外回り営業をしているのであれば、社用車を使っているケースは多いと思います。
特に地方の会社や、遠方への営業機会が多い会社では外交営業の必須ツールですよね。
そこで今回は、ビジネスマンが知っておくべき営業車の常識についてわかりやすく解説していきたいと思います。
目次
社用車とは?
「社用車」と聞くと、「大企業の部長クラスだけが乗ることのできる運転手付きの車」というイメージが強いかもしれません。
しかし社用車の定義を確認すると、「会社のお金で購入した業務用途の車全般」を指すことがわかります。
つまり、社用車の定義は以下の2点なのです。
- 会社のお金で購入した車であること
- 業務用途の車であること
ということは、業務に使用するのであれば営業職など普通の従業員が外回りに使用する車も「社用車」になるのです。
逆にプライベートだけで使うのであれば、使う人が部長や社長だったとしても本来の目的から外れてしまうので、厳密には社用車と言いにくくなります。
また、スポーツタイプやオープンカーでも社用車にすることができますが、そのような社用車が少ないのは、購入費や維持費などを経費で落とそうとした際、スポーツカーだと税務署から使用用途を疑われることがある為です。
「税務調査で揉めるのは面倒くさい…」と考える人が多いので、それっぽい大衆車が社用車として選ばれているのです。
外車でも社用車にできる
社用車というと地味な車や、軽自動車などを思い浮かべる人が多いと思いますが、実は外国車でも社用車にすることができます。
でも、下っ端の営業マンがコテコテの外車に乗って営業するのはちょっと気が引けますよね。
なので、あくまでも経営者が乗る社用車ということになりますが、社長が乗っている定番車はベンツの4ドアです。
メルセデスベンツは誰もが知っているドイツの高級車ですが、多くの人が抱く社長車のイメージもここからきていると思われます。
それでは、なぜ社長の車はベンツが定番なのでしょうか?
これには明確な理由があるので詳しく解説していきたいと思います。
社長車がベンツの理由とは?
「自動車」という分類で見た場合、かなり多くの選択肢があると思います。
例えばベンツの他にも、トヨタ、日産、ホンダなどの日本車をはじめ、BMW、アウディ、GM、プジョー、フォルクスワーゲンなど多くの海外自動車メーカーがあると思います。
しかし「社長が乗る車」ということに限定すれば、メルセデスベンツ一択になると思います。
その理由は、一番会計処理がしやすいためです。
まず押さえておきたい会計知識が、4年落ちの中古車を購入した場合、購入代金全額を購入年度に一括経費にできるということです。
つまり、儲かっている会社であれば、4年落ちの自動車を購入して、その分の利益を圧縮することができるのです。
それでは、なぜ4年落ちの中古車の中でもメルセデスベンツが選ばれているのでしょうか?
それは、「資産価値が下がりにくい」という理由が挙げられます。
「ベンツが欲しい!」というニーズはとても多いので、他の高級車と比べた時に「すぐに現金化できて」「価格が安定している」という傾向があります。
つまり、ベンツは相対的に資産価値が高いのです。
会社の資金繰りが悪化した時に少しでも早く&高く売れるのは、経営者にとって重要なポイントですよね。
また購入金額も高めなので、節税効果が高いということもメリットになります。
このあたりの税金に関する解説については後述していきたいと思います。
社用車を利用するルール
社用車として認められるためには、前述したように「使用目的が業務遂行のため」であることが必要です。
その枠から外れないためには、利用する上でのルールをしっかりと作っておくことが必要になります。
例えば、営業マンが外回りに社用車を使う場合、実際の走行状況を会社が逐一把握することは難しいですが、どこかに寄り道をしていたり、ものすごく遠回りをして移動をしていたり、私用で使っている可能性がゼロとは言いきれません。
就業時間中でもそのような状態なので、休日出勤のときに社用車を使用するとなれば、行動を把握することはより一層困難になります。
そこで最近では、ドライブレコーダーやGPSを活用して営業車の位置を常に把握しようとする企業も出てきています。
社用車には社内規定を設ける
社用車を導入するなら管理体制を構築することが大切です。
そのようなルールを厳密に定めておかないと社内管理が大変になってしまうと思います。
後々で税務署が利用状況を確認した結果、「管理状態が不十分なので、社用車として認めることはできない」と判断されることにもなりかねません。
そのようなことを避けるためには、どのような事情があろうとも、原則として社用車を私的利用することは認めないというルールにしておくことが、無難であり一般的です。
また、ルール策定とともに車両管理アプリを併用することで、社用車の利用状況を把握したり、コスト管理をすることが容易になります。
社用車は通勤に利用できる?
営業職であれば、外回りからそのまま直帰した方が都合が良いというケースは多いでしょう。
実際に社用車を従業員の通勤に使用することを認めている会社はありますし、社用車を通勤に利用することが法的に禁止されているわけではありません。
この点については、役員が社用車を通勤に利用する場合でも同じです。
しかし、社用車を通勤に利用するにあたっては、考えなければならない数々の問題も存在します。
例えば、月あたりの通勤交通費についてです。
従業員への通勤手当ては、毎月上限額が決められていることが一般的です。
上限に収まる部分の交通費のみを支給するために、会社側は従業員の通勤ルートや、そのルートにかかる交通費を把握しようとするわけです。
電車で通勤する場合であれば簡単なのですが、車通勤の場合は少し面倒になります。
通勤事故も想定しておく
さらに、交通事故のリスクを考えておくことも大切です。
車で直行直帰するとなれば、営業時間内で使うよりも、交通事故に遭う可能性が高まるはずです。
業務中に社用車で交通事故を起こした場合、運転手の過失度合いによっては、会社が事故の損害責任を負うケースもあるのです。
社用車の通勤利用に関してルールを設定しなければならないという決まりがあるわけではありませんが、このような問題点があることを考えると、事前に取り決めしておくことが大切だと思います。
社用車は経費になる
社用車に関する費用は、経費にできるという大きなメリットがあります。
その節税効果は抜群で、例えば車両の購入費用は減価償却をして会社の費用にできます。
他にも社用車をリースするという手もあります。
また、ガソリン代はもちろん、保険代金や自動車税などの税金関連の費用、車庫証明取得料金やナンバープレート料金なども、社用車であれば経費にすることが可能なのです。
高級車や外車が好まれる理由
先ほど少し触れましたが、一般的に最も資産価値が下がりにくいと言われているのが、高級車の代表格であるメルセデスベンツです。
社長の社用車に4ドアベンツが多いのは、このような裏事情があるのです。
他にも、大胆な会社では大きく利益が出たタイミングでフェラーリやランボルギーニを購入して、会社にオブジェとして飾っておくケースもあります。
会社のオブジェであれば、ある程度の合理性があるので、経費処理できるかも知れません。
会社はこうした高級外車を購入したあと、購入代金を減価償却して経費にしています。
この減価償却の効果は絶大で、大きく利益を圧縮することができます。
そのような観点では、値段が高めな高級外車は都合が良いということになります。
ただし、購入費用が会社の経費として認められるためには、社用車がきちんと業務のために使われていると税務署を納得させることが必要です。
なので、社用車の車種は本来何でも良いのですが、業務に適さないようなものだった場合、税務署から疑われることもあります。
例えば、営業用に購入した車がキャンピングカーでは、普通に考えて明らかにおかしいですよね。
また、芸能関係の社用車が2ドアであることは珍しくありませんが、製造関係の会社の営業車が2ドアのベンツだと、使用状況を詳しく聞かれたり、税務調査が入ることになるかもしれません。
実際に社用車を使って節税したい場合、
- 節税できる金額はどれくらいか?
- どの車種なら節税効果が高いのか?
- 中古か新車どちらが良いのか?
などの詳細な部分については、税金のプロフェッショナルである税理士に相談するのが良いでしょう。
社用車を私的利用することは可能?
ここまで、社用車を利用するにあたっての注意点や、社用車にすることのメリットなどについて述べてきました。
結論を言うと、社用車をプライベートな用事に使うことは十分可能です。
社用車に関連する費用を会社経費にしようとする際に「税務署に認められるかどうか?」という問題はありますが、法的に何かの制限があるわけではないので、使用自体はあくまでも社内のルール次第ということになります。
ただし、事故が起こったときのことや、ガソリン代などについての諸問題を考えると、できるだけ詳細な部分までしっかり規定した社内ルールを策定しておく方が、後になって問題が発生するリスクは低くなるでしょう。
また、社内ルールがあったとしても、通勤利用が認められていたり貸与という形をとっている社用車の場合には、そのまま乗って帰ったり、無断でプライベートに使うことができてしまいます。
しかし万が一のことが起こった場合には、会社への損害賠償が起こるリスクもあるので注意が必要です。
もちろん無断使用した従業員は懲戒解雇などの罰則対象になるので、それなりに揉めることも想定できます。
よって、「社用車は業務のみに使う」ということが本来は正解だと思います。