
繁華街を歩いていると、キャッチセールスに遭遇する機会があると思います。
おそらくほとんどの人が、一度ぐらいキャッチセールスに出会った経験があるのではないでしょうか?
しかし、中には詐欺的な悪徳業者もあるので、十分注意しなければいけません。
そこで今回は、日常で横行しているキャッチセールスについて解説していきたいと思います。
目次
キャッチセールスとは?
キャッチセールスとは、路上などで通行人を呼び止め、営業所や飲食店(カフェなど)などに誘導し勧誘するセールス商法をいいます。
省略して「キャッチ」とも呼ばれています。
呼び止める際のバリエーションは様々で、
- アンケートに協力して欲しい
- 見学だけでもして欲しい
- 無料体験を行っている
などがあります。
始めから勧誘目的であることを話すと取り合ってもらえないので、勧誘であることをイメージさせないようにしながら、相手が興味を持つような話を持ちかけてくることが特徴的です。
人通りの多い繁華街で行われることが多いので、新宿、渋谷、池袋などの主要駅では注意喚起のアナウンスが流れています。
キャッチセールスは違法行為?
キャッチセールスと聞くと多くの人はネガティブなイメージを持つはずです。
なので、「キャッチセールスは違法行為」と思う人が多いかもしれません。
しかしキャッチセールス自体は、決して法律違反の商法ではないのです。
ただし、キャッチセールスのやり方によっては違法行為と見なされる場合もあるので注意が必要ですあります。
例えば路上で人を呼び止めるとき、進路に立ちふさがるような行為はNGです。
また、断ったり無視したりしている人に付きまとい続けて勧誘するのもダメです。
このような行為は特定商取引法により明確に禁止されているため、見つかれば行政処分を受ける可能性があります。
実際のキャッチセールスはこのようなやり方が横行しているため、キャッチセールスすること自体を条例違反にしているエリアもあります
ちなみに、特定商取引法においてキャッチセールスは訪問販売と同じであると位置付けられています。
訪問販売は契約後でも一定期間内であれば契約の解除を申し出ることができるため、キャッチセールスも契約後のクーリングオフが可能です。
もしキャッチセールス業者がクーリングオフに応じない場合は、これも法律違反となります。
キャッチセールスの手口とは?
ここでは、キャッチセールスにおいてよく見られる手口をご紹介していきたいと思います。
街中でこのように声掛けされた場合には、注意するようにしましょう。
①アンケートへの協力を求める
キャッチセールスの中で最もポピュラーなやり方は、アンケートへの協力をきっかけにするものだと思います。
これは人の善意につけこむやり方なので、”騙されやすい良い人”ほど引っかかりやすい傾向があります
具体的には、街頭で「簡単なアンケートをお願いします」などと声を掛けて呼び止めます。
呼び止められた人は、「アンケートに答えるくらいなら…」と軽い気持ちで応じます。
実際にアンケートは行われるのですが、そこから商品・サービスに関連するような話を展開していきます。
アンケートからの流れでライフスタイルなどを聞き出し、「実はあなたにぴったりの商品があるんです」と繋げていくのです。
上京したばかりの田舎出身者などが引っかかりやすいので、そのような人は注意しましょう。
➁無料体験キャンペーンなどをすすめる
無料体験のキャンペーンなどをお勧めして、人を呼び止め、セールスに繋げるというやり方です。
人はお得感があるものに弱いため、無料で商品・サービスが体験できると言われると試してみたくなります。
その気持ちを利用して商品サービスに興味を持たせ、契約に結びつけようという手口なのです。
このようなやり方は、目的のないウィンドウショッピングをやりがちな女性が引っかかる傾向にあります。
「時間もあるし、無料なら良いかな」というような軽い気持ちでサービス提供を受けてしまうのです。
ちなみに、心理学には「返報性の法則」というものがあります。
これは、相手に何かをしてもらった場合、そのお返しとして自分も相手に何かをしてあげなければいけないという義務感が発生する法則をいいます。
つまり、無料体験というサービスを受けた人は、そのお返しとして「契約」をしなければならないと感じるので、そこにつけこまれるのです。
このやり方は、心理テクニックを利用した巧みな商法だと言えます。
キャッチセールスで狙われやすい人
キャッチセールスする人は、やみくもに声を掛けているわけではありません。
大勢の人の中から、引っかかりやすそうな人を狙って声掛けしているのです。
それでは「どのような人が狙われやすいのか?」を具体的に見ていきましょう。
①1人で行動している人
2人組など複数で行動している人より、1人で行動している人の方が狙われやすい傾向にあります。
人は他の人と一緒に行動していると、気を強く持ちやすいものです。
つまり、キャッチセールスで声をかけても、ハッキリ断られる可能性があります。
しかし1人だとハッキリとした態度を表せない人が多いので、キャッチセールスはそこを狙って自分たちのペースに持ち込もうとします。
また、複数人の場合には自分の意志ではなく、人に合わせてしまうケースもあるので、キャッチセールスとしては良い結果に繋がりにくいのです。
なので、キャッチセールスする人は、原則的に一人で単独行動している人を狙っています。
➁繁華街に慣れていない人
キャッチセールスが行われるのは、主に人が多い繁華街です。
街中に慣れていない人もキャッチセールスで狙われやすいタイプだと言えます。
具体的に言えば「上京してきたばかりで都会に慣れていない人」がこれに当たります。
田舎でゆっくりと暮らしてきた人が東京に上京した場合、あまりの大都会っぷりに浮き足立ってしまうはずです。
そのような人は周りをキョロキョロ見回したり、目的地がわからずウロウロした足取りだったり、見る人が見れば色々な特徴があるのです。
そのような人はキャッチセールスのターゲットになりやすいのです。
➂暇そうにしている人
キャッチセールスは明らかに忙しそうな人に声を掛けることはありません。
忙しい人は立ち止まってくれることがないからです。
特にやることがなく、時間を持て余している人なら、暇つぶし感覚で話を聞いてくれる可能性があります。
つまり、行動がゆっくりしている人は急いでいないと判断されるので、キャッチセールスに狙われやすくなります。
目的が定まっていない人は、街中を歩くときにキョロキョロと見回す傾向があります。
そのような人も「暇な人」と判断されるので、キャッチセールスが寄ってくるはずです。
暇そうに見えないコツとは、まっすぐ前を見て早歩きすることです。
これと逆のことをすれば「時間がある人」と思われてしまいます。
④気が弱そうな人
気が弱そうな人は、押せば契約してもらえそうだと見なされるので、キャッチセールスから狙われやすくなります。
気が弱そうな人の特徴は、
- 下を向いて歩いている
- 清潔感がない
- 服装のサイズが合っていない
- 身体の線が細い
- 流行を取り入れていない
などがあります。
もしこのような特徴に該当するのであれば、あなたはキャッチセールスに狙われてしまいます。
反対に気が強そうな人、個性が強そうな人はハッキリ「NO!」と言えるので、あまり声を掛けられることがありません。
➄高校生など学生
キャッチセールスがターゲットにするのは大人ばかりではありません。
まだあまり世間のことをよく知らない高校生などを狙う悪徳業者もいます。
学生はまだ子供(世帯主ではないことが多い)なので、そのような人に売り込むことは商道徳に反していると思います。
子供だからこそ、うまく丸め込んで高額な商品・サービスを契約させようという悪質な手口もあるのです。
キャッチセールスの事例紹介
最後に、悪質なキャッチセールスの事例をご紹介したいと思います。
これは度々ニュースにもなる事例なので、もし出くわしたらすぐに逃げることをお勧めします。
①絵画商法(エウリアン)
絵画商法とは、イベントや展覧会などにおいて絵画を販売するセールス法のことです。
路上でチラシを配布しながら「少し絵を見ていきませんか?」と美人の女性が声を掛けるのです。
興味を持った男性をすぐそばにある会場に連れて行って、そこで販売に繋げるというやり方です。
絵画は値段が不明確なので、相場よりも高い価格で販売する悪徳業者がたくさんいるのです。
50万円、100万円というような絵画を買わされる事例が多発しており、気の弱い男性がターゲットにされているようです。
美人の女性に「これを買ってくれたら嬉しいな」とか「お兄さんだったら買えるよね」と迫られたら、気の弱い人は契約してしまうかもしれません。
女性達は歩合制なので、なんとしてでも売ろうとしてきます。
このような絵画を買わされるケースでは、ほとんどの場合ローンを組まされていて、いらない絵画の支払いをし続けなければいけません。
もちろん欲しかった絵画であれば良いのですが、大抵の場合は無理やり押し売りされた商品だと思います。
このような女性達を、インターネットでは「エウリアン」と呼んでいます。
全国各地で被害が発生しており、数時間に渡り執拗にセールスを行なったり、相場の数倍という法外な値段で売り付けるなど、悪質な手口が目立つので注意しましょう。
➁芸能界へのスカウトを騙るセールス
渋谷や原宿などを歩いていると「モデルやタレントに興味ありませんか?」と声を掛けられるかもしれません。
若い頃は芸能界への憧れが強いので、そのようなスカウトを騙ってキャッチセールスする事例も多くあります。
もしそのスカウトに相手が応じた場合、芸能界へ行くためのエステ代やレッスン代、登録料、広告宣材費などと称して、高額な支払いを請求してくるのです。
そして適当なタイミングでスカウトの件は有耶無耶にされ、支払ったお金も返金されないという被害事例が多発しています。
これは先ほどご紹介した高校生などの学生もターゲットになっているキャッチセールス手法です。
もちろん本物のスカウトであれば、いい加減な契約をしたり、あれこれ高額な支払いを求めたりすることはありません。
それを見極めるための判断材料としては、所属事務所をしっかりと確認することだと思います。
このような悪徳商法をやっている芸能事務所は、小規模の会社が多い傾向があります。
なので、所属しているタレントを確認したり、その芸能事務所の取引先や評判を確認すれば、ある程度判断がつくと思います。
決して甘い言葉に騙されないようにしましょう。
まとめ
冒頭でもお伝えした通り、キャッチセールスは決して違法行為ではありません。
真っ当な商行為なのですが、一部の業者が悪徳商法していることは事実だと思います。
なので、それを受ける側の消費者は、そのような事実を認識したうえでキャッチセールスに対応しなければいけません。
自分自身を守るためにも、正確な情報を身につけるようにしましょう。