
「営業は運の要素が大きい」
古臭い表現ですが、一般的に幅広く認知されている言葉だと思います。
しかし意外なことに、ベテラン営業マンほどこの言葉を信じていません。
そこで今回は、「営業活動×運」ということにフォーカスして解説していきたいと思います。
「なかなか営業努力が実らない…」と悩んでいる人はぜひご覧ください。
営業努力は無駄…
「営業努力なんて無駄…」
そう考える人も少なくないと思います。
何をしてもなかなか営業成績に繋がらないと苦しんでいる人が、このような考えに至ると言われています。
実際に「営業は運ゲー」なんて言われることも多くあります。
ちなみに「運ゲー」とは、運が物を言うゲームのことを略した言葉です。
つまり「自分の努力ではどうすることもできない」ことを揶揄する言葉でもあります。
- 購入する気のある見込客に当たれば契約が取れる
- 利用する気がない顧客に当たれば契約は取れない
このようなお客様に出会うこと自体が「全て運である」という考え方なのです。
やっぱり頑張って努力したのに報われないと、捻じ曲がった考え方になりがちですし、誰でも心が折れてしまいますよね。
そのような状態になりたくないという気持ちも込めて「営業活動は運ゲーである」と言われているのです。
なぜ営業努力は報われないのか?
そもそも、なぜ営業活動は「運が左右する」と言われているのでしょうか?
恐らくそれは、各営業パーソンの経験値に基づくものだと思われます。
各営業パーソンは自分なりに最大限の努力をしていると思いますが、営業活動は意外と努力が報われないことが多いのです。
そのような状況に直面した場合、現実が受け入れられなくて「営業なんて運ゲーだ…」と思ってしまうのです。
それでは、なぜ営業パーソンの努力は報われないのでしょうか?
その理由はたった一つしかありません。
その理由とは、そもそも努力する方向性が間違っているのです。
営業活動においては、ただがむしゃらに努力しても決して報われることはありません。
もし結果が出ない場合には、下記どちらかが間違っている可能性が高いと思います。
- アプローチするやり方が間違っている
- アプローチする対象が間違っている
アプローチするやり方が間違っているということは、「営業における働きかけ」が適切ではないということです。
例えば、営業活動で必須と言える製品サービスに関する資料があります。
この資料には様々なポイントを盛り込んで、ボリューミーに仕上げたとしましょう。
とても立派な資料を作る努力をしたのに、もしお客様から断られてしまった場合、「結局努力が報われなかった…」と考えるかもしれません。
しかし顧客からしてみれば、あれこれ情報が詰まった見づらい資料ではなく、わかりやすく要点がまとめられたシンプルな資料の方が見やすいと思います。
つまりこれは、努力する方向性が間違っていたことになります。
アプローチする対象に関しても同じです。
アプローチする対象が間違っているということは、営業を行う対象が商品・サービスにマッチしていないことを意味しています。
例えば、法人向けの福利厚生サービスを売っているとします。
この場合、福利厚生に力を入れている企業がターゲットになりますが、おそらく従業員を抱えている会社でなければニーズがありません。
それなのに、従業員3名の会社に営業したり、常に自転車操業している町工場にセールスしても、決して受注できないと思います。
つまり、営業するターゲットと商品・サービスのターゲットがちぐはぐになっているのです。
努力が報われないと落ち込む前に、自分が努力している方向性が間違っていないか再確認することが必要だと思います。
これは冷静に分析すれば判明するので、まずはそこから取りかかってみてください。

結果が出るまで時間が必要
営業努力をしているのに、すぐに結果が出なくて悩んでいる人は、もう少し長い目で見ることが大切かも知れません。
営業努力は、結果が出るまである程度の時間が必要だと思います。
商材サービスにもよりますが、基本的には数ヶ月~1年ぐらいはかかるものだと思った方が良いです。
営業活動とはすぐに結果が出るものではないので、なかなか成果が出ずに挫折してしまう人が多いと思います。
例えば、優れた営業トークは一朝一夕で身に付くものではありません。
多くの営業活動を経て、たくさんの失敗を積み重ねることで得られるスキルもあるのです。
そのスキルを自分の武器として使えるまでには多くの時間が必要です。
これはつまり裏返すと、「たくさん失敗する必要がある」ということです。
結論から言ってしまいますが、たくさん失敗を経験した人ほど、優秀なセールスパーソンに成長していきます。
失敗するということは「成功しないやり方を見つける」という作業なので、これを繰り返すことで必然的に成功する確率が高まっていくのです。
逆に何もチャレンジしない人は、失敗することもないので傷を負いませんが、いつまで経っても「どうすれば成功するのか?」という法則を見つけることができません。
良い成績を収めるトップセールスマンになる為には、たくさん失敗する為の時間が必要なのです。
顧客との信頼関係を構築する
製品サービスをお客様に買ってもらう為には、まず顧客との信頼関係を構築しなければいけません。
初めて会ったよくわからない相手から商品サービスを購入するのは、誰だって不安なものです。
「この人がおすすめしてくれる商品なら安心して買える」と思ってもらえるような関係性を構築するためには、それなりの時間がかかることでしょう。
商品・サービスに興味関心があるものの、購入するかどうかは決めかねているお客様の場合は、あなたが背中を押してあげなければいけません。
その時に
- 見ず知らずの人からアドバイスされるのか?
- 信頼している営業パーソンからアドバイスされるのか?
では結果が全く違ってきます。
優れた実績を出すためには、ある程度の時間軸が必要だと理解しておきましょう。
企業努力も必要
営業現場で働くのは営業マンですが、良い結果に繋げるためには営業マンの努力に頼るだけではいけません。
もちろん企業としての努力も必要です。
これは営業現場のあるある話なのですが、予算のない中小企業ほど営業活動を営業パーソンに丸投げしてきます。
つまり以下のような業務を、全て営業部に丸投げしてしまうのです。
- アタックリストの作成
- トークスクリプトの作成
- 見込み顧客の集客
- テレアポ営業
- 訪問営業の実施
- 営業のクロージング
- 申込書や契約書の回収作業
- 契約後のフォローアップ営業
もしこのような業務を全てあなたが担っているのであれば、その仕組みは不完全だと思います。
不完全とはどういう意味かと言うと、「再現性がない」ということを意味しています。
営業活動とは誰がやっても同じような結果になることが理想的で、そこに個人のテクニックやスキルが本来加わってはいけません。
そうならないように企業側は努力する必要があるのです。
つまりこれはビジネスモデルの設計とも言えます。
例えば先ほど記載した業務の中に「見込み顧客の集客」というのがあります。
この部分を企業側が担うだけでも営業部の負担はだいぶ軽くなります。
具体的には、「Webマーケティングを実施」したり「展示会に出展する」など見込客を集めるやり方というのはたくさんあります。
知名度が低い商品・サービスを営業マンが売り込むのは非常に大変です。
しかし、企業が大々的に広告宣伝を行った知名度の高い商材なら、営業活動もスムーズに進む可能性があります。
また、営業活動をフォローするような仕組みづくりを企業側が行うことも大切です。
例えば「契約後のフォローアップ営業」を別部署であるカスタマーサクセスが担えば、営業マンの負担はさらに軽くなることでしょう。
商品・サービスは受注したらそれで終わりではありません。
継続的に使用するものであれば、使用中に何か疑問が生じたとき、また不具合が起こったとき、顧客の相談を受けてフォローする仕組みも必要だと思います。
このような仕組みがあれば、営業マンはアフターフォロー体制がしっかり整備されていることを”セールスポイント”として顧客に提案することもできます。
企業側には営業マンが売りやすい仕組みを作って、営業活動を後押しする努力が求められるのです。
営業努力は報われる
ここまで解説してきた通り、営業努力は決して報われないものではありません。
努力が結果に繋がらないのなら、それは努力の仕方が営業のやり方にマッチしていないだけかもしれません。
つまり、努力自体が意味の無いものというわけではないのです。
営業活動は「運ゲー」と言われることが多いですが、運だけで渡っていけるほどセールスの世界は甘くありません。
営業に必要なスキルの習得、顧客との関係の構築、的確なターゲットを見極めた営業活動、このような努力の積み重ねが結果に繋がっていくのです。
なかなか思うような結果が出ないので、「営業は辛い」とか「もう仕事を辞めたい」と考えている人がいるかもしれません。
しかし、営業の努力はハッキリとした成果が現れるまで時間がかかるものなのです。
とはいえ、自分が営業職に合っていないとハッキリ確信できるなら、その場合は転職という道を選ぶのも良いかもしれません。
しかし、もしかしたら上手くいかないと思っている場合は、自分の営業スキルが蓄えられている期間なのかも知れません。
何か職種を変えるにしても、自分でやり切った手ごたえがないと、転職した後で「もっと頑張れたのではないか?」と後悔することもあります。
なので、まずは可能な限り諦めずに続けてみてください。
きっと営業努力は報われます。
真面目に営業活動を頑張っていきましょう。
