
アルフレッド・アドラーをご存知でしょうか?
日本での知名度はあまり高くありませんが、
- ジークムント・フロイト
- カール・グスタフ・ユング
と並んで「心理学界の巨人」と呼ばれている人物です。
アドラーはオーストリア出身の精神科医ですが、心理学者でもあるので、医学的な観点から人間の心理を追求した人物なのです。
そこで今回は、アドラーの名言集をまとめてみたいと思います。
心理学者ならではの格言ばかりなので、ぜひお気に入りの一言や、座右の銘を見つけてください。
日本でも大ベストセラーになった「嫌われる勇気」は、アドラーの個人心理学を分かりやすく解説した本なので、まだ読んでない人はぜひご覧ください。

アドラーの名言集まとめ
優越を求める気持ちは絶対になくならない。
むしろ、それが人間の心理を構成していると言ってもいいだろう。
優越を求める気持ちがあるため、その目標達成を目指して行動することができます。
何事についても目標設定は重要なのです。
自分自身の幸福と人類の幸福のために、最も貢献するのは共同体的感覚である。
「共同体的感覚」はアドラー心理学を理解するために、非常に重要なキーワードとなります。
私たちは他者と結びついて生きています。
もしも一人だったら、誰も生きていけないでしょう。
我々ができることはたくさんある。
悲観的にならずに、何事もポジティブに考えるべきだと思います。
誰でも、いつからでも、すぐに始めることができるのです。
富を誇示する必要はない。
お金持ちであることを誇示すると、お金がない人に妬まれます。
その結果、貧しい人たちが犯罪に手を染めたり、怒らせたりしてしまうのです。
そのようなきっかけを、わざわざ作る必要はないので、お金があることを誇示するのは控えましょう。
人の勇気と協力する能力の程度は、異性に近づく時に明らかになる。
異性と交際する時には、誰もが純粋な気持ちになりますよね。
そのような純粋な気持ちの時、その人の本性が現れるのです。
どんな人生を送るかは、その人の人生目標によって規定される。
人生目標は高ければ高いほど良いですよね。
高い山ほど登るのは大変ですが、そのぶん一生懸命頑張るので、結果として大事を成すことができます。
しかし、低い目標を設定すると、誰でも簡単に成し得てしまうので、普通の人生で終わってしまうのです。
人は人生の方向性に沿って出来事を解釈するようになる。
つまり、自分の関心という先入観に従って解釈するということだ。
人間には知識があるので、常にフィルターがかかった状態で世の中を見ています。
つまりバイアスがかかっているのです。
それらを「先入観」と呼んでいます。
社会性を身につけ、社会に適応できるような指導を行えば、誰もが持っている劣等感を正しく活用し、劣等コンプレックスや優越コンプレックスに姿を変えるのを防ぐことができる。
劣等感はアドラー心理学において重要なキーワードとなっています。
劣等感は「コンプレックス(劣等コンプレックス&優越コンプレックス)」に姿を変えるので、十分注意しましょう。
人前できちんと話すには、自分を信じ、そして聴衆を信頼しなければならない。
子供の頃から人前で話すことに慣れていない人は、舞台恐怖症になってしまいます。
そうなる原因を、アドラーは「聴衆を敵とみなしているから」だと言っています。
自分に対して視線をおくる聴衆を見て、勝手に恐怖を感じたり、劣等感を抱いてしまうのです。
これを改善するためには、聴衆と一体になる共同体的感覚が必要だとアドラーは言っています。
人間と社会の関係性を理解する鍵は、人がいつでも自分が優秀さを発揮できる状況を求めているということだ。
自分が今いるのが例え優秀校だったとしても、万年ビリの成績でいるより、少し学校のランクを落として上位にいた方が気持ちいいですよね。
野球の強豪校にいて、常にベンチを温めているくらいなら、エースとしての出場機会があるチームに行きたいですよね。
このように、人間は誰しも自己顕示欲を持っていますが、共同体的感覚がない人ほどそれが強くなる傾向にあるのです。
人は誰でも劣等感を持っている。
劣等感それ自体は病気ではない。
むしろ健全な向上心に繋がるきっかけになるだろう。
劣等感は人生における逆境となりえます。
しかしそのような劣等感を抱えているからこそ、人間は頑張れるのです。
あらゆる失敗者は仲間感が欠けているが故に失敗者なのです。
仲間感とは共同体的感覚のことです。
失敗者は自分が成功した時に、誰も利益を受けないし、恩恵を被らない動き方をします。
その結果、大失敗してしまうのです。
優越コンプレックスとは、すなわちただの虚栄心であり、人生の無益な側面に向かわせる目的に過ぎない。
アドラーは「優越コンプレックスで得られるのは、偽物の満足であり、偽物の成功だ。」と言っています。
優越コンプレックスの人は、人よりも優れていると勘違いして、それだけで満足してしまうのです。
子どもの人格形成について、重要なことを指摘しておきたい。
罰を与える、叱責する、お説教するという方法は、子供にとって得るものが何もない。
この名言は、子どもの人格形成にとって重要なことを語っています。
幼い子供は叱られている理由が理解できないので、それを経験した子どもは、ずる賢くなり臆病になります。
つまり挑戦しなくなるのです。
それではどうすればいいのでしょうか?
その答えは非常にシンプルです。
それは子供の主体性を認めてあげることです。
何か手伝ってくれたら「ありがとう」と伝えて、何か悪さをしたらきちんと理由を聞き、一人の人格ある人間として接してあげるのです。
そうすれば子どもには共同体的感覚が備わっていきます。
教育の大原則は、大人になってからの人生と矛盾しない事柄を教えなければならないということだ。
子供の頃に受けた教育と、大人になってからの経験が一致しないと、大変苦労することになります。
子供の頃は「周りと一緒の行動をしなさい!」と言われ、大人になってからは「自分の意見を言え!」と主体性を求められるのです。
母親の最も重要な課題は、子供に信頼できる「他者」を最初に経験させることである。
子供にとって母親は常に味方であるべきだと思います。
その感覚が養われないと、共同体的感覚が備わらないのです。
もしも人が協力的でなかったら、他者に関心をもたなかったら、全体に貢献してこなかったら、人の人生は不毛であり、跡形もなく地球上から消え失せてしまっていただろう。
人間は他者と接して、社会で共存していきます。
それが全ての悩みの元凶でもありますが、それをしなければ生きられないという「矛盾」を抱えているのです。
もしもお金の価値が家庭生活において過大評価されれば、子供達は仕事の問題を、それによって稼げるお金の問題としてだけ見たくなるであろう。
難しい言い回しをしていますが、伝えたいことは「仕事はお金を稼ぐためにやることが目的ではない」ということです。
お金を目的にしてしまうと、仕事に中身を軽視するようになります。
そうではなくて「社会にどれだけ貢献できる仕事なのか?」という観点で選んだ方が幸せになれるのです。
個人心理学では、そもそも性格にタイプはないと考えている。
- あの人は楽観的だ
- あの人は悲観的だ
このような性格判断を聞いたことありますよね。
しかし、個人心理学では性格にタイプなど無いと言うのです。
なぜかと言うと、それぞれの人が独自のライフスタイルを持っているからです。
つまり、これまで生きてきたライフスタイルに人格は影響されるため、人間の性質には無限の可能性があると考えます。
人間は意味の領域に生きている。
我々は状況をそれ自体として経験することはない。
例えば上を見上げた時、空が見えますよね。
それを「空」と認識するのは、人間の知識がもとになっています。
道端に落ちている石ころを「石」と認識するのも同じです。
石ころを「灰色で硬そうな物体」と捉える人は赤ちゃんぐらいですよね。
全てにおいて人間は色眼鏡で物事を見ているのです。
人は動く。
その動きには意味がある。
人間は頭で考えた通り手足を動かすことができます。
行動することができます。
それらは何か目的があって動かされているので、全てに意味があるのです。
もしも人が仲間の人間と人類の幸福に関心があれば、人が行う全てのことは、他者への関心によって導かれるだろう。
哲学者らしい難解な言い回しですが、伝えたいことは「共同体的感覚があれば、他者が喜ぶことをするはず」ということです。
それが他人を喜ばすことにつながっていき、結果的に自分も幸せになれるのです。
まとめ
ここまでアルフレッド・アドラーの名言を解説してきました。
アドラー心理学は「幸福の追求」がテーマになっているので、全てのビジネスパーソンが理解しておくべき知識だと思います。
部下を育成する時はもちろんですが、仕事への向き合い方、愛する人との過ごし方など、多くの学びがあるはずです。
もし気になる人はアドラーの著書「人生の意味の心理学」を読んでみてください。
