
経営者や個人事業主(士業含む)であれば、一度くらい本を出版してみようと思ったことがあるはずです。
本を出版することは「ビジネスを加速させる」と聞くので、なんとなく興味がありますよね。
そこで今回は、ビジネス本を出版する効果について解説していきたいと思います。
経営者(社長)や個人事業主(フリーランス)の人は是非ご覧ください。
目次
個人(一般人)でも本は出版できる!
まず結論から言ってしまいますが、本を出版することはサラリーマンであろうが一般人であろうが、もちろん法人でもできることです。
つまり、本を出版するのは誰でもできることなのです。
本の文字数は5万文字~10万文字と言われているので、それだけのボリュームを書ければ、誰でも本が出版できるのです。
ただし、本を出版するからには、それを購入して読んでもらわなければ全く意味がありません。
そういった意味では「特定分野のプロフェッショナル」と呼ばれるような人だけが本を出版した方が無難でしょう。
その本を読んだ読者は、著者のことをプロフェッショナルとして認知するので、自分では解決できない悩み事があった場合、それをプロフェッショナルである著者に相談したり、仕事として依頼することも期待できます。
決して著名人であったり、大きな事業を展開している人(=成功者)だけが本を出版できるわけではなく、人よりも秀でたノウハウや経験さえあれば、誰でも本を出版することは出来るのです。
本の出版と相性が良い業種・業態
仕事に関する本を出版する場合、どのような業種・業界でもある程度の効果が見込めると思います。
しかし、その中でも最も相性が良いと言われているのは、下の業種・業界です。
- 士業(弁護士、会計士、税理士など)
- コンサルタント
- 医者(ドクター)、医療関係者
- 研修やセミナーなどの講師
- 高額商材を扱う個人や法人
これを見た時、1~4は「先生」と呼ばれている業種なのに気付くでしょうか?
このような職業の人たちは、自らセールスするのがNGと言われている(=自分の価値が下がってしまう)ので、クライアントからのお問い合わせが欲しいのです。
また、商材(またはサービス)の内容が分かりづらいという共通点もあります。
- 他の会計士と比べて何が違うのか?
- コンサルを依頼すると何が変わるのか?
- 研修を受けてどんな効果が見込めるのか?
このような部分は非常に分かりづらいので、説明するのにある程度の時間を要します。
それを一件一件説明して回るのは大変なので、自分が書いた本をゆっくり読んでもらうのです。
そして「高額商材」も出版と相性が良い業界だと言われています。
高額商材と言えば
- 不動産
- 自動車
- 宝石
- 教育(学習塾や学習教材など)
- 法人向け商材(BtoB)
などが思いつきますよね。
これらに手を出すタイミングは、消費者側も慎重になりがちですし、「絶対に失敗したくない!」と思っています。
そんな時、消費者(エンドユーザー)は市販されている本を読んで勉強するのです。
知識を蓄えようと購入する本は、きっとその業界のプロフェッショナルが書いた書籍だと思います。
その本を読んだ結果「この人なら信頼できそう!」と思ってもらえれば、問い合わせが入るはずなので、一石二鳥ですよね。
自分のブランディングをしつつ、見込み顧客に適切な知識をもたらし、さらに集客にも繋がるのが「本の出版」なのです。
つまり「24時間営業してくれる自分の分身を作る」のが本の出版だと言えるでしょう。
本を出版する目的
ビジネスをしていると、色々な悩みに直面するはずです。
- もっと売上を上げたい
- 新規開拓営業を強化したい
- 広告宣伝のやり方が分からない
- 人材採用が上手くいかない
- 社員教育ができない
このような悩みは尽きることがありませんが、その解決方法は決して簡単ではないはずです。
そんな時プロフェッショナルに相談してみたいと思いますよね。
しかし、その分野のプロを探すのは大変ですし、高額な相談料(コンサルフィー)を支払ってまで相談するのは、少しハードルが高い気がします。
そのようなニーズに応えられるのが「書籍」なのです。
ある特定分野のプロフェッショナルとして本を出版しておけば、それを読んだ読者が「自分では解決できないな…」と思った場合、まず最初にその本の著者に相談してみようと考えるはずです。
なぜかと言うと、一通り本を読んで諦めたということは「この人には到底勝てない…」とか「この人は凄そう…」と感じたはずなので、自分一人で考えるのではなく、プロフェッショナルである著者に相談してみようと考えるからです。
これはつまり、本を出版することは「見込客を集めるのに役立つ」ということになります。
認知を増やせる
「当社の製品サービスをもっと知ってもらいたい!」と考えた場合、まず最初に思いつくのは広告宣伝だと思います。
とりあえずホームページを作ったとしても、そこに集客できなければ全く意味がありませんよね。
ホームページを作ればお客様が増えると思うのは、「美味しい料理を提供すればお客さんが来る」と勘違いしている飲食店と一緒です。
これは何度も言いますが「セールスとマーケティング」はセットで考えなければいけません。
なので、認知を増やすためには広告宣伝(マーケティング)が必要不可欠となります。
広告のやり方は様々ですが、どれも大規模な予算が必要なものばかりなので、なかなか中小企業は本格的なマーケティング活動に踏み出せないと思います。
そんな時に便利なやり方が本の出版なのです。
例えばホームページに5万文字を記載しても、それを1時間かけてじっくり読んでくれる人なんていませんよね。
しかし、書籍に5万文字を書いた場合、それを1時間かけてじっくり読むユーザーがいづれ現れるのです。
しかもあなたの同業他社や、ライバルと呼ばれている人たちが本を出版していなければ千載一遇のチャンスかもしれません。
webマーケティングは「レッドオーシャン」と呼ばれていますが、ライバルが本を出版していなければそこは「ブルーオーシャン」と呼べるはずです。
それによって認知が広がればしめたものだと思います。
本を出版する費用
本を出版する場合、大きく2種類のやり方が考えられます。
- 商業出版
- 自費出版
まずは商業出版ですが、商業出版の場合は出版に係る費用を出版社が負担してくれるので、著者よりも出版社の意向が優先されやすいと言えるでしょう。
出版社も儲けなければいけないので、ある程度勝てる見込みのある著者にしか商業出版は依頼しません。
そして自費出版とは、著者が費用の一部または全部を負担して出版するやり方のことを言います。
著者の意向を優先的に考える出版方法なので、知名度の有無は全く関係ありませんし、自分の好きな企画を本することができます。
しかしネックとなるのはその費用だと思います
商業出版の場合にはコスト0円ですが、自費出版の場合には数百万円のコストがかかるはずです。
もう少し具体的に言ってしまうと、150万円~1,000万円程度のコストが掛かると思います。
このコストの中にはマーケティングコストが含まれているので、その企画次第では青天井で膨らんでいくことでしょう。
しかし、ビジネスの一環で出版をする場合、費用対効果も考えるので、なんでもかんでもコストを追加するわけにいきません。
なので、ほとんどの人が300万円前後のコストで着地しているのが現実なのです。
どれくらいの収入(印税)が期待できる?
ビジネス本を出版する目的は「見込み顧客を集めること」ですが、それ以外にも副産物があります。
それは「印税(いんぜい)」と呼ばれています。
印税(いんぜい)とは、著作物の出版において,出版契約に基づき出版者から著作権者に対して支払われる経済的報酬の一種で,一定の単価を基礎に出版物の発行部数あるいは実売部数に応じて支払われる著作権の使用料。
コトバンク
つまり、自分が出版した本が売れるたびに、本の著者である自分に収入が入ってくるのです。
その割合は商業出版の場合5~10%程度、自費出版の場合には10%以上が普通になります。
つまり1冊1,000円の書籍を販売した場合、商業出版の場合には一冊売れれば50円~100円、自費出版の場合には100円~500円程度の収入になるのです。
本の場合には「10万部売れればベストセラー」と言われているので、商業出版の場合には「10万部×50円=500万円」、自費出版の場合には「10万部×100円=1,000万円」という計算になります。
本を出版する注意点とは?
本を出版する場合、必ず一つの分野を掘り下げるようにしましょう。
例えば優れた経営コンサルタントの場合、様々な分野をコンサルできると思いますが、その情報をてんこ盛りにしてしまうと内容がぼやけてしまうのです。
それが本のタイトルにも出てきて、「会社経営はコンサルタントに依頼すべき!」みたいな抽象的なタイトルになってしまいます。
そうではなくて、会社経営の中でも「人事制度」だけに特化すれば、ペルソナが絞られて、本のタイトルも「最強の人事制度を作るコツ」みたいなタイトルになってくると思います。
そうしたタイトルの方が本の内容も把握できるので、購入にも繋がりやすいのです。
本を出版する場合には、「誰をターゲットにして、どんな部分を訴求したいのか?」という部分を入念に考えましょう。
ホームページを整備する
これはありがちな失敗(=落とし穴)なのですが、本を出版するからwebサイトは関係ないと放置してしまうのです。
本を読んで感銘を受けた場合、必ず著者の名前で検索したり、企業のホームページを見に来るはずです。
その時にみすぼらしいホームページだったり、スマホ対応できていなかったり、問い合わせフォームがなければCV(コンバージョン)に繋がりません。
セールスとマーケティングは一体で考えなければ意味がないのです。
なので、本を出版する場合には、読者がホームページを見に来る前提で、きれいに整備しておきましょう。
コストを意識する
本というものは、お金をかければかけるほど装丁の綺麗な本が出来上がります。
しかし「装丁が綺麗な本=良い本」という方程式はないので、目的に応じた費用をかければ良いと思います。
本質的なことを言ってしまうと、ビジネス系の本は紙質や表紙のクオリティーによって左右されることがあまりありません。
なぜかと言うと、消費者が求めているものは、著者の実績や経験などに基づいたノウハウだからです。
つまりビジネス本の場合、大切なのは中身なのです。
逆に「装丁が綺麗な本」にすべきなのは、小説や文庫本だと思います。
そのような本は中身を暴露できないので、第一印象で「面白そう」と思ってもらえなければ、全く売れない本になってしまうのです。
本を出版する流れ(手順)を解説!
いざ本を出版しようとした場合、やるべきことはたくさんあります。
ここではその手順や流れを解説しておきたいと思います。
①類書をチェックする
類書とは、あなたの出版しようとしているジャンルの本を言います。
つまりライバル本ということです。
誰も書いたことがないジャンルはほぼ無いはずなので、恐らく何らかの類書が既に発売されていることでしょう。
なので、その類書を買ってまずはマーケティング調査した方が良いと思います。
そうすれば「どのような本を書けば売れるのか?」という傾向と対策にもなるはずです。
➁出版形態を決める
先程触れた「商業出版 or 自費出版」で言えば、ほとんどのケースが自費出版になると思います。
それが決まったら今度は出版形態を決めましょう。
主な出版形態には、以下のようなやり方があります。
- 書店流通本
- 冊子製本
- 電子書籍
- プリントオンデマンド
まず書店流通本ですが、このやり方は最も一般的だと思います。
書店に本を並べて、そこからエンドユーザーに購入してもらうのです。
このやり方は王道ですが、書店のスペースは限られているので「売れる本」しか並べてくれません。
つまり商業出版の方が有利なのです。
なので、自費出版で書店流通させるのは至難の業でしょう。
冊子製本は自己PRのために作成する書籍のこと言います。
「経営コンサルタント」や「人事コンサルタント」と名乗ってる人が、名刺代わりに自分で書いた本を配るのです。
知名度の低い個人事業主(フリーランス)などは、自分のことをアピールしなければ、仕事を獲ることができません
そんな時に本を出版しておくと便利なのです。
短い商談の間に、自分の強みを全て伝えることは難しいので、冊子製本した書籍を渡しておいて、時間がある時に読んでもらうのです。
そして、電子書籍は最も勢いのある出版方法だと思います。
電子書籍は嵩張らないので、気軽に購入できることがメリットと言えます。
また、購入した瞬間から読めるので、本を買いに行ったり、郵送を待つ手間も省けます。
出版する側からしても、印刷や流通にかかる費用&労力がカットできるので、そのぶん価格を安くすることもできるはずです。
ただし、リアルの書籍と比べて「ブランディングには弱い」というデメリットもあるので、長所ばかりではないことを理解しておきましょう。
プリントオンデマンドも効率的な出版方法として注目を集めています。
これまでの書籍というのは、大量に在庫を抱えて、それを売りさばくというやり方でした。
しかしプリントオンデマンドでは、注文が入ったら本を一冊ずつ印刷&製本し、購入者に発送するというやり方なので、無駄がないのです。
そのぶん原価は高くなってしまいますが、それでもトータルコストを考えた場合はイノベーションを起こせたと言えるでしょう。
➂出版社を選ぶ
全て自分で企画して、本を出版することもできると思いますが、あまりに非効率なので、基本的には出版社へ依頼することになるはずです。
ビジネスにおいて「誰と組むか?」は非常に重要な問題ですよね。
しかしよく考えてみると、本を買う時に出版社で選ぶことはあまりないはずです。
なので、出版社のネームバリューを気にする必要はほとんどありません。
もちろんブランディングという観点では出版社のネームバリューが効くかもしれませんが、ベストセラーになるかどうかは別の話なのです。
出版社を選ぶときのポイントとしては、以下のような点を確認しておくべきだと思います。
- 担当者に情熱がある
- 一緒に企画を考えてくれる
- 常に連絡が取れる
- 対応にストレスがない
- 編集&校正をやってもらえる
④出版日と予算を決める
そして絶対に外せないのが「出版日を決める」ことだと思います。
これをしなければダラダラと年月が経ってしまうので、出版日は必ず決めましょう。
それでは「出版日をいつにすればいいのか?」という疑問が湧いてきますが、それは自分のビジネスに適した時期にすべきだと思います。
おそらくどんな仕事にも繁忙期というものがあって、ある特定時期にニーズが増えるはずです。
その時期よりも1ヶ月~3ヶ月ほど前を出版日に設定するのが良いでしょう。
予算については、費用対コストを考えながら自由に設定すれば良いと思います。
自費出版の場合、おおよそ300万円前後が平均値なので、それぐらいであれば全く問題ないと思います。
まとめ
出版日が決まったら、そこから先は出版社との話し合いによって進んでいくはずです。
基本的には担当者が窓口になって進んでいくので、信頼できる担当者でなければ良い本は作れません。
実は、本の出版というのは担当者次第でその出来が大きく変化するのです。
なので、出版社云々というよりも、担当者が非常に重要だと覚えておきましょう。
正直な話、担当者が優秀であれば、どの出版社であっても売れる本は作れると思います。
なので、逆説的に担当者を指名するのも良いと思います。
「出版不況」言われる中、ベストセラーを連発している編集者といえば、幻冬舎の箕輪さんですよね。
箕輪さん自身も本を出版しているので、もしよければ参考までに読んでみてください。
