
営業とエンジニアは「しばしば意見が対立する」と言われます。
特にSESの事業会社などに勤務している人であれば、一度くらいはそのような経験があるはずです。
そこで今回は、営業とエンジニアが対立する理由とその解決策などをご紹介していきます。
営業の仕事とは?
ITシステムを請け負う会社の営業業務は、実に多岐にわたります。
ざっくり言っても、
- 顧客への提案
- 契約の詳細を詰め
- 契約書を取り交わし
- 仕様と納期を決定
- 設計と構築
- 構築後の保守及び運用
という流れになります。
この設計・構築をするシステム部とすり合わせして、業務を円滑に進めていくのはSIer(エスアイヤー)営業の腕次第だと思います。
特に、顧客との仕様および納期については、現場のシステムエンジニアを商談に同席させるなど、綿密な時間をかけなければいけません。
しかし、顧客との折り合いがつかず、なかなか話がまとまらないまま、時間だけが過ぎていくという状況もあります。
また、顧客と営業でまとまった話が、システム要件が厳しすぎて、開発エンジニアから拒否されることもあるのです。
このような板挟み状態になると、営業パーソンはとても困ってしまいます。
しかし、最も近い距離で顧客と話を進めることができるのは営業職だけです。
そこを上手く立ち回る営業スキルも求められるのです。
もし上手くディレクションできれば、顧客からも信頼されるはずです。
そのため、システム提案、構築から導入までの一連した作業が安定して進んでいくためには、営業マンの手腕にかかっていると言っても過言ではありません。
エンジニアの仕事とは?
ビジネスの現場で「エンジニア」といえば、システムエンジニア(SE)を思い浮かべる人が多いと思います。
SEは顧客との打ち合わせで、営業職が取りまとめてきたシステム要件を実現する人のことを言います。
その仕事内容は、具体的な仕様決定、ワイヤーフレームや設計書の作成、プログラム構成の決定、人員確保、納期の設定などがあります。
そのため、SEが顧客と営業パーソンの打ち合わせに同席することもあるのです。
そして顧客と契約締結されたタイミングでキックオフとなり、本格的なシステム構築、プログラミングが始まります。
プログラマーは設計書に基づいてコーディングを行い、様々な単体テストを経てSEへ資材として提供します。
そしてそれら資材がある程度まとまったところで、SEが組み合わせテストを行ってプログラムに不備がないかを確認するデバックを行い、見つかればまたプログラマーへ修正依頼する、この繰り返しでシステムが構築されていきます。
webシステムは年々複雑さを増しており、常に最新技術を勉強し続けなければいけませんし、求められる技術や能力も高止まりしています。
なので、エンジニアの仕事は営業とは別の意味でとてもきつい仕事なのです。
しかし、エンジニアが作成したプログラムが仕様書通りスムーズに動作したときの感動は、苦労した人間だけにしかわからないと言われています。
営業とエンジニアが対立する理由
悲しいことですが、営業パーソンとエンジニアとの対立はSIer(エスアイヤー)で頻繁に起こっています。
よくあるのが、営業マンが顧客要件を実現するため、システム難易度を理解しないままエンジニアへ回す、つまり安請負するパターンです。
もしこれがシステム構築している途中で発生してしまうと状況は最悪です。
営業マンが内容を理解しないまま、安易に「できます!」と回答しているため、たとえ実現不可能な内容でもエンジニア、特にSEは実現に向けて動かなければいけないからです。
当然、設計書の内容や納期、仕様、処理の変更、テストのやり直しなどにも影響が及びます。
現場は納期に追われ、帰宅したくても、できない人が続出してきます。
精神的にもつらい状況となり、ささいなことで喧嘩が発生する最悪な雰囲気になるのです。
このような状況をセールス側は理解していない為、平気で安請負してしまうのです。
しかし、当の営業マンは「頑張って売上をつくってるだけ」というスタンスなので、悪びれる様子はありません。
つまり、このような対立が発生する理由とは、お互いのコミュニケーション不足なのです。
営業職はセールスに関するプロフェッショナルですが、システムに関しては無知です。
特に昨今のシステム開発は複雑さを増しており、以前のようなシンプルな構造ではなくなっています。
対するエンジニア職もセールスに関する知識や、営業現場の実態が把握できていません。
営業とエンジニアの対立は、大まかではありますが以上のような過程を経て生まれるようです。
営業とエンジニアが仲良くするコツ
お互い対立する状況を避けるためには、当然ですが営業とエンジニアの綿密な連携が不可欠です。
特に、営業部との直接的な窓口となるSEの立場が重要となります。
本来であれば営業が防波堤となって、顧客からの無理難題をやんわりと拒否することが理想ですが、あまりシステム知識がない営業マンだと、なかなか上手くいきません。
そのような営業の無茶振りを防ぐために、ブリッジであるSEが、営業と顧客の打ち合わせに同席するのがお勧めです。
しかし多忙なSEが常に同席できるとは限らないので、理想的には営業パーソンがシステム設計についての知識を増やすことだと思います。
企業によっては新入社員を初めの数年間はプログラマー、そしてSEとして経験させることで知識を増やし、営業に配置転換するところもあるようです。
そのようにシステムへの理解度を深めていくことで、納期や費用、正しい工数の見積もりができるはずです。
営業とエンジニアも円滑なコミュニケーションが取れるようになり、無理な納期のシステム発注も減っていくことでしょう。
SIer営業の心得
システム開発には、システムベンダーはもちろんのこと、顧客や協力会社など、とても沢山の人々が関わります。
営業やSE、プログラマー、それぞれチームを組み、一定の期間で開発を進めていくのです。
しかし、その期間が長ければ長いほど、業務上の問題や課題は多くなっていきます。
それらをチームで協力して、解決し続けることでチーム内の結束も強くなっていくのです。
その長期間業務の中で、人間関係がギクシャクしてしまう場合もあると思います。
他人に好かれるような人間ばかりではないので、やむを得ないことがあるかもしれません。
そのような状況で仕事を続けていくのは、誰でも苦しいものです。
プロジェクトの各チームリーダーは、飲み会やイベントを企画することで、メンバーの鬱屈した様々な思いや感情を発散させる時間を設けることもあるようです。
メンバー間の人間関係を良好に保つことで、課題を乗り越えようとする気概とチーム力をアップさせるのです。
せめて最低限のマナーはわきまえて、できる限り相手の仕事を尊重することが、自分を守る術にもなるはずです。