僕が思い切った事の出来ずにグズグズしているのは、何より先に結果を考えて取り越し苦労をするからである。
<小説「彼岸過迄」>
失敗を恐れていると行動できなくなります。
怖がらずに前進しましょう!
親よりも勝れて偉い教育者は、詩人文学者である。
<談話「家庭と文学」>
夏目漱石は教師として勤めていた経験があるので、教育熱心で有名でした。
漱石曰く、人の善良さや社会ルールの大切さを教えてくれて、心まで豊かにしてくれるのは文学であると語っているのです。
田舎者の精神に文明の教育を施すと、立派な人間ができるんだがな。
<小説「二百十日」>
「田舎者の精神」とは、純粋さやおおらかさのことなので、誠実な人物のことを言い表しています。
それと対比して「文明の教育」とは、社会生活するためのルールを身につけることです。
この二つが組み合わさった人は立派な人間になると言っているのです。
学校も生徒が騒動をすればこそ、漸々改良するなれ。
<教育論「愚見数則」>
これは教育者らしからぬ言葉ですが、言いたいことは「行動」こそが現状を打破するということだと思います。
何もせず不満ばかり口にしていても、現状は変わらないのです。
教育の精神は単に学問を授けるばかりではない。
高尚な、正直な、武士的な元気を鼓吹すると同時に、野卑な、軽躁な、暴慢な悪風を掃蕩(そうとう)するにあると思います。
<小説「坊ちゃん」>
これは日本的な精神、つまり武士道精神について語った名言です。
武士道精神について知りたい人は下の記事をご覧ください。
勉強をしますか。
何か書きますか。
君らは新時代の作家になるつもりでしょう。
僕もそのつもりであなた方の将来を見ています。
どうぞ偉くなって下さい。
しかしむやみに焦ってはいけません。
ただ牛のように図々しく進んで行くのが大事です。
<芥川龍之介宛の書簡>
芥川龍之介は、夏目漱石晩年の弟子の一人です。
「牛のように図々しく…」という表現は、愉快であり簡潔だと思います。
君は自分だけが独りぼっちだと思うかもしれないが、僕も独りぼっちですよ。
<小説「野分」>
みんな最終的には自分自身の手で人生を切り拓いていくしかないのです。
世の中に偉い人がむやみに多いと思うから、恥ずかしくなったり、極まりが悪くなるので、自分の心が高雅であると、下等なことをする者などは自然と眼下に見えるから、ちっとも臆する必要が起こらないものさ。
<小宮豊隆宛の書簡>
自分を他人と比較してしまうのが人間の性です。
そうすると劣等感を抱いたり、不安になってしまうので、自信を持って生きるようにしましょう。
気に入らないこと、癪に障ること、憤慨すべきことは塵芥の如くたくさんあります。
それを清めることは人間の力で出来ません。
それと戦うよりも、それを許すことが人間として立派なものならば、できるだけそちらの方の修養をお互いにしたいと思いますが、どうでしょう。
私は年に合わせて気の若い方ですが、近代ようやくそっちの方角に足を向け出しました。
<武者小路実篤宛の書簡>
戦うよりも相手を許したほうが人間として立派なことなのです。
人よりも空、語よりも黙。
肩にきて、人懐かしや赤蜻蛉。
<随筆「思い出す事など」>
大自然や自分だけの世界に閉じこもれば、心が穏やかになります。
色々と騒がしい現代社会なので、そのような機会を作ることも大切でしょう。