
現代は独立・起業するハードルが低くなり、誰でも気軽に起業できる環境が整ってきました。
これ自体は良いことだと思いますが、せっかく起業するのであれば、世の中を変えるようなビジネスを立ち上げたいと思いますよね。
しかし新規事業を立ち上げるのは容易ではなく、イノベーションを起こすには画期的なアイデアが必要です。
このアイデアが出て来ないので、「起業するまで至らない…」という人が多いのです。
そこで今回は、実際に起業を経験した”さの編集長(起業家)”が、新規事業や新規ビジネスを立ち上げる為に必要な考え方、アイデア例などをご紹介したいと思います。
これから独立・起業したいと考えている人、会社内で新規事業を企画しているビジネスパーソンは、ぜひ参考にしてください!
目次
新規ビジネスの考え方
「新規ビジネスを興したい!」と意気込んでも、「肝心のアイデアが浮かんでこない」なんてことは良くある話だと思います。
果たして新規事業を考える際のコツなどあるのでしょうか?
マネジメントの祖とも言われるピーター・F・ドラッカーは、新規ビジネスを興すために必要な「イノベーション」のポイントは7つあると語っています。

- 予期せぬ事態
- ギャップの存在
- ニーズの存在
- 産業構造の変化
- 人口構造の変化
- 認識の変化
- 新しい知識の出現
ちなみに、この1~7はお互い重複する可能性を含んでいますが、ドラッカーはこの「1~7の並びには意味がある」とも言っています。
どういうことかというと、1~7の並びは『成功の度合い』も表しているということです。
つまり、1~7はどれも新規ビジネスを起こす要素となり得ますが、実は最も成功する要素と言われているのは「7番目:新しい知識の出現」ということになるのです。
ここからそれぞれについて解説していきたいと思います。
1.予期せぬ事態
これは予期してなかった成功や失敗をビジネスに活かすことを意味しています。
たしかに『予期してなかった成功や失敗』を新規ビジネスに活かすことはできそうですよね。
例えば、今日の13時に荷物が届くと思っていたところ、交通網に不測の事態が生じて、結局到着したのが17時だった、というのは十分ありえる話だと思います。
しかし自分の予測してなかった結果を基にする為、「結局荷物は届いたし、ま~いいか」とスルーしたり、そのほとんどが問題点に気付かれることなく素通りされていきます。
ここに気付けるか否かが、成否を左右することになるでしょう。
2.ギャップの存在
ギャップとは理想と現実の差を言います。
つまり、「●●であればいいのになぁ~」と思うことが理想で、現実はそうではないということです。
このギャップ(不一致)を埋める作業には『新規ビジネスのタネがある』という事になります。
例えばあなたが「今日は何か美味しいものを食べたいなぁ」と考えたとします。
そんな時に「こんなイタリアンの店はいかがですか?」と自動的にあなたのニーズを把握して、そのお店をレコメンドしてくれるサービスがあれば便利だと思いませんか?
他にも「今週は疲れたから、週末にリフレッシュしたいなぁ」と考えた時、「この場所はゆっくりできるのでおすすめですよ」と自動的にレコメンドしてくれたら楽ですよね。
これがまさに理想と現実のギャップです。
この「ギャップを埋める作業=起業」だと言っても過言ではないでしょう。
3.ニーズの存在
ここで言う「ニーズ」とは、限定されたニーズのことを指します。
「●●が欲しい」というような一般的なニーズではなく、例えば仕事をする上での「経理業務を改善したい」などの具体的なニーズになります。
これはギャップと似た存在になりますが、ニーズが顕在化しつつあるので、ビジネス化しやすいでしょう。
4.産業構造の変化
産業構造とは、その産業自体や市場のことを意味しています。
産業構造は一見して安定しているように見えますが、実は脆く不安定な存在だと言えます。
つまり、たった1つのイノベーションで、産業構造はすぐに崩壊する可能性を孕んでいるということです。
この産業構造の変化を新規ビジネスに活かしやすいのは、ズバリ「その業界で働いていた人」でしょう。
業界構造について詳しく知っているからこそ、その問題点を把握していて、改善策まで思いついているケースが多いのです。
5.人口構造の変化
人口構造の変化とは人口動態です。
ドラッカーはこの人口動態こそがビジネスをする上で、唯一確実な情報だと言っています。
つまり、人口動態は現在を基にした将来の動きになるので、未来の予測はもちろん、リードタイムまではっきりと示すことができるのです。
もちろん移民が大量に入ってくれば話は別ですが、日本は島国なので、人口構造が変化するほどの移民が入ってくるとは現状考えづらいです。
そう考えた場合、高齢者を支援するようなサービスは盤石であることが理解できますよね。
ビジネスパーソンは「人口構造こそが唯一絶対の指針である」と理解しておきましょう!
6.認識の変化
認識の変化とは「価値観の変化」とも言えます。
例えば「仕事よりも、健康に興味を持つ人が増えてきた」などが良い例です。
興味・関心の移り変わりは新規ビジネスのきっかけになり得ます。
定量的なものではなく、定性的なものが「認識の変化」なので、見逃さないようにウォッチし続けましょう。
7.新しい知識の出現
これは新しい発見や発明を意味していますが、最も有名になりやすく、最も大金を生み出す要素だと言われています。
例えば直近では、スマートフォンの出現、ブロックチェーンの開発、AIの発明などが良い例だと思います。
スマートフォンはiPhoneを生み出し、日常生活やビジネス環境を大きく変化させましたよね。
ブロックチェーン技術によって、ビットコインができ、政府の法定通貨に採用する国まで出て、暗号通貨の取引所が誕生しました。
そしてAI技術は世の中を大きく変えていくことでしょう。
このような新しい発見や発明は、一般的に「イノベーション」と捉えられるケースが多く、その周囲のビジネスも発展していく傾向があります。
このように新しい知識や技術を生み出せるのであれば、新規事業の立ち上げはさほど難しくないでしょう。
新規ビジネスのアイデア
ここまでは、新規事業を立ち上げる為の考え方をご紹介してきましたが、その考えを基にしてアイデアを実行に移せなければ全く意味がありません。
ここではアイデアの源泉になるような既存ビジネスをご紹介していきたいと思います。
【ビジネス①】小売・外食
小売・外食産業は最も一般的なビジネスに分類されると思いますが、昔からあるビジネスなので、とても馴染み深いですよね。
たくさんの業種・業態があり、裾野も広いことが特徴的です。
つまりは「数が多い」からこそ競合が多くなって、日々の集客にも苦戦するのが日常化している業界でもあります。
そしてその業界にいる人たちは職人(調理師、販売員など)であるケースが多いので、なかなか自分たちでイノベーションを起こすことができません。
なので外部から俯瞰的に見て、不合理性のある部分を合理的に導くことがビジネスチャンスにつながると思います。
【ビジネス②】建設・不動産
建設・不動産は、いわゆる「旧態依然のレガシー産業」と呼ばれています。
しかも頑固な職人さんが多い業界なので、イノベーションを起こしにくい業界としても有名ですよね。
この業界は義理人情が重要なので、なかなか入り込みづらいですが、一度入ることができれば新規ビジネスを興すのは比較的簡単でしょう。
【ビジネス③】金融・保険
金融・保険は管轄省庁の規制が最も厳しいことで有名な業界です。
よって、外部を容易に受け入れる業界構造ではなく、ある意味では閉鎖的な業界だと言えます。
しかしITの進歩についていけない旧態依然な業界でもあるので、新規ビジネスの芽はたくさんあることが容易に想像できますよね。
金融業界は粗利率の高い儲かるビジネスなので、この分野で起業できれば、その人は大成功を収める可能性が高いと思います。
【ビジネス④】製造・メーカー
日本の代表的なビジネスといえば、自動車産業を代表する製造メーカーですよね。
自動車は生活を便利にする為に作られた乗り物ですが、次世代型の自動車が登場するなど、まさに変革のタイミングを迎えています。
しかし自動車に限らず、日本には世界に通用するメーカーがたくさんあり、技術力も豊富だと言われています。
その技術を根底にすれば、きっと新しいイノベーションが起こせることでしょう。
よって各社は「オープンイノベーション」を盛んに求めており、外部からの提案やアイデアを募っています。
そういった意味では比較的イノベーションの起こしやすい業界だと言えます。
【ビジネス⑤】通信
通信業界は、金融と同じく管轄省庁の規制が厳しいことで有名な業界です。
通信網は国が管理しているインフラでもあるので、参入障壁が高い業界だと言われており、この業界で新規ビジネスを興すには、多くの規制やルールと戦う覚悟が必要です。
そのような規制と真正面から戦ったのが、ソフトバンク創業者の孫正義です。
孫社長の名言は、独立・起業を目指す人にとって参考になるので、興味がある人は是非ご覧ください。
【ビジネス⑥】インターネット
新規事業を興すには、最も参入障壁が低い業界と言えます。
実際に”さの編集長”が起業したのもIT業界だったので、参入障壁の低さは実感しているところです。
確かにITサービスには原価がなく、アイデア一つで勝負できるのが特徴なのですが、実は純投資が必要なビジネスだとも言えます。
つまり認知を広げるためのマーケティングに莫大な費用がかかるということです。
例えばネイティブアプリを開発したとして、それを世に出す場合、まずは認知して使ってもらわなければ始まりませんよね。
そのためのマーケティング活動には数千万円、下手したら数億円の販促費が必要なはずです。
実際に”さの編集長”が起業した、営業フリーランス向けのwebプラットフォーム「side bizz(サイドビズ)」は、ビジネス化するまで概算で1億円ほどのマーケティングコストがかかりました…
なので、意外とITサービスを立ち上げるには「お金がかかるもの」だと認識した方が無難だと思います。
しかも、それだけ頑張ったのにも関わらず、IT業界は技術革新が盛んなので、創造と破壊が日常茶飯事に行われています。
よって、今日は勝者だったとしても、明日は敗者になるかもしれない、いわゆる生き馬の目を抜くような世界なのです。
そのような背景もあり、インターネットビジネスでは他社よりも圧倒的な優位性を持つこと、圧倒的なスピード感で物事を進めることが何よりも求められます。
【ビジネス⑦】運輸・物流
運輸・物流は生活インフラとして必要不可欠な業界ですよね。
楽天やAmazonなどのEC(Electronic Commerce)が発達することに伴って、物流ニーズは増える一方です。
しかし、この業界は長い間、大きなイノベーションが起こっていないので、新規ビジネスの可能性がたくさんあると考えています。
特にこの業界において、最も深刻な問題は”人手不足”なことです。
その解決手段は自動運転だと言われていますが、ここが改善できるサービスであれば、大きなポテンシャルを秘める事業に成長するでしょう。
【ビジネス⑧】資源・エネルギー
資源・エネルギーは経済活動に不可欠なインフラ産業ですが、資源・エネルギーには限りがあることがネックです。
つまり”有限”であるものを”無限”に求めるというギャップが存在しているということです。
このギャップを埋められるアイデアであれば、きっと業界構造を塗り替えるサービスとなるでしょう。
まとめ
ここまで読み進めた人は、新規事業のアイデアが日常的に転がっていることに気がついたはずです。
実は普段の生活から”新規ビジネス”について意識していれば、アイデアがポッと浮かぶこともあるのです。
アイデアを考え出すポイントは、「いかに普段から新規ビジネスを意識して生活するか」ということに尽きます。
とにかく本気で新規事業を興したいと考えているのであれば、ぜひ日常生活から変えてみて下さい。