
エバンジェリストの意味とは何なのでしょうか?
また、エバンジェリストと営業職には、何かしら関係性があるのでしょうか?
そこで今回は「エバンジェリスト×営業職」をテーマに解説していきたいと思います。
目次
エバンジェリストとは?
近年、多くの人から注目されている新しい呼称の一つに「エバンジェリスト」があります。
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、元々エバンジェリストはキリスト教の「伝道者」をあらわす単語に由来しています。
それが転じて「ある物事の内容や、その良さを人々に伝え広める」という役割を担う人を指すようになりました。
企業活用においてもその意味は変わらず、主に自社製品やサービスの特徴や、最新のテクノロジーについての情報、業界におけるトレンドなどをわかりやすく説明する人のことを「エバンジェリスト」と呼ぶようになったのです。
Apple(アップル)社の採用が起源
エバンジェリストの役割は細かく分類されていますが、最初に誕生したと言われているのは「テクニカルエヴァンジェリスト」という職種だと言われています。
元々はMacやiPhoneなど優れたプロダクトを生み出してることで有名なアメリカの「アップルコンピューター」が、1984年に設けた職種だと言われています。
まだパソコンが家庭に普及していなかった当時、パソコンを設置する必要性や、他社よりも自社製品が技術的に優れていることをアピールするべく、様々なサポートや普及活動を行っていました。
その後、Apple(アップル)のライバルであるMicrosoft(マイクロソフト)も追随するようにテクニカルエバンジェリストを社内に設置したので、それ以降IT業界における主要な職種の一つとして、多くの法人で導入される役職になったのです。
エバンジェリストと営業の関連性
次に、エバンジェリストと営業の関連性について見ていきたいと思います。
前述した通り、エバンジェリストは自社商材やサービスを普及させるべく、その内容や特徴を分かりやすく説明する役割を担っているため、一見すると営業職に似た業務内容であるようにも見えます。
しかしどちらかと言えば、社会に対して商品サービスなどをPRする広報職の方が近いように思えます。
営業職と広報職は本質的に異なっていますので、両者を混同しないように注意する必要があります。
具体的な違いですが、広報職に従事する人は、広く世間一般に対して自社や自社製品などを認知されることを業務内容にしています。
また自社の取り組みや、その結果などを広めていく、つまり「ファンの獲得」をその活動目的にしています。
その結果、お問い合わせや商材購入に繋げていくのです。
また、セールス職の場合には、自社の商品をプレゼンテーションすることに集中するケースがほとんどですし、最終的にクロージングして購入してもらうことを目的にしています。
このように営業職と広報職では、ターゲットとする層も、情報発信する立ち位置も異なっているのです。
トップ営業マンは有名エバンジェリスト!?
営業マンは見込み顧客に対して、自社の製品サービスを周知させていきます。
このような観点でいえば、トップ営業マンは「エバンジェリストと同格」であると位置づけることもできます。
というのもトップセールスになる為には、顧客が魅力的に感じてくれるような見せ方をして、まずは興味を持ってもらう必要があります。
そして、お客様が気付いていない潜在的なニーズを引き出して、受注に結び付ける必要があるのです。
これが営業職としての価値とも言えます。
しかも、この光景はエバンジェリストの情報発信と酷似していますよね。
実はトップセールスマンとエバンジェリストでは求められる資質も似ているのです。
この辺りを次で解説していきたいと思います。
トップセールスマンが持つべきスキル&テクニック
既にお伝えしたように、エバンジェリストは、自社製品やサービスの内容を、比較的中立な立場から世間一般に対して発信することが役割になります。
しかし、この役割をこなすためには、自社だけでなく他社製品やサービスなどにも精通している必要があります。
加えて、その業種業界について詳しくなければいけません。
マクロ経済的な視点を持ちつつ、俯瞰的語れるトークスキルも求められるのです。
このようなトークスキルは、「できる営業マン」になるための必要条件であり、全ての営業マンが身に付けるべき「営業スキル」の一つだと言えます。
それ故、トップ営業マンになるためには、優れたエバンジェリストとしての素質が必要だと思います。
もっとも、営業道を極めるためには、エバンジェリストとしての素質を備えているだけでは足りません。
営業職は中立の立場で留まる訳にはいかず、他社よりも自社商品の方が優れているということを積極的にアピールしなければ、購買まで至らないからです。
そのため、エバンジェリストの心構えで、営業職としての職務を全うすることは難しいと言えます。
最終的にクロージングする際は、一度頭の中をリセットして、自社商材をより積極的に売り込む姿勢が必要だと思います。
営業エバンジェリストを養成する方法
自社の営業スタッフを「エバンジェリストとして育成&実現する」ためには、どのような方法を用いれば良いのでしょうか?
営業マンにエバンジェリストとしての経験を積ませておけば、いずれはその中から優れたスキルを身につけて、トップセールスマンとして活躍する人が必ず出てくるはずです。
これは一見すると遠回りのように感じるかも知れませんが、それが結局、営業部全体の力を底上げすることになるのです。
もっとも、エバンジェリストの育て方は決まっていないので、「どんな風に育成するのか?」は経営者や社風によって違うと思います。
具体的なエバンジェリストを養成する方法として考えられるのは、
- 外部講師を招いた研修を実施する
- 外部のスクールに通わせる
- 専門書籍を買い与える
などが挙げられます。
既にエバンジェリストとして成功を収めている有名な講師を招いて研修を実施すれば、生の声を聞くことができるので、即効性があると思います。
他にも、外部の専門スクールなどが開催しているセミナーに、営業マンを参加させるやり方もおすすめです。
そのようなセミナーでは専門知識が得られるので、それを自社用にカスタマイズすれば良いのです。
また、それ以外にエバンジェリストとしての考え方や仕事の仕方について、その道の成功者が記した書籍を与えて、「その内容を愚直に実践させる」というのも良い方法だと思います。
その時におすすめの本は以下の書籍になります。



エバンジェリストとして成功するための道は一つだけではないので、なるべく多くの成功事例に触れておきましょう。
早いうちから、自分の個性に合ったやり方を見つけることがポイントだと思います。
営業にはマーケティング戦略が必要
最後に、企業の営業力を高める重要なポイントについて触れておきたいと思います。
優秀な営業マンを多く抱えていたとしても、その営業活動が別々の方向を向いていたのでは、会社全体の売上アップには決して繋がりません。
そんな時には、きちんとした営業戦略を考えましょう。
個々の営業スキルやテクニックを伸ばすのに加えて、企業には営業活動を成功に導くための優れたマーケティング戦略が求められます。
その役割を担うのは、主に営業戦略部や営業企画部といった部署に所属する人々達です。
戦略の立て方は企業によって様々ですが、最初にターゲット(ペルソナ)にすべきクライアント層のリストを作成し、その見込顧客に対するアプローチ方法を明確にするのが王道だと思います。
その上で、「最終的にどのようなクロージングをするか?」という一連の流れをシナリオ化するのです。
これは、別の言い方では「ビジネスモデルの構築」とも言えます。
マーケティングするメリット
ターゲットを特定することで営業リソースをそこに集中投下できますし、アプローチ方法さえ明確になれば、誰がセールスしても同じ効果が期待できます。
また、サービスクオリティが一定になるので、クライアントに安心感を持ってもらえるようになり、サービス提供でのクレームが発生しにくくなります。
さらに、クロージングまでの道のりを整えておけば、異なる案件に応用できるため、営業活動の再現性も高まります。
この「営業活動の再現性」というのは組織の営業力を高める為に、最も重要なポイントになります。
同じ営業方法でも、数多くの成約が取れるようにすることで、営業活動の最大合理化が実現できます。
それが結果的に、営業効率を高めることに繋がっていくのです。