
営業戦略はどのようなプロダクトでも必要とされる、重要な販売シナリオだと思います。
しかし、そのアプローチ方法やステップについてはあまり情報開示されておらず、なんとなくの感覚で運用している会社が多いはずです。
そこで今回は、「営業戦略」をテーマに様々な角度から解説していきたいと思います。
目次
営業戦略が必要な理由
営業戦略とは、ビジネスが成功するためのシナリオを描き、目標達成するための長期計画になります。
その計画に沿って、成功に向けた行動指針や販売方法、営業戦術、今後の方向性なども決定していきます。
つまり、営業戦略とは「成功するための道しるべ」ということになります。
営業戦略はマーケティングにおける具体案というよりは、具体案を出すための行動指針や方向性という意味が強いのです。
営業活動の全体設計とも言えるので、例えるなら「箱の形や色を決める」ような役割になります。
- 黄色の丸型にするのか?
- 青い四角にするのか?
- 赤いハート型にするのか?
何を目的にするかによって、箱の形は変わってくると思います。
そして、その中に入る物が戦術や方法論です。
そう考えた場合、営業戦略とは設計図のようなものだと理解できるはずです。
営業戦略について会議で話し合えば、「今後どのようなマーケティングを実施すればいいのか?」が次第に見えてくるはずです。
この中身には、製造予定数や販売価格(プライシング)も含まれています。
最初は低価格で始まったとしても、「最終的にはいくらに料金設定したいのか?」というところまで思い描く必要があります。
しかしそれはあくまでもシナリオなので、走りながら実績(=営業成績)を都度確認し、分析しましょう。
最初から過剰生産しすぎると在庫を抱えるハメになり、生産量が少ないと逆に機会損失が訪れます。
つまり、データ分析した結果をもとに、最大利益を出すための方法を決定するのが重要なのです。
また、ビジネスの成功は売上拡大だけとは限りません。
ブランド化も重要なマーケティング施策なので、それに向けた行動指針も重要でしょう。
ブランドを認知してもらうためには、まずattention(アテンション)を増やさなければいけません。
最大化させるためには、テレビ、webサイト、SNSなどを活用した広告宣伝も効果的です。
- どの宣伝方法を用いるか?
- どのぐらいの期間行うか?
- いくら費用をかけるか?
これらの決定事項も会議で決めていきましょう。
営業戦略策定のステップ
営業戦略を策定する場合は、最初に戦略立案を行いましょう。
現在の課題や問題点を具体的に列挙して、その解決方法を探り出すのです。
例えば売上が増えない場合、
- 営業のアプローチ方法が悪いのか?
- 商品サービスが悪いのか?
を判断する必要があります。
その上で「製品サービスは問題ない」という結論であれば、
- アプローチする対象が悪いのか?
- アプローチ方法が悪いのか?
を見定めるのです。
この炙り出し方で、営業活動に関する9割ほどの問題は解決するはずです。
あくまでも課題の全体像を把握してから、今後の解決策を考えることが大切だと思います。
目標を設定しよう!
営業戦略を考える場合、絶対に実施期間と具体的な数値目標を決めるようにしましょう。
具体的な数値が示されていないのは、ゴールが定まっていない状態なので、チームの士気が上がりませんし、方向性を明示することもできません。
しかしここで注意したいのは、あまりに高すぎる目標を設定してしまうことです。
現実離れした目標は社員のモチベーションを下げてしまうので、無理し過ぎない数値を設定することが大切です。
そしてその目標を掲げる理由もきちんと明示しましょう。
数字だけを掲げても、「なぜその数字をやらなければいけないのか?」という疑問が残る以上、最大パフォーマンスは発揮できません。
つまり現場の営業マンが腑に落ちないのです。
モヤモヤが残っている状態では、社員のモチベーションが上がらないので、出来る限り情報を共有して経営の透明化を図りましょう。
4P分析を活用する
マーケティングの基本と言われている4P分析も使うようにしましょう。
これは「4P理論」とも呼ばれていますが、1960年代にアメリカで提唱された考え方です。
その名前の由来は、4つの頭文字からきています。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Promotion(宣伝)
- Place(販路・顧客)
この4つは企業が営業戦略を考える際に必要となる重要な要素なので、必ず考えておくべきポイントになります。
これを考える際に戦略マップを作成すると、方向性や目標が分かりやすくなると思います。
特に重要視する項目を分かりやすく掲げた戦略マップにすると、営業しやすくなるので、業績にも良い影響を与えるでしょう。
もし売上を事業目標にする場合、最初に価格を考えてから、目標金額に合った販売戦略を考えると落とし込みやすいはずです。
営業戦略と営業戦術の違いとは?
ビジネスにおける営業戦略と営業戦術の違いを明確にすれば、現場でセールスする営業マンは活動しやすくなります。
営業戦略とは、冒頭で説明した通り、総合的かつ長期計画のことを言います。
事業を継続するために、将来を見通す計画を練って、シナリオを描くことを戦略と言います。
一方の営業戦術とは、目的を達成するための具体的な方法を言います。
つまり、営業戦術は「どうすれば目標達成できるのか?」という具体案なのです。
営業現場は流動的なので、市場環境や競合他社の参入、法律改正など、様々な要素で状況が変化していきます。
そのような状況に素早く対応するため、あらかじめ複数のアイデアを出しておき、状況によって臨機応変に対応することも必要だと思います。
例えば「年商1億円」という目標を掲げたとします。
営業戦略では、アプローチするペルソナを設定して、いつまでに目標を達成するかという道しるべを決めることになります。
もし課題や問題点があれば、具体的な行動指針まで作成しておきましょう。
基本的には長期計画になるため、失敗した時の打開策や軌道修正方法まで考えておくのがベストだと思います。
営業戦術では、具体的な行動指針からマーケティング方法まで考えるべきだと思います。
- どうやってペルソナにアプローチするのか?
- 見込客を呼び込むリードマグネットは何なのか?
- クロージングするためのトリガーはどうするのか?
- どうやって他社と差別化するのか?
- 解約防止策はどうするか?
コンベや相見積もりが多い商材の場合は、プレゼンテーションで勝つための施策を考えることも大切です。
営業活動に完璧な再現性はありません。
状況は日々変化するので、色々と試した結果を分析して、常にブラッシュアップしていかなければいけません。
このような泥臭い努力が、最終的に報われるのです。
BtoCの営業戦略
ビジネスには企業から消費者(エンドユーザー)に向けて販売する「BtoC営業」というやり方があります。
戸建住宅への飛び込み営業や、スーパーマーケットやデパートでの催事販売、美容院などの店舗も個人向け営業に該当すると思います。
この営業方法はアプローチ対象が一般消費者のため、提案範囲が広くなることが特徴的です。
なので、どうしても幅広いペルソナを設定したくなりますが、ペルソナ設定は出来る限り狭くするのがお勧めです。
現場レベルの話をしてしまうと、最初設定したペルソナよりも、ビジネスを走らせるに応じて徐々にペルソナも広がっていくような感覚があります。
つまり、自分たちでは気づかなかったビジネス機会が自然に創造されるのです。
これは非常に重要なビジネスチャンスなので、絶対に見逃すことがないようにしましょう。
その話は置いておいたとしても、とにかく最初の段階はペルソナを絞り切った方が良いと思います。
なぜかと言うと、ペルソナを絞れば絞るほど、マーケティング施策が具体化していくからです。
コンシューマー向けビジネスは、どうしても範囲が広くなってしまうので、マーケティング施策が曖昧になりがちです。
そうすると、効果検証がしづらくなってしまうので、極力セグメントを狭くしておきましょう。
BtoCマーケティングはどうする?
B2Cマーケティングでは、売り上げと顧客満足度を上げることが大切になります。
一般コンシューマは感情で動く生き物です。
つまり、企業のような合理性を求めない方が良いと思います。
よって、顧客の性別や年齢層、住んでいるエリアなどを分析して、営業戦略に活かさないといけません。
特に昨今重要視されているのが「共感」という感情です。
SNSマーケティングをする場合には、絶対に「共感」という要素が外せません。
まずは多くの人に「いいね!」と言ってもらい、興味をもたれて、来店に繋げなければいけないのです。
代理店営業の戦略
代理店を活用した方法やパートナー営業は、営業戦略を考える時の具体案になります。
代理店営業は直販よりも、販売できる範囲が広がるので、一気に販売力を強化したい場合に有効的でしょう。
つまり、販売チャネルが広がれば、そのぶん売り上げの期待値が上がるのです。
特に一般消費者を対象にするマーケティングの場合には、出来る限り多くの代理店を開拓するのが良いでしょう。
代理店展開する場合には、まず代理店見込みを探さなければいけません。
そのやり方は様々ですが、まずは代理店募集サイトに掲載することがお勧めです。
もし狙っている企業や業種業界があれば、そこに直接テレアポして代理店契約を提案しても良いでしょう。
代理店展開を成功させるためには、ある程度の代理店数も必要ですが、何よりも重要なのは営業力のある代理店を開拓することです。
営業力のある代理店と聞くと「セールスに強い会社」というイメージを持つかもしれませんが、決してそういうことではありません。
「営業力のある代理店」とは、製品サービスと販路が一致していることです。
例えば一般コンシューマ向けの健康食品を販売している場合、パーソナルトレーナーや整骨院などを代理店にするのが良いでしょう。
たとえ営業力が強いからと言って、法人向けのOA機器販売の会社が代理店になっても全く意味がありません。
なぜかと言うと、販路が一致していないからです。
代理店マージンの報酬額はどうする?
販売代理店を活用する場合は、販売手数料を設定する必要があります。
販売手数料は「代理店マージン」とか「代理店フィー」とも呼ばれますが、代理店が販売した時に支払う報酬のことをいいます。
その成果ポイントは販売代理店と相談しながら決めますが、一方的に条件を押し付けるのではなく、代理店が交渉できる余地を残しておいた方が良いと思います。
つまり、代理店が売りたいと思えるような代理店マージンを設定することが重要なのです。
代理店にとって販売手数料は最も重要な要素なので、じっくり時間をかけて話し合いましょう。
とはいえ、代理店マージンを手厚くしすぎることは避けるべきだと思います。
代理店が一生あなたの商材を販売し続けてくれるとは限りません。
代理店は浮気性なので、品質や価格条件の良い他社製品が現れたら、そちらに乗り換えてしまう可能性があります。
なので、そのようなシチュエーションを想定した上でインセンティブ設計をしましょう。
代理店制度とは、良くも悪くも販売手法は代理店任せになってしまいます。
しかし、全てお任せにするのではなく、代理店本部としてのサポート体制も充実させることが大切です。
売れている代理店の成功事例を共有したり、営業同行することも大切なのです。
まとめ
「セールス」と一言にまとめても、そのアプローチ方法は千差万別だと思います。
営業方法は商品サービスによって全く違いますし、「インバウンド営業」にするのか「アウトバウンド営業」にするのかでも変わってきます。
最初から最善策を選択することは難しいので、色々と試しながらPDCAを回して都度検証するようにしましょう。