
競合他社との競争は、資本主義社会において避けて通れないことです。
営業部に所属している人であれば、競合他社とコンペしたり相見積もりされることは誰でも経験があるはずですし、もはや日常茶飯事ですよね。
しかしなかなか競合他社に勝てなかったり、相見積もりの条件で負けてしまうことも多いと思いますが、そんな時には「どうすれば勝てたのか?」と悩むはずです。
そこで今回は、ライバル企業の倒し方や差別化するやり方、分析方法までを解説していきたいと思います。
営業部に属する人やマーケティングを担当している人は是非ご覧ください!
目次
競合他社の意味とは?
企業業績を上げ続けるためには、競合他社に勝ち続けなければいけません。
この辺りを考える為には、まず「競合他社は一体どこなのか?」ということを明確に定める必要があります。
そうしなければ、どの会社をベンチマークすればいいか分からないので、大枠の営業戦略も立てづらくなってしまうからです。
そしてその競合他社を社員全員に共有して、共通認識を持っておくのが良いでしょう。
やっぱりチーム一丸となった会社は強いですし、同じ方向を向けるので、競合他社に勝てる可能性が高まるはずです。
競合他社の範囲は?
競合他社というのは、一般的に「自社と同じ分野において商品・サービスを提供している他社」を意味する言葉だとされています。
実際にビジネスにおいて競合している相手を指す言葉なので、同業種の会社は全てライバルと言うことができるでしょう。
ですが、例えばエアコンを作っている会社と冷蔵庫を作っている会社は、同じ「家電業界」という分野に属しているものの、直競合であるとは言い切れません。
すなわち、競合他社と言うためには「商談時にバッティングするような関係性」であるということが必要なのです。
ただし、ここで注意しなければいけないのは「直競合」だけがライバル企業ではないということです。
この部分を深掘りしていきたいと思います。
本当の競合他社(ライバル)とは?
例えば、先程のようにエアコンを作っている会社の競合他社というのは、実はもの凄く広い範囲の業種・業態になってきます。
これは一体どういうことなのかと言うと、”その製品サービスが課題解決できるポイント”にフォーカスすれば理解できるはずです。
例えば「エアコンを買いたい!」と思っている人は、果たして本当にエアコンが欲しいのでしょうか?
答えはNoです。
これは意外に思うかも知れませんが、お客様は決して「エアコンが欲しくてエアコンを買う」のではありません。
エアコンを購入する本当の目的(ニーズ)というのは、
- 涼しく快適に過ごしたい
- 寒い季節に温まりたい
ということだと思います。
つまり、この課題を解決できる製品・サービスは「全て競合である」といっても過言ではないのです。
例えば、
- おでん
- ホッカイロ
- 湯たんぽ
- 製氷機(かき氷機)
- 避暑地のホテル
なども広義では競合と言えますし、快適な空間を提供している”図書館”なんかも競合と言えるかも知れません。
このように考えることで「競合他社よりも勝っている部分は何か?」ということが徐々に見えてくるはずです。
これはその製品・サービス自体の”セールスポイント”と言い換えることができるので、つまり自社製品の”強み”になります。
例えばエアコンと、先程例に出した競合との違いは、「手軽に長時間快適に過ごせる環境を作ってくれる」ことだと思います。
図書館や避暑地との違いは、「わざわざ外出しなくても快適な環境が自宅で手に入ること」だと言えます。
このように考えることで想定問答(FAQ)も出来上がっていくので、必ずこの作業はセールスに役立つはずです。
競合他社が多いというのは、それだけマーケットが大きくて、競争が激しいシビアな業界であるとも言えます。
自社がそういった状況にある場合には、より効率的に稼ぐ為、競合が少ない領域に進出したり、自社の強みに磨きをかけて、競合他社と差別化を図るといったことが必要になってきます。
そのような場合には「ブルーオーシャン戦略」をとるのが効果的だと言われているので、もし気になる人は下の書籍を読んでみてください。

競合他社を分析する理由
競合他社が特定できたら、次に行うべきはそのライバル会社の分析です。
競合他社を分析する理由とは、「どうすれば勝てるのか?」を考える為です。
例えば、高い収益率を有している競合他社がいる場合には、その商品の製造工程や製造方法を分析して、良い部分を取り入れるようにすれば自社の収益率を引き上げられるはずです。
一方で、売上高が下降線をたどっている競合他社については、その原因を分析することで自社が同様の状況に陥らないようにあらかじめ対応策を講じる参考データになり得ます。
また、分析することによって相手の弱点がわかれば、そこを的確に突くことで競合他社を弱体化させて、自社のビジネスを拡大させるきっかけを作ることもできます。
このように、マーケティング活動においての”分析”は非常に重要な役割を持っているので、しっかり抜かりなく行いましょう。
3C分析を活用する
ビジネスで勝利を収めるために競合分析が重要なことはお伝えした通りですが、その方法としてよく用いられるのが「3C分析」と呼ばれる手法です。
この3Cというのは、
- Customer(顧客)
- Competitor(競合他社)
- Company(自社)
の3つを指しています。
この3Cはそれぞれ、
- 市場環境
- 競合環境
- 自社環境
を精緻に分析して、自社のビジネスを勝利させることを目指しています。
競合他社の分析はこのうちのCompetitorに該当するもので、以下の項目別に競合分析する際の定石とされています。
- 競合各社の現状シェアと推移
- 各競合の特徴
- 競合他社の業界ポジション
- 新規参入・代替品の脅威
- 特に注意すべき競合企業
これは競合分析する時に使える知識なので、ここで覚えておきましょう!
競合他社と差別化するコツ
競合他社に打ち勝つためには、彼らを分析しただけで満足してはいけません。
分析結果を基に競合他社との差別化を図って、商品・サービスに付加価値をつけて、顧客に選択してもらうことが必要になるからです。
ここまですることで、初めて大きな成果が得られるようになってきます。
その時に重要になってくるポイントは、競合他社との”差別化”です。
SWOT分析を活用する
他社と差別化を図るためには、SWOT分析という手法が良く用いられています。
このSWOT分析というのは、
- 自社の強みである「Strength」
- 弱みである「Weakness」
の2つの内部環境に加えて、
- 市場におけるビジネス機会である「Opportunity」
- 自社にとっての脅威である「Threat」
という外部環境の分析を通じて、自社を差別化させてビジネスを成功に導くというものです。
この4つの頭文字をとって「SWOT分析」と呼ばれています。
SWOT分析を行うメリットは、自社を取り巻く状況が客観的に理解できるほか、自社にとっての機会と脅威という相反する2つの項目を同時に分析できるという点にあります。
また、それぞれの項目について深掘りしていくことになるので、より深く事業を理解できるという副次的なメリットもあります。
SWOT分析のやり方
このSWOT分析を実施するやり方は、それぞれの項目ごとに自社の置かれている状況を洗い出していくのですが、それに加えてクロスSWOT分析という手法を用いて各項目の状況を組み合わせるという作業を行うのが一般的です。
例えば、半導体の製造技術が自社の強みであり、スマートフォンの市場拡大にビジネス機会が見い出せるのであれば、両者を組み合わせてスマホメーカーに対して半導体の営業攻勢をかけるというのが業容拡大のために取り得る戦略になる、といった具合です。
この辺りを詳しく説明していくには時間が掛かり過ぎるので、詳細については専門の解説書をご確認ください。


競合他社に勝つ方法
競合他社の分析を行う最終的な目標は、「競合他社に打ち勝つ!」ということですが、そのためには分析した結果を踏まえて、実際にアクションを起こす必要があります。
有効なアクションは必ずしも一通りではありませんが、例えば圧倒的な行動力を持って競合他社に先回りするといったやり方や、他社が有していない自社だけの強みを活かしてビジネスを展開するといったやり方が考えられます。
この辺りで使えるマーケティングノウハウは「ランチェスター戦略」になります。
ランチェスター戦略とは?
ランチェスター戦略は戦時中に考えられた”戦争論”ですが、現代ビジネスにも活用できるので、ビジネス界隈で注目され続けている手法になります。
ランチェスター戦略を端的に解説してしまうと、「弱者が強者に勝つための方法」と要約できるでしょう。
例えば「できたばっかりのベンチャー企業が、どうやって大企業に勝てばいいのか?」ということです。
大企業というのは経営資源といえる
- 人(ヒト)
- 物(モノ)
- 金(カネ)
を豊富に有しているので、真正面から衝突してしまったら、中小ベンチャー企業は100%負けてしまうはずです。
このようにベンチャー企業(弱者)でも大企業(強者)に勝つことができる方法論を、わかりやすく解説しているのがランチェスター戦略になります。
これは当たり前の話ですが、ユニクロやソフトバンク、日本電産(現・ニデック)などの大企業も、最初は零細ベンチャー企業だったので、大企業に勝つ方法はあるということです。
このランチェスター戦略について詳しく知りたい人は、専門の解説書をご確認ください。

大手企業の逆張りをする
もし大手企業のような高い購買力を有しているのであれば、それを活用して価格競争を仕掛けるのはかなり有効的なやり方だと思います。
ライバル企業を圧倒して、価格優位性を確保することは大企業にとって正攻法ですよね。
そして「他社は商品の大量供給ができない!」と判断すれば、競合他社が太刀打ちできないような圧倒的な商品ボリュームを用意して、一気に市場開拓する大規模なマーケティングを展開すれば、他社を一掃することができるかもしれません。
ここまで読んできた中小ベンチャー企業の人の多くは、大企業に勝てないことに絶望したかも知れませんが、実は中小ベンチャー企業でも大企業に勝てる方法があるのです。
それはゲリラ戦(局地戦)を仕掛けることです。
この辺りの戦略論は、ランチェスター経営の第一人者である「竹田陽一」氏の著書に記載されているので、気になる人は一度読んでみることをおすすめします。

”戦わずに勝つ”ことが理想的
ビジネスを行う上で究極の理想形は孫子の兵法にあるように、「戦わずして勝つ」ことだと思います。
とは言っても、最初からそのような状況にするのはほとんど不可能なので、まずは競合他社の分析やSWOT分析を行って、自社の強み&弱みを冷静な目で見極める必要があります。
その上で、圧倒的な戦力差を持って相手に打ち勝てる場合には「真っ向勝負を挑む」という選択肢もあり得ますが、戦力が拮抗していたり、自社の方が戦力的に不利な状況である場合には、勝負を仕掛けても消耗戦になるだけなので、他の方策を検討した方が賢明でしょう。
そういった場合に取り得る戦略として考えられるのは、M&Aによって相手を上回る力を身に着けるという方法です。

M&A戦略とは?
M&Aというのは、他社事業を部分的に買収したり、企業ごと合併や買収して事業規模を拡大する戦略のことをいいます。
これによって自社の弱い分野を早急に補えるので、スピード感のある事業展開が可能となります。
自社にはない強みを有している企業を買収して弱点を補強したり、競合他社と合併して無駄な競争を避けることも実現するのでとても良い方法なのですが、如何せんM&Aには資金力が必要となります。
潤沢な資金力を有していなければM&Aは実行できないのですが、同業他社と事業提携するというやり方もあります。
事業提携であればM&Aほどの資金が必要とならないので、かなり現実味が増すでしょう。
もし戦わずして競合他社を打ち負かしたいという場合には、積極的なM&Aを検討してみてください。
