
営業職は、他職種と比較した場合、給与が高いと言われています。
その理由は、営業職には”インセンティブ”と呼ばれる歩合給が発生する為です。
それを魅力的に感じて営業職に転職する人もいるくらいなので、今回は営業職の給与とインセンティブについて触れたいと思います。
就職活動をしている大学生や、営業職への転職を検討している人はぜひご覧ください!
営業職の平均年収は?
営業という仕事は、一般的に『会社の登竜門』とも言われている職種だと思います。
なぜかといえば、営業という仕事に従事すると自社製品・サービスに詳しくなれるだけでなく、お客様の声を直接聞けるので、ビジネスへの理解が深まるからです。
そのような”入り口”としての機能がある営業職ですが、その仕事内容は「ベリーハード」だと言われています。
会社勤めをしているとうつ病を発症する人がいますが、そのほとんどは営業職だと思って差し支えないでしょう。
それほど”しんどい仕事”が営業だと言えますが、その反面”給料面”は良いと言われています。
気になる営業職の給料ですが、他の職種と大きな差があるわけではなく、意外なことにほぼ平均値と近い水準になっています。
例えば営業職の平均年収は400万円前後が一般的なので、これだけではそこまで高いイメージになりませんよね。
もちろん年齢が上がるほど給料が高くなる点は、営業職も他の職種も変わりません。
例えば、20代営業職の平均年収は約420万円、30代では約530万円、40代では約720万円となり、平均年収は少しずつアップしています。
ただ現実な話として、営業職で年収600万円以上を得ているのは、全体の約20%だけと言われており、ごく一部の人だと言えるでしょう。
このようになってしまうのには、営業という仕事の特異性があります。
会社からすれば、きちんとノルマを達成して、実績を出し続けてくれる営業マンしかいらないので、それ以外のセールスパーソンは他部署へ回されることになります。
つまり、トップセールスと呼ばれている人たちは営業で稼ぎ続けて、それ以外の営業マンは配置転換されるということです。
このような一部のトップ営業マンの給与は高いので、それが営業職全体の平均年収を押し上げる一因にもなっているようです。
とはいえ、平均年収は業種・業態によっても若干変わります。
例えば平均年収が高いと言われているのは、保険や不動産、医薬、機械、コンサルティング、ソフトウエア関連の営業職です。
このような業種の営業職は、基本給の他に歩合給&インセンティブを含めると、上位2割に入っていれば年収1,000万円以上というケースが珍しくありません。
ちなみにこれは男女問わないので、営業マンでも営業ウーマンでも同じとなります。
営業職はインセンティブが魅力的
先ほど、営業職の基本給は他の職種と比べても大差がないことをお伝えしましたが、なんといっても営業職の魅力は『高額なインセンティブ』だと思います。
このインセンティブがあるせいで、営業職の給料はグンと上がっているのです。
インセンティブは「歩合給」とも呼ばれており、営業職の給与ではかなりの割合を占めています。
例えば、輝かしい実績を出しているトップセールスマンでは、『固定給よりもインセンティブの方が多い』というケースが珍しくありません。
このインセンティブが「どのような仕組みで発生するか?」を決めるのが、会社のインセンティブ設計になりますが、営業職として働く場合、「会社のインセンティブ設計次第で、劇的に給与金額が変わる」ということになります。
なので就職&転職活動をする場合、必ずインセンティブの有無と、インセンティブテーブルを確認するべきだと思います。
ちなみに、営業給料のインセンティブには、大きくわけて2つのスタイルがあります。
- 一定の目標を達成したときにインセンティブが発生するスタイル
- 売上の上昇率や契約の数に応じてインセンティブがつくスタイル
目標達成型のインセンティブの場合、本人やチームの努力が評価されるため、目標を達成していれば売上や契約数が少ないときでも歩合給が得られます。
逆にノルマ未達成となった場合は「報酬ゼロ」となるので、目標達成することは「ある意味必然的」という殺伐とした職場になると思います。
一方、売上や契約数がそのままインセンティブに反映されるスタイルでは、実績を上げないとほとんど歩合がもらえません。
このような職場では、トップセールスとダメ営業マンの給料の差が何倍にも広がっているので、各営業マンのモチベーションにも影響する可能性があります。
営業マンの給料はなぜ高い?
ここまで営業職の給料が高いことをお伝えしてきましたが、そもそもなぜ営業マンの給料を高くする必要があるのでしょうか?
このような”経営者目線”で考えたことがある人は少ないと思うので、あえてここで触れておきたいと思います。
結論から言ってしまうと、インセンティブをプラスして社員に高い給料を払うのは、ズバリ『やる気を出してもらいたいから』です。
会社としては常に『売上アップ』を目指しているので、その原動力になるのは営業マンの活躍次第だと思います。
つまり、営業マンにできるだけたくさんの商品を売ってもらったり、数多くのお客様から新規契約を取り付けたいのですが、それは営業社員のやる気がなければ実現しません。
だからこそ、販売実績に応じたインセンティブを設定したり、目標達成に応じた歩合を支給しているのです。
モチベーションを管理するため
営業という仕事では、初対面の人とコミュニケーションしたり、新規取引する企業とハードな交渉する機会が多いため、心理的なストレスも大きくなりがちです。
そのようなコミュニケーションを楽しめる人であれば良いですが、お客様からクレームを言われたり、無理難題ばかり要求されると、人間はどうしてもモチベーションが下がってしまいます。
そのようなつらい仕事に従事している営業職に報いようとする仕組みが『インセンティブ&歩合』ということにもなります。
これを簡単に言えば「飴玉(=インセンティブ)」ということになりますが、高い給料を支払う代わりに、他職種よりも辛い仕事に従事してもらうのです。
離職率を下げるため
営業職はお客様に見積もりを提出しますよね。
その時、仮に『1000万円』という見積もり金額を出したとしましょう。
この時、会社の粗利金額は『800万円』だったとします。
しかし営業職のもらう給料が月30万円だったら、「800万円稼ぐために頑張ったのに、収入は少ないなぁ…」と感じるはずです。
会社に800万円の粗利をもたらしたのに、自分の懐には30万円しか入らないのであれば、独立して同じような商材を販売した方が儲かる気がしますよね。
そのような状況になると、トップセールスと呼ばれる人たちほど我先に独立・起業してしまい、営業スタッフの離職率が高くなってしまいます。
このような状況を改善するやり方が、営業職への還元です。
例えば固定給は30万円だったとしても、インセンティブを粗利の10%と設定しておけば、先ほどのケースでは「30万円+80万円=110万円」という計算になるので、結構良い給料になりますよね。
月100万円の収入であれば、年収では1200万円になります。
これぐらい貰えていれば、働く人の上位5%に該当するので、多分モチベーション高く仕事をしてくれますし、会社を辞めるという判断にもならないと思います。
このように、営業マンを繋ぎ止めるための楔になっているのが『高い給料』なのです。
営業給料が高い企業
一般的に営業給料が高いと言われているのは、不動産、保険、証券、コンサル、M&Aなどの業種・業態です。
特に外資系企業では高額なインセンティブ制度にしているケースが多く、トップ営業マンの年収は数千万円~数億円という話がザラにあります。
例えば不動産業界では、1件受注した時に動く金額が大きいので、売上に対して一定の割合でインセンティブが発生するスタイルだと、営業社員に支払われる報酬金額も高くなるのが一般的です。
また、厳しいノルマがある保険や証券業界では、達成したノルマに応じて支払われる報酬が増えていくケースも少なくありません。
外資系の証券会社に勤める営業社員は、軒並み年収1000万円以上という状態になっていると聞きます。
新卒社員でも年収1000万円を超えるというので、日系企業に勤めている人にとって驚きですよね。
このような営業マンたちは、とんでもない金額の報酬を得ているわけですが、決して簡単に稼いでいるというわけではありません。
営業職は業種を問わず、1カ月当たりの平均残業時間が多くなる傾向がある仕事なので、必然的に睡眠時間も少なくなります。
お客様に提出する提案書を深夜まで作成したり、サービス残業することも多いでしょう。
例えば、重要な取引先との飲み会(会食)も、営業職にとっては仕事の一環だと言えます。
しかしそれを経費で落としてくれる優しい会社であればまだマシですが、ほとんどのケースでは営業マンが自腹で支払っていると思います。
それもある意味では”投資”だと思うのですが、年収1000万のトップセールスが自腹で300万円(1日1万円ぐらいの飲食)を支払っていれば、意外と普通の営業マンと同じくらいの金額に落ち着きます。
このように、収入が多ければ支出も多くなっていくので、意外と可処分所得は同じぐらいというケースが多いと聞きます。
忙しいトップセールスは、会社へ出社せずに直行直帰するケースも多く、1日の業務時間は必ずしも朝~夕方までとは限らないのです。
それを逆に言ってしまうと「営業職は自由度の高い仕事」と表現することもできますが、その分セルフマネジメントが求められる仕事でもあります。
このような厳しさ故に、営業パーソンの給料は高くなっていると言えるでしょう。
まとめ
ここまでセールスパーソンの給料事情について解説してきました。
話をまとめてしまうと、営業職の基本給は普通なのですが、インセンティブが稼げる職種なので、一般的な事務職よりは1.5倍~2倍ぐらいの給与水準になっているはずです。
ガッツリ稼ぎたい人にとっては魅力的な仕事だと思いますが、実際に就職&転職を検討している場合、どのような営業職種があるのか気になりますよね。
そのような場合には、下の記事を参考にしてみてください。