的な意見が出るように根回ししておく必要があるのです。
まとめ
ここまでビジネスに活用できる心理術について解説してきました。
どれも実用的な心理テクニックばかりなので、明日の営業活動から使えるはずです。
とはいえ、ここで紹介したテクニックが咄嗟に出てくるとは考えにくいので、事前にセールストークを整えておきましょう。
何事も準備が大切です。
その辺りは抜かりなく対応しておきましょう。
