
セールスパーソンは毎日何らかの商材を売っていると思います。
しかし、相手は人間なので、なかなか売ることができず悩む人も多いでしょう。
そこで今回は、セールスの真髄とも言える「物を売るコツ」について解説していきたいと思います。
目次
「物を売る」とは?
営業職はお客様に対して商材を提案し、受注(=契約締結)することが仕事になります。
つまり、製品サービスを売るのです。
これは「セールス活動」とも呼ばれていますが、お客様は十人十色なので、毎回受注を獲得するのは「神業レベルに等しい」と言われています。
なので、一般的な新規受注率は10%~20%程度に収まっていて、そのほとんどが失注しているのです。
このような動き全般を「営業活動」と呼ぶ人もいますが、実は「物を売る」というのは結果論でしかないのです。
本当は物を売るのではない!?
例えば、家電量販店に洗濯機を見に来たお客様がいたとします。
このお客様は本当に洗濯機が欲しくて家電量販店に来たのでしょうか?
その答えは「No」です。
お客様は洗濯機が欲しいのではなく、汚れた衣類を手軽に洗いたいだけなのです。
その方法には何種類かのやり方があると思います。
- クリーニング屋に依頼する
- 洗濯桶で手洗いする
- 洗濯機を使う
色々と検討した結果、おそらく洗濯機を購入するのが一番良いという判断になり、家電量販店を訪れたのでしょう。
このように考えた場合、お客様は決して「洗濯機が欲しい!」というわけではないことに気づきます。
営業現場もこれと同じなのです。
つまり、営業職が本質的にやるべきことは「お客様の課題解決」なのです。
今回のケースで言えば、「汚れた衣類を手軽に洗いたい!」という顧客ニーズを把握して、それに最適なソリューションを提供することが営業活動なのです。
まずは営業活動の本質について、きちんと理解しておきましょう。
物を売るテクニック
ここから具体的な「物を売るやり方」について解説していきたいと思います。
まずは「物を売るテクニック」について解説しますが、これはセールス全般に言える話なので、特定の商材の時だけ使えるというわけではありません。
例えば「メラビアンの法則」というものがあります。
メラビアンの法則とは、アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアン教授が唱えた概念のことです。
この法則は、話し手が聞き手に及ぼす影響を研究や実験に基づき数値化したのですが、全体を100%にした場合、話し手が聞き手にあたえる影響は以下のようになります。
- 言語情報は7%
- 聴覚情報は38%
- 視覚情報は55%
この数字を見てわかる通り、一番視覚情報の数値が大きいのです。
ちなみにそれぞれの情報とは、以下のようなイメージになります。
言語情報:話し手が発している言葉の意味やその話しの内容です。
聴覚情報:話し手の発する声の大きさやトーン、話す時の口調や速さなどです。
視覚情報:話し手の目線や表情、態度、仕草を指しており、身体言語とも言われる事があります。
メラビアンの法則に基づいた数字を見る限り、コミュニケーションとは言語だけでなく非言語情報も大切だということがわかります。
ということは、物を売るためには身なりを整える必要があるということが理解できるはずです。
例えば、シワのないスーツを着たり、ワイシャツの袖口や襟が汚れていなかったり、整髪することは相手に好印象を与えるので、セールスパーソンであれば必ずやるべき準備だと思います。
お客様からYes(イエス)を取る
お客様の所に行って、いきなり「当社の製品は他社よりも効果があって、価格も安いので是非ご契約ください!」と言っても、受注できませんよね。
物事には順序があるのです。
いきなり契約を迫るということは、恋愛で言えば出会ってすぐに「私と付き合ってください!」と告白するようなものです。
そうではなく、
- 私はどういう人物なのか?
- 当社はどんな会社なのか?
- お客様のニーズは何なのか?
- 当社製品の中では何が最適なのか?
などコミュニケーションを取らなければいけません。
つまり、まずは自分のことを知ってもらった上で、お客様のことも知る必要があるのです。
それが終わったら、次にやるべきことはYes(イエス)を取ることです。
例えば、お客様には小学生の子供がいて、英語教育に課題感を持っていたとします。
そんな時には以下のようなセールストークが良いでしょう。







こちらのパンフレットをご覧ください。


ちなみに、お子様を海外留学させたくありませんか?


このセールストークの中で「⇒Yes」と記載されている部分が、お客様から同意を得た部分です。
お客様からの同意というのは「共感」を意味するので、これをたくさん取ればとるほど、お客様の抵抗は少なくなっていきます。
つまり、お客様は断る理由がなくなっていくのです。
人間というものは、自分が発言したことをなかなか否定できない生き物です。
その心理を利用しながらたくさん「Yes」を取ることで、お客様の退路を断ち、話の道筋を営業マン主導で作っていくのです。
そうすればごく自然なクロージングが実現します。
契約手続きでは質問しない
いざクロージングする時に「ご契約書にご記載頂けますか?」と聞いていませんか?
このような質問は不要なので、営業現場では絶対にやらないようにしましょう。
営業マンが「ご契約書にご記載頂けますか?」と聞いてしまうと、お客様の回答は「はい or いいえ」の2種類になってしまいます。
つまり「いいえ」が出てくる可能性があるのです。
しかも高確率で…
このような営業活動はナンセンスなので、絶対に「いいえ」が出てこないような聞き方にしなければいけません。
例えば一通り提案が済んで、いざクロージングする場合は「ご納得されたようなので、契約手続きに入らせて頂きますね。こちらが契約書になります。まずはこちらの日付をご記載ください…」と手続きを進めてしまえば良いのです。
多少強引に思えるかもしれませんが、このようなやり方をしなければ「一度検討させてください」とか「主人と相談しますので…」とか言い出しかねません。
もしセールストークの流れの中でたくさんの「Yes」を取っていて、販売している商材がお客様にとって有益なものであるなら、そのまま手続きを進めてしまった方が無難だと思います。
営業活動に遠慮は不要です。
「そんな強引なやり方はやりたくない…」と思う営業パーソンがいるかもしれませんが、どうせあなたがやらなくても競合他社やライバルが強引に受注するだけです。
新規受注一件を、ただライバルに取られるだけなので、それであれば自分がその場で受注してしまいましょう。
物を売るやり方(セールストーク付き)
お客様に物を売る場合、絶対にやらなくてはいけないのが人間関係の構築です。
そもそもお互いの信頼関係がなければ、営業活動など成立しません。
なので、徹底的なヒアリングとコミュニケーションを図るようにしましょう。
商材を提案するのはその後で構いません。
物を売るためには順序があるのです。
きちんとその事を理解しておきましょう。
即決営業を実践しよう!
営業現場で実践すべきことは即決営業です。

つまり、営業したその場で受注をとるのです。
これは一見難しいように思いますが、慣れてしまえばそんなことありません。
とはいえ、ある程度準備しておかないと即決営業は実現しません。
例えば、営業現場でよくある抵抗が「検討させてください」という反応です。
せっかくお客様に最適な学習教材を提案したのに、「高額な商品なので一度検討させて欲しいです…」と言われてしまうのです。
お客様からそう言われた場合、あなたならどうしますか?
あくまでも即決営業するという前提の場合には、基本的に答えは一つとなります。
その答えとは「奥様、検討はされないでください」という返答になります。
検討されてしまうと「買う or 買わない」の2択になるので、多くのケースで「買わない」が選択されてしまいます。
なので「買わない」を選択させないためには、検討させないことが一番なのです。
そのためのセールストークは以下のような流れになります。


よく思い出してみて頂きたいのですが、奥様は直感的にこの学習教材が良いと思ったはずです。
なのでもっと自分の直感を信じてください。


例えば、今住まれているご自宅は、世界中の住宅を見てから決めたのですか?そうではないと思います。直感的に素敵だなと思ったから購入されたんですよね。
学習教材もそれと同じで、直感的に良いと思ったものは、今住まれている家と同じで、買った後の満足感も高いはずですよ。


それではこちらが契約書になりまして、まずはこの日付からご記入ください。
このようなセールストークを展開すれば、お客様の「検討させてください」は問題なく突破できるはずです。
このトークを使う時のポイントは、先ほどと同様に相手から「Yes」を取ることです。
そして「今住んでいる自宅」という、お客様にとって否定しがたいモノをチョイスし、それを引き合いに出して同等レベルで提示するのです。
そうすればお客様は余計断りにくくなるはずです。
飛び込み営業では立ち話しない
これは飛び込み営業に限った話になりますが、飛び込み営業ではアポなし訪問するので、たまたまキーマンに出会えるケースがあります。
そんな時には、立ったまま名刺交換し、商品パンフレットを渡して、そのまま説明し始める営業マンがいますが、そのような行為は絶対にやめましょう。
本当にそんなやり方で受注できると思っていますか?
同じ失敗を何度も繰り返すのは思考停止状態なので、もっと頭を使って考えましょう。
そもそも、大事な商談というのは座ってやるものです。
なので、立ったまま名刺交換するのは良いですが、商品パンフレットを出すのは座った後にしましょう。
もしお客様が玄関先に出てきてくれて、名刺が渡せたら次は以下のトークで着席を目指しましょう。

ところで社長、今少し座ってお話できますか?


ほんの少しだけ、3分だけお時間いただけませんか?


相手が発した「今は忙しいから無理だな。」という言葉は、断り文句の代表例だと思います。
しかし、本当に時間がなくて忙しいのであれば、わざわざ玄関先に出てきてくれることはないでしょう。
なので、「忙しい」という言葉は断り文句だと理解して大丈夫です。
その上で、多少強引に商談へ持ち込むことが必要なのです。
その時に刺さるフレーズが「ほんの少しだけ、3分だけ」という言葉です。
具体的な時間を提示しないと相手は不安になってしまうので、商談までこぎつける事が出来ません。
その時間も「1分」では短すぎて意味が無いように感じますし、「5分」だと逆に長く感じます。
「3分」というのはカップラーメンができる時間(=一般的に短い)という感覚があり、さらに商品説明くらいならできる時間なので、絶妙な塩梅なのです。
無事に座って話すことができれば、後は「3分」という時間など気にする必要はありません。
相手が自分の話を聞いている限り、じっくり商談してしまえば良いのです。
人間は誰だってメリットを感じるのであれば、ちゃんと時間をとってくれます。
もし早々に商談が打ち切られてしまうのであれば、それはお客様にメリットが提示できていないのでしょう。
なので、できるだけ序盤に顧客メリットを提示するようにセールストークを改善しましょう。
とは言っても、営業活動ではお客様を怒らせたらお終いなので、あくまでも顧客を不機嫌にさせないことも大切です。
この辺りはバランス感覚が求められるので、たくさん失敗して色々と経験するしかないと思います。
営業ではどんな商材でも売れる
ここまで物を売るコツや、セールストークなどを解説してきましたが、結論から言ってしまうと営業活動によって売れないモノなどありません。
つまり、営業すればどんな商材でも売れるのです。
そのために重要なことは、まず自分が販売している商材に惚れ込むことです。
自分自身が「これは良い製品だ!」と思えなければ、そこには情熱が無いので、販売実績を伸ばすことができません。
ちなみに、ここで言う「良い製品」とは、製品のクオリティーが高いという意味ではなく、自分が惚れ込むような魅力のあるプロダクトということです。
逆に言ってしまうと、良い製品でなければ、どんなに頑張っても決して売れないのです。
それがクリアできたら、次は徹底的にマーケティングするのですが、物が売れない理由は大きく2種類に分かれます。
- アプローチする対象がダメ
- アプローチするやり方がダメ
営業活動が失敗してしまう理由は、ほとんどこの2種類に集約されていきます。
「アプローチする対象がダメ」というのは、マーケティング不足を意味しています。
本来アプローチすべき対象ではない人に提案しているので、受注できなくても当たり前ですよね。
そして「アプローチするやり方がダメ」というのは、セールスの話です。
ソリューションが刺さらないので、こちらも受注に至ることがありません。
この二つを改善できれば、後は微修正で受注までたどり着くはずです。
営業活動で成果を出すためにはマインドセット(自己暗示)も重要です。
自分の使命は「お客様の課題を解決すること」なのだと考えて、お客様の課題を残したまま帰ることなど絶対ないようにしましょう。
