
デール・カーネギーは、「人を動かす」や「道は開ける」の著者として有名な人物です。
その中でも「人を動かす」と「道は開ける」は名著と呼ばれていて、文庫版にもなっているので、持ち歩きにも便利ですよね。
しかしこの2つの本の内容を覚えている人は意外と少ないので、いざという時に「内容を思い出せない…」というケースもあるようです。
もしかしたら100回くらい読めば、その内容を理解できるかも知れませんが、忙しいビジネスパーソンにはそんな時間ないですよね。
そこで今回は、道は開けるを要約しつつ、そこに書かれている内容を「名言」としてご紹介していきたいと思います。
「道は開ける」の内容とは?

「道は開ける」の原題は「How to Stop Worrying and Start Living」と言います。
つまりあらゆる人間に共通する悩みと、それを克服する方法について述べた本なのです。
姉妹本である「人を動かす」は、人間関係について述べた本なので、その内容や目的は違ったものになっています。

デールカーネギーは他にもたくさんの本を書きましたが、結局この2冊が長く売れており、日本以外にもドイツ、フランス、イタリア、オランダ、インドネシアなど世界で翻訳されていて、未だに各国でロングセラーとなっています。
ほとんどの人は「悩みを克服したい!」と考えていますが、実際には克服することができず、悩みに引きずり回されているのが実態だと思います。
それは無駄なエネルギーを浪費し、時間まで奪い、人生に対して絶望感を抱くきっかけにもなってしまいます。
そして悩みすぎると、それが原因で”うつ病”になってしまうこともあります。
つまり幸福な人生とは真逆の生き方になってしまう原因が”悩み”だと言われています。
「道は開ける」という本は80年ほど前の古典なのですが、今も昔も人間が抱える悩みには変わりがないので、現在でも十分通用する内容になっています。
デール・カーネギー「道は開ける」の名言まとめ
我々にとって大切なことは、遠くにぼんやりと存在するものに目をやることではなく、手近にはっきりと存在することを実行することだ。
悩みは人間を振り回してしまうので、「今日一日という”区切り”で生きることが大切だ」とデール・カーネギーは語っています。
実際にはこの言葉はサー・ウィリアム・オスラーの発言を引用しただけなのですが、とても分かりやすいのでカーネギーはおすすめしています。
これはつまり、意図的に”過去”をシャットダウンするということですが、それと同時に”未来”という存在を一旦締め出して、現在に集中するのです。
賢者には毎日が新しい人生である。
毎朝「今日は新しい人生だ!」と思えれば、悩みなど気にならなくなります。
つまり「今日一日を全力で生きるだけ」ということです。
悩みにつきものの最大の欠陥は、私たちの集中力を奪ってしまうことです。
悩みが出てくると、集中力が散漫になって、決断力も失われます。
それが仕事の失敗につながったり、最悪の事態を招くこともあるでしょう。
つまり悩むことは、全てにおいてマイナスの影響をもたらすのです。
私たちが最悪の事柄を受け入れてしまえば、もはや失うものはなくなる。
これは究極にポジティブな考え方ですが、最悪の事態を受け入れてしまえば、どう転んでも”儲けもの”ですよね。
今風に言えば「無敵の人」だと思いますが、このような状態なら悩みから解放されるので「最悪の事態を直視せよ」とデール・カーネギーは語っています。
例えば、あなたにとって最悪の事態とは何でしょうか?
- 会社をクビになること
- 好きな人から嫌われること
それは人によって様々ですが、まずはこれを受け入れることから始めましょう。
もし「会社をクビになる」ということを受け入れた場合、次の行動は再就職だと思いますが、果たしてあなたは再就職できないでしょうか?
そんなことないですよね、ほとんど人は再就職できるはずです。
そして再就職に伴って所得が減るかもしれませんが、生活できないほど所得が減るでしょうか?
決してそんなこともないはずです。
このように考えていくと、実は最悪の事態というのは、そこまで「最悪の状態ではない」ということに気がつきます。
そう考えた場合、ほとんどの悩みは杞憂なのかもしれません。
悩みに対する戦略を知らないビジネスマンは若死にする。
これはノーベル医学賞受賞者であるアレクシス・カレル博士の言葉です。
「道は開ける」の中では、このような偉人の言葉をたくさん引用しているのですが、まさにこの言葉の通りだと思います。
「若死」の意味は、物理的な”死”という側面と、ビジネス的な”死”という側面の2つがあると思います。
どちらにしても大きなリスクなので、その対処法を理解しておくべきだと思います。
過酷な現実に対処できず、不安に駆られ、苦悶する人々は、周囲との関係を全て断ち切り、自分で作り上げた密かな夢の世界へと逃避する。
抱えた悩みに困り果てた人は、このように逃亡して、自分の悩みが「あたかも解消した」ことにするのです。
苦悩は人並み外れて頑健な人間をも病気にする。
「病は気から」という言葉もありますが、ストレスは内面から体を蝕んでいきます。
ストレスフリーな生活を目指しましょう!
悩みは絶え間なく落ちてくる水滴のようなものだ。
悩みは日常的に増えていくので、その対処法が必要ということです。
悩みの問題は全て解決できるだろうか?
もちろん、そんなわけがない。
人間の悩みは複雑なので、全て解決することができません。
なので、その悩みから解放される術を身に付ける必要があると思います。
まず悩みの原因を分析して、それに対処する術を理解しましょう!
事実を把握するということが、なぜそんなに大切なのか?
それは事実を知らなければ、自分の問題を手際よく解決しようとすることさえ不可能だからだ。
前述した通り、悩みから逃れるために人間は”現実逃避”を試みます。
それでは意味がないので、まずは現実を直視することが必要なのです。
この時、事実を受け入れるのが辛ければ、客観的に見ることをおすすめします。
まるで他人事のように考えると、現実を直視するのはあまり辛くなくなります。
私たちが行動でもって示さなければ、真相の究明や分析も全て空念仏に等しい。
やはり何よりも”行動”が重要ということです。
皆さんの仕事の悩みを半減させるのは無理かもしれない。
誰にも不可能なのだ。
結局は、できるのは皆さん自身だけである。
これは一番最初に伝えるべき名言ですよね。
デール・カーネギーは「悩みを半減させるのは無理だ」と言い切っています。
なぜかといえば、それができるのは自分自身だけだからです。
つまり何事も「自分次第」ということです。
私は忙しすぎる。
悩んだりする暇がない。
これは単純明快であり、基本的な法則の一つなのですが、とにかく忙しいと悩みがなくなります。
シンプルな話で、忙しい人には”悩む”ような贅沢な時間など無いのです。
例えば戦争で精神病を患った軍人には、軍医が「多忙にしておくこと」という処方を出して、魚釣りや、ハンティング、ゴルフ、ダンスなど、様々なことに集中させるそうです。
シンプルですがこのやり方は効果的みたいですよ。
悩みは人間が活動している時ではなく、一日の仕事が終わった時に人間に取り付き、害をなすことが最も多い。
暇な時間ができた時、悪い妄想はぐるぐると頭の中を駆け巡り、心を蝕んでいきます。
この時の対処方法は、「何か建設的な仕事に没頭することだ」とデール・カーネギーは語っています。
一年もすれば皆から忘れられてしまう不平不満を悩みながら、かけがえのない多くの時間を無駄にする。
ほとんどの悩みは小事だと言われているので、それを無くすだけで、有意義な時間が増えるのです。
私は徐々に自分が悩んでいたことの99%は決して起こらないことを知った。
幼い頃のデール・カーネギーには、様々な心配事があったそうです。
- 雷に打たれて死ぬのではないか?
- 飢え死にするのではないか?
- 地獄に落ちるのではないか?
- 生き埋めになるのではないか?
- 結婚できないのではないか?
しかしこれらは馬鹿げた悩みで、全て杞憂だったそうです。
大人たちの悩みにも、このような”馬鹿げた悩み”が多いので、実は9割方の悩みが「不必要な悩み」だそうです。
悩みや不幸の大部分は想像の産物であり、現実のものではないと言われている。
人間はネガティブに考えがちなので、この名言の通りだと思います。
私にも経験がありますが、運営している事業が大きなシステムトラブルに見舞われたことがあります。
その時には「もうダメか…」とネガティブになって、夜寝ることもできませんでしたが、「果たしてこの状態が一ヶ月後も続いているのか?」と自問自答してみたところ、その答えは「No」だったので、翌日からこの悩みは払拭されました。
実際に、1週間ほどでシステムの不具合は解消され、「ビジネスは順調です」と言える状態にまで戻ったので、「悩みは杞憂だった」という実体験があります。
平均値の法則によると、不安の種になっている事柄が実際に起こる確率はどのくらいだろうか?
不安感を払拭するためには”平均値の法則”が有効的だとデール・カーネギーは語っています。
平均値の法則とは、自分が不安に思っていることが「どの程度の確率で起きるか?」を数値化したものです。
例えば「自分が乗る飛行機は墜落しないだろうか?」という不安を抱えている人がいたとします。
アメリカ国家安全保障会議のデータによれば、飛行機で死亡する確率は約20万5552分の1と言われており、確率いえば0.00048%しかありません。
つまり事故に遭う確率は、飛行機に20万回乗って1回程度ということです。
一生で20万回も飛行機に乗る人はいないので、「ほぼ全ての人が飛行機事故には遭遇しない」というのがわかるでしょう。
つまり「自分が乗る飛行機は墜落しないだろうか?」という悩みは、とりこし苦労なのです。
事実に基づいて慎重に決断したならば、行動に移れということだ。
考え直したりするな。
ためらったり、危ぶんだり、後戻りしてはならない。
物事を前進させるためには、とにもかくにも行動することが重要です。
ビジネスパーソンはこの考え方を心得ておきましょう!
私は多くのアメリカ実業界の指導者にインタビューした。
強く印象に残ったのは、彼らが避けようのないものは受け入れ、意外にも悩みとは無縁の人生を歩んでいることだった。
大手デパートチェーンの創業者であるJ・C・ペニーや、フォードモーターの創業者であるヘンリー・フォードなど、大企業の創業者は色々な悩みを抱えていそうですよね。
しかし意外なことに、そのような人物たちは「やるだけやったら、あとは成り行きに任せるだけ」という心意気だったそうです。
「できることがあればそれをやって、できることがなければ後は忘れるだけ」というのが、悩まない秘訣だそうです。
ストップ・ロス理論が株式市場以外でも色々と利用できることを知った。
ストップ・ロス理論は、つまり”損切り”のことです。
現物株取引においては、株価が下がるほど損失が出てしまうので、最悪のケースでは”価値ゼロ”という事態になりえます。
それを回避するため、ある程度の損失が出たタイミングで、思い切って損切りしてしまうのです。
そのラインをあらかじめ定めておくのがストップ・ロス理論の肝なのですが、これは日常生活でも応用できるそうです。
例えば友人に、飲み会の情報をLINEで送信して、既読スルーのまま返信がなかったとします。
そんな時、悩みやすい人は「嫌われたのかな…」とか「何か悪いことしたかな…」と不安になってしまいますよね。
そんな時はストップ・ロス理論を応用すれば解決します。
具体的には「○月×日までに返信がなければ、不参加となります」とLINEで送信して、そのまま既読スルーで経過した場合、実質的に「不参加でお願いします!」という返信が来たのと同義にしてしまうのです。
これであればもし返信が来なくてもコミュニケーションは成立するので、返信が来なくてイライラしたり悩まなくて済みます。
このようなストップ・ロス・オーダーを、「どのタイミングで出すのか?」を事前に決めておくのが良いでしょう。
もし利己的な人たちがあなたを利用しようとしたら、そんな連中と付き合うことはない。
だが、仕返しは考えないことだ。
人間関係はいつの時代も”悩みの種”なので、もしコミュニケーションにストレスを感じるようであれば、その人と付き合う必要などありません。
特にビジネスライクな関係性であれば、さっさと手を切ってしまいましょう。
感謝など期待しないでおこう。
何か人に施しを与えて、その見返りを求めるのは「感謝を期待する」ことです。
このような見返りを求めると、もしそれがなかった場合に”ストレス”を感じるので、それであれば最初から期待しない方が無難だと思います。
デール・カーネギ曰く「感謝を期待しなければ、たまたまほんの少し感謝されただけでも望外の喜びになる」ということです。
与えるという内面の喜びのために与えるべきである。
人には誰しも「○○をしてあげたい!」という思いがありますよね。
それをすれば「相手に感謝される」と考えるのではなく、これをしてあげたら「私が嬉しい」という感情を動機にするべきだと思います。
他人の真似をするな。
自己を発見し、自己に徹しよう。
他人に振り回されると軸がブレてしまうので、まずは自己を確立しましょう!
刑務所の鉄格子の間から、2人の男が外を見た。
1人は泥を眺め、1人は星を眺めた。
これはある逸話ですが、同じ環境だったとしても”結果”が違ってくる例えです。
鉄格子という限られた窓から、泥を眺めるのと星を眺めるのでは、感じ方が全く違うでしょう。
それであれば希望を持てる方が良いと思います。
運命がレモンをくれたら、それでレモネードを作る努力をしよう。
レモンをもらって「なんだレモンか…」と思うのではなく、「どうすれば有効活用できるか?」という前向き思考で考えましょう。
したくないことは決してするな。
これは精神科医・心理学者であるアルフレッド・アドラーの言葉ですが、「道は開ける」の中で引用されているセリフでもあります。
アドラーは個人心理学の第一人者と言われているので、気になる人は下の名言集もご覧ください。
他人への配慮は、自分自身についての悩みから人間を救うのみではない。
多くの友人を作り、多くの楽しみを得るのにも役立つ。
デール・カーネギーは、自分の周りにいる人に「もっと興味関心を持つように」とアドバイスしています。
例えば食料品店の店員や、街角の靴磨き、仕事の同僚、郵便配達員など、様々な人とコミュニケーションしてみるのが良いでしょう。
愛想よくお世辞を振りまくだけでも構いません。
「なぜ今そこで働いているのか?」という陳腐な質問でもOKですが、人間は他人から興味を持たれると基本的には喜ぶはずです。
このようなやり取りは自分自身の悩みを忘れるきっかけにもなるので、おすすめできるそうです。
世間には、自分たちより高い教育を受けた人間や成功した人々を悪しざまに言って、野蛮な満足感を味わっている連中が多数いる。
人間は嫉妬する生き物なので、中には人の足を引っ張ろうとする人がいます。
そのような連中を相手にする必要はないのですが、実際に出くわすと悩みの種になるかもしれませんね。
しかし「そのような人はたくさんいる」という事実を知っていれば、少し気持ちが楽になるはずです。
睡眠不足で死んだものはいないことを思い出そう。
不眠症について悩むことが、睡眠不足以上に有害なのだ。
ストレスを抱えると、なかなか眠れなくなってしまいます。
中には不眠症になる人もいるでしょう。
そんな時には、一旦起き上がって眠くなるまで仕事をするか、読書をするのがおすすめだそうです。

まとめ
ここまで「道は開ける」の名言集をご紹介してきました。
人生のあらゆる悩みから解放されるデール・カーネギーの言葉は、きっと勇気をくれるはずです。
デール・カーネギーの思想は現代でも通用するので、ビジネスパーソンは理解しておきましょう。