
キャッシュバックは販促キャンペーンで良く活用されますよね。
しかし「キャッシュバックなんて無意味!」と言われることも多いのが実態なのです。
そこで今回は、キャッシュバックの仕組みや、売上に繋げるコツなどを解説していきたいと思います。
目次
キャッシュバックは怪しい…
「キャッシュバック」という仕組みは世の中に溢れかえっているので、誰でも一度くらいはキャッシュバックを受けたことがあるはずです。
たくさんのポイントがキャッシュバックされるサイトとして有名なのは「楽天(らくてん)」だと思いますが、実際に現金やポイントがキャッシュバックされると嬉しいですよね。

楽天では、価格の下にある「P」がポイントを意味していて、「3倍」というのは3%を意味しています。
この髭剃りは17,800円なので、その3%である534ポイント(1ポイント=1円)がキャッシュバックされるのです。
楽天ほど知名度があるサイトであれば問題ありませんが、一般的には「キャッシュバックなんて怪しい…」と思われることが多く、消費者が敬遠するケースもあるのです。
なぜかと言うと、キャッシュバックされると聞いていたのに、実際にはキャッシュバックされないケースがあったり、キャッシュバックの仕組みが複雑だったりするからです。
例えば「乗り換えでキャッシュバック」と言われたのに、諸条件がすべて揃わないとキャッシュバックが受けられないというケースが世の中には散見されます。
このようなケースでは、消費者心理として「騙された!」と感じるので、似た経験がある人はあまりキャッシュバックを快く思っていないのです。
また、あまりに大金がキャッシュバックとして提示されるケースも怪しく見えてしまいます。
普通の感覚を持った人であれば「こんな大金もらえるはずない」と勘ぐってしまうので、逆に怪しいと感じます。
さらに「実質0円」という表記のせいもあると思います。
実質0円と言われても「0円で買う為には諸条件がある」ことを消費者は知っているので、逆に敬遠してしまいます。
お得な実質0円キャンペーンには、「新規契約のみ」や「オプション契約必須」などの条件が加わるので、キャッシュバックと聞くと「なんか裏があるのでは…」と感じてしまうのです。
他にも小さい文字で「※最大のケースです。」のように、明らかに消費者を騙すような表記をしていることもあります。
ちゃんと見ていなかった方が悪いと言いたげな、わざとらしい小さな文字で、隅の方に控えめに明記しているのです。
騙す意図がなかったとしても、消費者にとって見ずらい書き方をしている為、結果的に消費者側は騙されたと感じてしまうのです。
キャッシュバックが貰える仕組みを解説!
「キャッシュバックがなぜ貰えるのか?」という仕組みが理解できていなければ、なんとなく気持ち悪さが出てしまうと思います。
なので、ここではキャッシュバックが貰えるビジネスロジックを解説していきたいと思います。
まず結論から言ってしまいますが、キャッシュバックが貰えるのは、販売代理店が”メーカーからもらえる粗利”を削っている為です。
代理店はメーカーから「1件の取次契約で●万円」というような条件で契約しているので、その粗利の一部を消費者に還元することでキャッシュバック金額を捻出しています。
例えば、光回線1件の契約で5万円の代理店マージンが入ると仮定します。
そのうち2万円をキャッシュバックすれば、粗利は3万円残るので、代理店はきちんと儲かるのです。
なので、店頭では「新規契約:2万円キャッシュバック!」のような宣伝がされることになります。
このように考えると、集客するために代理店側が頑張って粗利を削り、自分の懐を痛めながら広告宣伝していることがわかります。
キャッシュバックをもらえる仕組みや理由が分からないと、なんとなく気持ち悪さが残るかも知れませんが、実際には販売代理店がマージンを減らしていると考えれば、キャッシュバックされる理由も明快になるはずです
条件付きキャッシュバックの理由
キャッシュバックをもらう為には、特定の条件を満たさなければいけないケースがあります。
このようになっている理由は、代理店マージン(報酬金額)を調整しなければいけないからです。
例えば携帯電話を販売した場合、1契約につき1万円~5万円の代理店マージンが携帯キャリア(docomo、au、ソフトバンクなど)から貰えると仮定しましょう。
この金額幅はMNPの場合には高額で、機種変更の場合には低額になるためです。
もし店頭に「キャッシュバック2万円!」というのぼりを立てていた場合、それを見たお客様が来店して、「機種変更したい」と言ったとします。
その機種変更を一件獲得した時、代理店マージンは1万円なので、2万円のキャッシュバックは出せませんよね。
それでは粗利金額がゼロになってしまうので、逆ザヤになってしまいます。
しかし、「機種変更ではキャッシュバックが出ません」と伝えると、せっかく来店したお客様が帰ってしまうかも知れません。
このようなケースでは、別商材をクロスセルして粗利を稼ぐのです。
例えば「携帯電話+光回線のセット契約で3万円キャッシュバック!(携帯電話のみは対象外)」というキャンペーンにします。
- 携帯電話の販売マージン:1万円
- 光回線の販売マージン:5万円
この二つをセットで販売すれば、代理店には6万円のマージンが支払われることになります。
そのうち3万円をキャッシュバックしても、手残りは3万円になるので、きちんと利益が出るのです。
他にも、オプション契約で追加マージンが支払われるケースもあります。
オプションの「保証パック:月500円」を追加すれば、代理店には+5千円のマージンがプラスされるなど、様々な条件が提示されています。
基本的にはオプションをプラスすればするほど、代理店マージンは上がっていくことになるので、それをアップセル商材としてセールスしていくのです。
その成約率を高めるために、お客様には「保証パック:月500円も契約してくれれば、端末代金を2千円割引しますよ。」という提案がされることになります。
このように、キャッシュバックを支払う代理店側の懐事情を考えれば、消費者がキャッシュバックを受け取れる理由にも納得感が出るでしょう。
キャッシュバックは意味がないの!?
ここまで「なぜキャッシュバックが貰えるのか?」ということを解決してきましたが、そもそも販売する代理店側からしたら「キャッシュバックすることは意味がない」と思われています。
なぜかと言うと、キャッシュバックは単純な消耗戦(=体力勝負)になってしまうからです。
ビジネスの現場は資本主義なので、常にライバルと競争し続けなければいけません。
そんな中、一社が現金キャッシュバックを始めると、競合他社もキャッシュバックで追随することになります。
それによって顧客へのキックバック競争が加熱するだけなので、本来やるべき「顧客満足度の向上」という趣旨からズレ始めてしまうのです。
キャッシュバックはとても強力な集客ツールなので、一度手を出すとなかなかやめることができない麻薬のような恐さもあります。
しかし実際には、「あの店はキャッシュバックしてくれるので、契約するならあの店にしよう!」と考える消費者が少なくありません。
このように、競合他社がキャッシュバックしているのに、自分達は何も還元しないのであれば、集客力に差が出てしまうのは当然だと思います。
なので、決してキャッシュバックは意味がないことはありませんが、消耗戦になりがちなので、ある程度体力のある企業でなければ経営リスクが高いかもしれません。
現金以外は訴求力が弱い
- 5万円分をポイントでキャッシュバック
- 現金5万円をその場でキャッシュバック
なんとなくこの2つは似ているように見えますが、大きく意味が異なります。
どちらも「5万円キャッシュバック」という言葉を使っていますが、消費者の受ける印象は別物でしょう。
やっぱり「すぐに現金で貰いたい!」というニーズの方が圧倒的に多いと思います。
5万円分のポイントを貰ったからといって、次回買い物するタイミングはいつになるか分かりませんし、ポイントカードを失くしてしまう可能性だってあります。
なので、Amazonや楽天市場のように消費者がリピートしやすいビジネスモデルの場合にはポイント付与でも問題ありませんが、そうでない場合にはやり方を考えなければいけません。
一概にポイントでキャッシュバックしたからといって、消費者はメリットを感じてくれないのです。
このような観点で考えると、「いかに消費者目線に立てるか?」というのが大事なのだと思います。
お返し&お礼の種類
キャッシュバックは現金支払いというより、割引されることが多いと思います。
値引きをすることでも「実質的なキャッシュバック」になりますが、実際に現金を支払う場合には会計処理が面倒なので、実際のビジネスでは基本的には割引(値引き)が適用されています。
例えばインターネット回線の場合、一年間の通信費を半額にするなどです。
インターネット回線は長期契約になるので、一年間の通信費を半額にしたとしても、将来収益で回収できるのです。
このような先行投資型の営業スタイルは、キャッシュリッチな大手企業向きの戦術だと思います。
他には「粗品を渡す」という還元方法もありますが、お客様が望んでいるのは「キャッシュバック」なので、それではインパクトが弱いでしょう。
さらに、冒頭で解説したような「ポイント還元」という方法もあります。
お店によって色々なポイントがあるので、普段使っているポイントが貯まるのであれば「買おうかなぁ~」という気になる人もいるかもしれません。
また、商品券をキャッシュバックするお店もあります。
商品券は現金と同じように使えますが、やはり使い勝手は現金のほうに軍配が上がります。
次回以降に使えるサービス券やビール1杯無料券などをキャッシュバックするお店もありますが、どちらも現金に変わる還元方法としては、インパクトが強くありません。
やはり一番強烈なインパクトを残す方法は、現金での還付と言えるでしょう。
キャッシュバックは顕在ニーズに刺さる
ここまで読み進めた人は、キャッシュバックがどのような見込み顧客に有効的なのか、なんとなく理解できたはずです。
キャッシュバックが効果的な見込み客とは「顕在ニーズ」があるお客様になります。
例えばゴルフクラブを買う場合、以下のような条件があったとします。
※ゴルフクラブは同一製品で、価格も同じだったと仮定します。
- 量販店で買った時にはポイント1%を還元
- 楽天で買った場合にはポイント3%を還元
このような条件だった場合、絶対に楽天で買った方がお得ですよね。
つまり「ゴルフクラブを買う」というニーズが既に顕在化していて、後はどこで買うかを決める場合、キャッシュバックはとても効果的なのです。
このように、顧客の意思決定を促す仕組みのことを営業現場では「トリガー」と呼んでいます。
お客様をクロージングするため、キャッシュバックという「トリガー」にはとても大きな役割があるのです。
紹介キャンペーンを活用しよう!
キャッシュバックは、見込み顧客を探すのにも使えるのです。
例えば「お友達紹介キャンペーン」が代表的だと思います。
紹介キャンペーンとは、「紹介営業(リファラル営業)」のような営業手法のことを言います。
ちなみに、お友達とは「既存顧客」のことを意味しています。
そのお友達から紹介されると、双方が値引きやキャッシュバックを受けられる仕組みなので、それであれば「私の友達を紹介します!」という人が一定数出てくるはずです。
現代的な紹介制度としては、FacebookやTwitter、Instagaramを利用したキャンペーン方法もあります。
Twitterで拡散したらキャッシュバックが貰えるのであれば、「シェアしてみよう!」と思う人は多いでしょう。
また、Instagaramに投稿すると「ドリンク無料」になるのであれば、「投稿してみよう!」と考える人は少なくないはずです。
このように、紹介キャンペーンには来店促進や販売促進など、様々な活用方法があると思います。
影響力のあるインフルエンサーからの紹介だと来店促進に繋がることは多いので、SNSは積極的に活用しましょう。
活用方法を間違えなければ、大きなメリットを生むのがSNS紹介キャンペーンですが、影響力が薄い人を活用しても効果は薄いので、その辺りは注意が必要です。
まとめ
キャッシュバックは、上手く活用すればセールスの起爆剤になる可能性を秘めています。
口コミを利用すれば、潜在顧客(=潜在ニーズ)の掘り起こしにも繋がるはずです。
どのような業種業態でも活用すべきキックバック制度なので、ぜひ積極的使っていきましょう。