
営業職の人は日々営業スキルを磨いたり、セールストークを考えたりしていると思います。
そのような営業テクニックの中に心理学を取り入れてみていかがでしょうか?
トップセールスと呼ばれている人達は、心理学を巧みに利用して新規受注を積み上げています。
そこで今回は、営業活動に使える心理学について解説していきたいと思います。
目次
心理学は営業に使える
営業と心理学に関係性を感じないという人もいますが、実は大いに関係あるのです。
営業活動に心理学を取り入れると、商談を有利に進められたり、受注率が高まる効果が期待できます。
なぜかと言うと、営業という仕事は「顧客とのコミュニケーション」が基本になるからです。
心理学は人の心の動きについて、また人と行動の関係性について研究する学問なので、心理学を学べば顧客の深層心理を態度や行動から読み取ることができるようになります。
そのため、営業パーソンが心理学を学ぶと、新たな切り口でセールスしたり、お客様とのコミュニケーションに変化が生まれるので、より自分に合った営業手法を発見できる可能性があります。
そのような背景があるので、多くのトップセールスマンが「意識的 or 無意識」に関わらず心理学を活用していると言われています。
そう考えた場合、心理学が営業活動に使えるということは既に実証済みだと言っても過言ではありません。
成績上位のトップセールスになるためには、全てのセールスパーソンが心理学を理解しておくべきだと思います。
その為には本を読んで勉強することも大切です。
心理学について解説した本は頻繁に出版されているので、自分から進んで情報を取りに行きましょう。

商談で使える心理テクニック
商談では接客態度がカギとなります。
そのような観点で覚えておきたいのは、パーソナルスペースについてです。
心理学において「パーソナルスペース」とは、自分を中心として他人に入ってほしくない空間のことを言います。
この距離の取り方を間違えてしまうと、お客様はストレスを感じるので、商談不成立になる可能性が高まります。
初対面の人や、会ったばかりで警戒している人とは、120センチメートルほど離れた方が良いと言われています。
これくらいの距離をとれば相手は安心するので、こちらの話にも耳を傾けてくれます。
もし親しくなった場合でも、60センチメートルほどの距離をとっておくと、相手を不快な気持ちにさせることが少ないようです。
ハロー効果
ハロー効果も接客時や商談で使える心理テクニックになります。
ハロー効果は、人の目立った特徴を、他の部分でも引きずってしまう現象のことを言います。
例えば、容姿が整っている人の場合、清潔感があるように見えたり、容姿がいまいちの人の場合、不潔な感じに見える現象のことを言います。
このことが顕著に現れるのは、恋愛に関してでしょう。
自分好みの容姿をしている異性は、何をやっても魅力的に見えますよね。
これはまさにハロー効果が発揮されている状態だと思います。
ハロー効果を商談に活かすには、最初に自社の強みを印象付けることが大切です。
例えば、以下のようなイメージです。
- 弊社のサービスは業界最大級なんです。
- 弊社の製品は経済産業省から表彰されたことがあるんです。
- 弊社の技術は特許を取得しているんです。
このようなアピールをすればハロー効果が発揮され、その他の部分まで良く見えてくるので営業しやすくなるはずです。
「表彰」や「特許」というキーワードは、権威への服従原理にもなります。
権威ある者から認められた製品であれば、その点をアピールすることで製品に対する信頼性が増し、商談が成功する確率がアップするのです。
ミラーリング効果
初めての商談、特に対面した接客で使えるのは”ミラーリング効果”です。
人は自分の仲間だと認識した場合、その人に対して少なからず親近感を抱くものです。
ミラーリング効果は、まさにそれを利用した心理効果になります。
人は自分と同じ挙動をとる人に好印象を持ちやすいので、相手のしぐさを自然な形で真似していると、相手の潜在意識には無意識のうちに「この人は仲間だ」という刷り込みが起こって行きます。
これを繰り返していくと、あっという間に親しくなってしまうのです。
このように考えると、心理学とは人心掌握術のようにも思えてきます。
心理学を学ぶことは非常に面白いので、もし良ければ下の書籍をご覧ください。

クロージングに使える心理学
営業活動の中で「クロージング」はとても大切なポイントになります。
クロージングには「締めくくる」という意味合いが込められているので、商談をまとめることを指します。
つまり、「買うか?」「買わないのか?」という顧客の意思を確認する最終段階のことを言います。
顧客ニーズをヒアリングして、現在の課題を確認し、必要な解決方法を提示しても、クロージングが上手くいかないと全てが水の泡になります。
クロージングに失敗した場合、それが原因で失注する可能性もあるため、ベテラン営業マンでも緊張する場面だと思います。
このような状況でも、心理学のノウハウはとても役立ちます。
例えば、クロージングで使える心理学には「一貫性の法則」があります。
人は自分が発言した内容に矛盾がないように行動したいと思っているので、その点を利用するとクロージングの成功率が高まるはずです。
一貫性の法則を効果的に実施するには、顧客の要望や意見をどれだけ集められるかがポイントになります。
顧客ニーズを聞き出して、お客様が話した言葉を聞き逃さないようにしましょう。
そして、その言葉をトークの中に盛り込んで「●●の要素が入った製品であれば、購入したいと思いますか?」などの質問をしてみて、肯定的な答えが得られるようにします。
つまり「Yes」を取りにいくのです。
この手法のポイントは、顧客が素直に「はい」といえる質問を実施することです。
その数が多ければ多いほど顧客は断る理由がなくなるので、契約に至りやすくなるはずです。
ただし、あまりお客様を追い詰めすぎると、逆にストレスを感じてしまうので、顧客を論破するような真似は絶対にやめましょう。
クロージングで顧客をさらに引きつけ、さらに興味を持たせるのに役立つのが「希少性の原則」です。
人は珍しいものや、なかなか手に入らないものに価値を感じやすいという特徴があります。
一例として「期間限定」「入荷未定」などと書かれた商品は魅力的に思えますよね。
「今買っておかないと買えないかもしれない…」と感じて、ほとんどのケースで購入に至るのは周知の事実だと思います。
自社製品やサービスに希少性があれば、その点を強調すれば契約の後押しになるかもしれません。

おすすめの心理テクニック
前述の5つの王道といわれる心理テクニックの他に、トップセールスマンがよく利用する行動心理学があります。
その一つがアンカリング効果です。
アンカーは船の錨を指しますが、船は一旦錨を下すとほとんど動かなくなります。
これと同じような状態をアンカリングと言いますが、顧客の深層心理にアンカーを落とすようなイメージになります。
人は最初に目にした数値やデータを基準にする習性があるので、それを営業活動に応用してしまうのです。
例えば以下のような使い方があります。
複合機は2年に1回ぐらい新機種に入れ替えるのが普通なのですが、御社の複合機は何年ぐらい使っていますか?
複合機を何年使おうがユーザーの勝手ですし、入れ替え年数はあくまでも目安なので、それを守る必要はありません。
もちろん、2年を超えたところで、複合機は全然使えると思います。
しかし、営業パーソンは複合機のリプレイスがしたいので、あらかじめ「複合機は2年に1回入れ替えるのが常識です!」というアンカリングをしておくのです。
もしお客様が複合機を2年使っていれば、顧客の潜在意識には「そろそろ入れ替えた方が良いかもしれない」という意識が芽生えることになります。
このアンカリングをしないで、いきなり「複合機の入れ替えをご検討されませんか?」と提案しても、基本的に「考えていません…」と断られることでしょう。
ホットリーディング
トップセールスマンが好んで利用していて、ビジネスの幅広い分野で使える心理学に「ホットリーディング」があります。
ホットリーディングとは、相手のことを前もって調査しておき、その情報を元に相手との距離を縮めるやり方を言います。
どんな人でもそうですが、共通の話題があると、相手に親近感を持ちやすくなりますよね。
そうなると、商談もスムーズに進めやすくなります。
具体的なホットリーディングのやり方ですが、例えば、自社の商品やサービスに関する話より前に、顧客の実績や扱っている製品など良い点を褒めたり、自分の営業活動に結びつかないことであっても、顧客が興味を持っている内容に触れるようにします。
そうすると、シビアな現場であっても、相手との距離を短くし、商談を成功に結びつけることができるのです。

おすすめの心理学本
心理学は基礎心理学や応用心理学などの分野があり、広範囲に学ぼうとすると膨大な時間がかかります。
営業を仕事にしている人は、自分の仕事に役立つ分野をピックアップして学ぶと良いでしょう。
その点で役立つのが、営業の仕事に特化して記載された書籍です。
例えば「心理学者しか知らない すごい!営業」は、行うべき結論を最初に示してから、その証拠となる事例が列挙されているので、忙しい営業マンが読むのに適した本といえるでしょう。

また「売れすぎて中毒になる 営業の心理学」は、顧客の側から見た営業のアプローチの視点が書かれているので、どうしたら営業成績を上げられるかを知るヒントになるはずです。

加えて、営業活動を阻害している要因に対処する方法などを学ぶことができます。
そして、口下手な人が売上を伸ばすのに役立っているのが、メンタリストDaiGoの著書である「トークいらずの営業術」です。
この本は観察力・判断力・行動力・説得力・忍耐力の5つに絞った記載で、トークに苦手意識を持つ営業マンに力を与える内容となっています。

まとめ
ここまで営業活動で使える心理学について解説してきました。
トップセールスを目指すためには、心理学をうまく活用した方が絶対に良いと思います。
これは断言できます。
ぜひこの記事をきっかけにして、驚異的な営業実績を叩き出してください。
