
エリック・ホッファーは「独学の哲学者」と呼ばれている、1900年代を生きた偉人です。
日本での知名度は決して高くありませんが、アメリカでは偉大な人物として知られているので、今回はエリック・ホッファーの名言集をご紹介したいと思います。
なんとも奥深くて、味のある言葉ばかりなので、ぜひ最後までご覧ください!
エリック・ホッファーとは?
エリック・ホッファーは、1902年にドイツ移民の子供としてアメリカで生まれました。
しかし、7歳の時に原因不明の失明によって目が見えなくなるだけでなく、母親まで亡くなってしまい、かなり大きなショックを受けたそうです。
目が見えなかったので学校へも行けずに幼少期を過ごしますが、なぜか15歳の時に突然目が見え始めます。
その時からホッファーは「また目が見えなくなるのではないか…」という恐怖心を抱えることになり、本を貪るように読み始めたそうです。
とはいっても、きちんと学校へ行けなかったホッファーはまともな職業に就けず、日雇い労働者として働く日々を過ごすうち、やがて自分の人生に悲観していきます。
その結果、ホッファーは自殺を図ったのですが、それは未遂に終わります。
死にきれなかったホッファーは、仕方なく生き続けることを決断します。
そこからホッファーは「どうすれば自分を愛せるのか?」ということを探求し始めます。
とにかくホッファーは読書家&博識だったため、自分なりのロジックを組み立てたのですが、それが出版社の目に留まり、本を出版することになったのです。
その本が世の中に受け入れられて、「独学の哲学者」という異名を持つに至りました。
エリック・ホッファーの名言まとめ
うんざりした日になるのは、決まって仕事のせいではなく、時々仕事に伴って生ずる不愉快なことのためである。
エリック・ホッファーは、「仕事とそれに起因する出来事を区別するべきだ」と語っています。
- 顧客からのクレーム
- 理不尽な上司の命令
- 残業ばかりが続く毎日
仕事に理不尽はつきものですが、それと社会へ貢献することは、よくよく考えてみると関連性がないことに気が付きます。
仕事はあくまでも社会に貢献するためのツール(接点)なので、その過程で発生する理不尽なことと、「社会に貢献したい!」という自分の気持ちは別ですよね。
この2つを区別することは難しいですが、楽しく働くためには、この2つを明確に区別するべきでしょう。
世界に及ぼしている我々の力は、我々が夢想するよりはるかに大きい。
我々は、手の届くもの全てをイメージ通りに創り出す。
仕事は目に見える範囲しか把握できないので、その影響まで考える人は少ないと思います。
しかしこの言葉の通り、物事を大きく捉えることができれば、仕事に対するモチベーションも上がるでしょう。
適所の誤りは、行き過ぎ、新しいことへの着手、刷新の誘因となる。
もちろん適材適所が一番なのですが、それを間違えた場合にもメリットがあるということです。
我々は、必要なもののためよりも、不必要なもののために努力し、働こうとする。
エリック・ホッファーは「どこから労働意欲は湧いてくるのか?」というのを探求していました。
ほとんどの人は「お金のために働く」と回答するかもしれませんが、それであればひたすら給料の高い仕事を求めるはずですが、実際はそうなっていません。
他にも「楽な仕事を求めている」という人がいるかもしれませんが、本当にそれだけを求めているのでしょうか?
おそらく就職する仕事には、「製品サービスが素晴らしい」とか「業務内容が誇らしい」とか「会社の経営方針が正しい」など、本質的な部分が含まれているはずです。
むしろそのような本質的な部分を見ようとせず、職探しについては”不必要な部分”だけを表面化させている気がしています。
芸術家としての人間は、労働者としての人間よりもはるかに昔から存在した。
「仕事」と「遊び」は対立する言葉として使われていますが、それを同一化させるのが理想だと思います。
しかもそれらは同一化できるはずなので、「自分は一体何がしたいのか?」を探求しましょう!
自分自身に十分満足できる場合には、人々が私を温かく迎え重んじているように感じるのだ。
自分の心が満たされていると、余裕ができるので、周りに優しくできますよね。
ということは、良好な人間関係を築くために、まずは自分の心を満たす必要があるということです。
才能は自らの機会を創り出すと言われる。
「才能」と一言で片付けてしまうのは、あまりに稚拙かもしれませんが、才能とは『行動力』のことだと思っています。
良いアイデアがあったとしても、それを実現させるのは行動力です。
そして行動さえすれば、アイデアは後からついてくるので、結局は『行動する勇気』が一番重要なのだと思います。
希望に胸を膨らませて困難なことに取り掛かるのは簡単だが、それをやり遂げるには勇気がいる。
行動することにはリスクが伴います。
つまりそれをやり続けるには”勇気”が必要ということです。
そう考えた場合、モチベーションの源泉には『勇気』があるのかもしれません。
傑作よりも二流の本の方が刺激になることがある。
有名な本や古典から刺激を受ける人は多いと思いますが、実は「二流の本でも十分刺激になる」とエリック・ホッファーは語っています。
なぜかといえば、人間は本の中身全てを理解してから刺激を受けるのではなく、ある一文から刺激を受ける、というケースが多いからです。
そう考えた場合、一流の本でも二流の本でも、その役割は満たせることになります。
情熱の大半には、自己からの逃避がある。
- 今の自分が嫌いだ…
- 理想の自分とは程遠い…
このような自己嫌悪からの逃避が、情熱の源泉になっているとホッファーは言います。
エリック・ホッファーは「何かを情熱的に追求する者は、全て逃亡者に似た特徴を持っている」と語っています。
自尊心は魂を贖(あがな)う唯一の通貨だ。
欲望は「外部に対する欲求」だと思いますが、自尊心は「内部に対する欲求」だと言えます。
つまり「自分を守りたい」とか「自分を高めたい」という欲求なので、自尊心をモチベーションの源泉にできれば、きっと長続きするはずです。
あらゆる情熱的な追求において、重要なのは追求される対象ではなく、追求という行為そのものなのだ。
これはとても共感できる名言ですよね。
結果から得られるものは成功 or 失敗の2つしかありませんが、過程から得られるものは、結果がどうであれものすごい量(経験や知識など)になると思います。
『結果』ではなく『過程』を重視しましょう!
人々に混じって生活しながら、しかも孤独でいる。
これはイノベーションを起こせる環境について語った名言です。
創造性を養うためには、とにかく普通の生活をする必要があります。
その中で理想と現実のギャップを見つけて、それを解決するアイデアを孤独に考えるのです。
イノベーションを追求している起業家『光本勇介』も同じような考えを持っているので、それを知りたい方は下の名言集もご覧ください。
我々の最後には死と完全な無が待ち受けているという事実は、これまで発見されたいかなる絶対的な真理によっても越えがたい確実性がある。
これは残念な話ですが、人間は必ず死にます。
だからこそ今日という日を全力で生きるべきだと思います。
つまり考え方としては「もし明日死ぬとしても、今日の行動(予定)は変わらないか?」と自問自答しながら生きるということです。
もしそれで今日の行動が変わるのであれば、きっと何か行動を起こすべきタイミングなのでしょう。
ありのままの自分とは異なる存在になるためには、自分が何者であるかについて、ある程度の認識が必要である。
変化を求める場合、まずやるべきことは『自己分析』です。
自分の現状(立ち位置、問題点、強みなど)をきちんと把握して、次にやるべきことはゴールを設定することです。
そのゴールに到達するためのスケジュールを設定して、あとは一つずつ課題を解決するだけです。
とても簡単ですよね。
自尊心が自身の潜在能力と業績から引き出されるのに対して、プライドはもともと我々の一部でないものから引き出される価値の感覚である。
自尊心とプライドは似た言葉ですが、ホッファーはこの2つを明確に区別しています。
自尊心は内側から出てくるものですが、プライドは外部からの刺激によって出てくるものです。
どちらが重要なのかは言うまでもありませんよね。
知っていること、知らないことよりも、我々が知ろうとしないことの方が、はるかに重要である。
これはビジネスにも通じる名言だと思います。
なぜ知ろうとしないのか?
それは『興味がないから』だと思われます。
つまり興味がなければ人間は行動しないので、人を動かす側のリーダーは『興味を持たせる』ことに注力するべきだと思います。
私は本の世界と世界という本との両方から刺激を得る。
本の世界というのは”読書”のことです。
世界という本は”人間”のことです。
偉業を成し遂げた偉人たちは、様々な人々と交流することを好みました。
そこから得るものが大きいことを理解していたからです。
ビジネスパーソンは積極的に異業種交流会へ参加したり、社内外の人と会食しましょう!
教育というものは、人の心を陶冶(とうや)するよりは、むしろ往々にしてより野蛮化してしまうというのは衝撃的だ。
これはとても哲学的な名言だと思います。
教育する人は知識人ですよね。
そして、その知識のベースとなっているのは教育です。
つまり教育を施すことによって、そこから独裁政治が出てきたり、専制君主が出てくることを揶揄しているのです。
彼らは学びもせずに教えたがり、働きもしないのに引退したがり、成熟もしないのに腐敗したがる。
これはとても耳の痛い名言だと思います。
会社員として働いているとキャリアや退職について考えたりしますが、それは後回しにして、まずは目の前の仕事に全力投球した方が良いと思います。
私はいつも、5歳という時期が黄金時期だと感じている。
我々はみんな、5歳の時には天才なのだ。
エリック・ホッファーは『5歳最強説』を唱えています。
5歳の頃は、何かに集中したら一心不乱になって取り組み、怖いものなどなく、疲れも知りませんよね。
かつて天才だった俺たちへ…
何か偉業を成し遂げたいと思ったら、5歳児になりましょう!
一般に、阻止された行動への衝動が、創造力に転化する。
社会にはルールがあります。
それは「秩序」と言い換えることもできますが、きっと会社内にも存在しているはずです。
このエリック・ホッファーの言葉は、そのような”秩序を破る大切さ”について語っています。
つまりそれを超えなければ、決してイノベーションは起こらないということです。
ルールを守らせるのも大事ですが、経営者やマネージャーは頭の片隅に入れておきましょう!
明確に特定できる悪を抑圧すると、その代わりに、広く蔓延する悪、生活の隅々まで伝染する悪がそれにとって変わる危険性が常にある。
これは社会生活でも、会社内にも通じる話だと思います。
目に見える”特定の悪”を排除してしまうと、結局は”別の悪”が台頭してくるだけなので、社会には「必要悪」というのが存在しているホッファーは主張します。
これは働きアリも一緒なのですが、働かない2割のアリを排除すれば、全てのアリが働いてくれると勘違いしますが、実は働かないアリがまた2割出てしまうのです。
それであれば発想の転換をしなければいけません。
つまり私たちがやるべきことは「悪は必然的」だと認識した上で、悪を飼い慣らしながらコントロールし、最小限の影響にとどめることなのです。
新しい状況に自らを適用させなければならない時、我々は不適合者なのだ。
自分のことを常に「不適合者だ」と思っていれば、多少の失敗は当たり前に感じます。
そう考えれば、自然に肩の荷が下りると思います。
激しい不平不満というものは、その原因が何であれ、根底では、自分自身に対する不満である。
まずは自己分析して、ありのままの自分を認めることが大切なのでしょう。
私の知る限り、偶然の十字路であるからこそ人生は素晴らしい。
普通の人はリスクを嫌うので『安定』を求めますが、エリック・ホッファーは『偶然』を楽しんでいたようです。
この考え方はポジティブなのでおすすめできます。
自分を金持ちだと感じるには、周囲に貧乏人がいなければいけない。
周りの目を気にしながら、比較して生きるのは虚しいと思います。
なぜかといえば、自分主体で生きていないからです。
人間に”優劣”は無いので、ありのままの自分で生きましょう!
まとめ
ここまでエリック・ホッファーの名言集を解説してきました。
哲学的な金言が多かったので、きっと心に響く格言が見つかったと思います。
もし哲学的な名言が好きな人は、ぜひ下の記事もご覧ください。