君臣の義として、臣下たるものは主君の過ちを正さねばならぬ。
<李世民>
トップが誤った判断をした場合、それを指摘するのも部下の勤めです。
そのようなチームが”優れた組織”なのだと思います。
私が兵を率いて隋の都だった この長安に攻め入った時、宮中には美女が溢れ、宝物が山と積まれていた。
<李世民>
これは人間の欲望の深さについて語った名言です。
隋の皇帝だった煬帝(ようだい)は、私利私欲の限りを尽くしていたので、宮中はとてもきらびやかだったそうですが、その一方で人民は貧しい暮らしをしていました。
なので「煬帝が死んだ」と聞いて悲しんだ人民はいなかったそうです。
人間の欲望は際限がないので、自らコントロールしなければいけません。
「欲しいもの」を求めるのではなく、「必要なもの」だけを求めましょう。
国を治めるのは、木を植えるようなもの。
<李世民>
木の根っこがしっかりしていれば、枝葉は自然に繁栄します。
君主が人民のことを第一に考え、つつましく生活し、私利私欲を無くしてしまえば、国は自然と繁栄するのです。
自分の姿を映し出そうとすれば、必ず鏡を用いなければならない。
それと同じように、君主が自らの過ちを知ろうとすれば、必ず忠臣の諌言(かんげん)によらなければならぬ。
<李世民>
自分が犯した過ちは鏡に映りませんが、それを見ていた他人なら指摘できます。
なのでリーダーは「絶対に”人の鏡”を持つべきだ」と李世民は語っています。
どんなに曲がりくねった木でも、縄墨にしたがって製材すればまっすぐな材木が取れる。
それと同じように、君主も進化の諌言を聞き入れれば立派な君主になることができる。
<王珪>
リーダーは自分一人の能力だけで戦う必要などありません。
周りに優秀な人を集めて、その人達が能力を発揮すれば、どんな偉業でも成し遂げられるのです。
アメリカの「鉄鋼王」と呼ばれた アンドリュー・カーネギーの墓石には、下のような言葉が刻まれています。
「おのれよりも優れた者に働いてもらう方法を知る男ここに眠る」
これこそが資本主義における”ビジネスの本質”なのだと思います。
部下の意見が自分の意見と違っているからといって、拒否してはならぬ。
<李世民>
これは太宗である李世民が、宰相の房玄齢に伝えた言葉です。
李世民は臣下からの諫言を全て受け入れていましたが、それと同じ姿勢を房玄齢などにも求めたのです。
李世民は「部下の諫言を受け入れない者は、上司に諫言する権利などない」と常日頃から言っていたそうです。
ちなみに”諌言”とは「目上の人の欠点や過失を指摘して忠告すること」です。
彫刻に凝れば農事がおろそかになり、織物に凝れば、それだけ女どもに負担がかかりましょう。
奢侈に走るのは滅亡を招く元であります。
<褚遂良(ちょすいりょう)>
奢侈(しゃし)とは贅沢のことです。
人間の欲望には際限がないので、初期段階でその芽を摘んでおくべきだと思います。
名経営者と呼ばれる人たちは、こぞってみんな”ドケチ”ですが、そのロジック(=理由)が語られている名言だと思います。
上書というのは、古来、手厳しいものであります。
<魏徴>
これは李世民に対して魏徴が伝えた言葉です。
ちなみに”上書”というのは、意見を述べるために差し出した書面のことです。
意見することが目的なので、その内容は批判的であることが多いのですが、それに目くじらを立てるようでは周囲に諫言を依頼することなどできません。
むしろ「意見してくれたことに感謝する気持ち」が必要だと思います。
いたずらにおべっかを使い、気に入られそうなことを口にするだけが能ではあるまい。
<李世民>
これはサラリーマンに伝えたい名言No.1ですね。
サラリーマンは上司にゴマすりをしたり、派閥争いに勤しんでいますが、本当にトップが求めているのは「実直な意見と行動」だと思います。
善を行う者の幸せは長く、悪を行う者の寿命は短い。
<李世民>
これは長期経営を実現する為の格言です。
よこしまな考え方や、誠実でない振る舞いは、身を滅ぼします。
その逆は”寿命を長くする”ので、そのような心掛けでいるべきだと思います。