
ひとくちに「営業」といっても、色々な職種がありますよね。
例えば、ルート営業と新規営業では、仕事内容から求められるスキル、そして仕事のやりがいまで、全く異なります。
そこで今回は、長年ビジネスの最前線で双方の営業を見てきた私が、この2職種の決定的な違いを解説したいと考えています。
それぞれの「きつさ」の正体やメリット・デメリットに深く踏み込み、あなたがどちらのタイプなのかを見極めるヒントを提示しますので、営業職に就職を検討している方、営業内でのジョブチェンジを考えている人は是非参考にしてください!
目次
ルート営業と新規営業の決定的な違い【比較表】
まずは、ルート営業と新規営業の違いをひと目で理解するために、簡単な比較表を用意しました。
この2つの営業スタイルは、向き合う顧客や仕事の目的が根本から異なりますが、長年の経験から、私は新規営業を「狩猟型」、ルート営業を「農耕型」のビジネスだと捉えています。
この視点を持つと、それぞれの役割の違いが、より鮮明に浮かび上がってくるはずです。
基本項目の比較
- 対象顧客
- ルート営業: 既に取引のある既存顧客
- 新規営業: まだ取引のない見込み客
- 主な目的
- ルート営業: 顧客との関係維持・深化、追加受注(クロスセル・アップセル)
- 新規営業: 新規顧客の開拓、初回契約の獲得
- 仕事のスタイル
- ルート営業: 長期的・継続的(農耕型/ストック型)
- 新規営業: 短期的・スポット的(狩猟型/スポット型)
- 求められる主要スキル
- ルート営業: 傾聴力、関係構築力、提案力、調整能力
- 新規営業: アプローチ力、プレゼンテーション能力、クロージング力、精神的タフネス
- 成果指標(KPI)
- ルート営業: 既存顧客からの売上高、顧客維持率、クロスセル率
- 新規営業: アポイント獲得数、新規契約数、新規契約金額
このように、同じ「営業」という職種でありながら、その中身は全くの別物なのです。
ここからは、それぞれの仕事内容と役割について、より深く掘り下げていきましょう。
「農耕型」ルート営業の仕事内容と役割
ルート営業は、既存顧客との関係を維持・発展させ、継続的な売上を積み上げていく「農耕型」の営業だと言えます。
一度築いた信頼関係という土台の上に、いかにして”実り”を最大化できるかが腕の見せ所ですよね。
世間では「楽な仕事」というイメージを持たれがちですが、その実態はまったく異なります。
例えば、ルート営業の基本は担当する既存顧客を定期的に訪問し、コミュニケーションを重ねることです。
しかし、ただ顔を出すだけの「御用聞き営業」では務まりません。
顧客のビジネス状況や業界の動向を常に把握し、有益な情報を提供したり、抱えている課題や悩みをヒアリングしたりすることで、少しずつ信頼関係を深めていくのです。
時には製品の納品やトラブル対応に奔走することもあり、顧客のビジネスを止めないための重要な役割を担います。
このような現場を知る私から言わせてもらえば、ルート営業の真髄は、この「関係深化」にこそあると考えています。
単なる取引先ではなく、顧客にとって「なくてはならないビジネスパートナー(伴走者)」としての地位を確立すること。
それこそが、ルート営業の極意だと言えるでしょう。
クロスセル・アップセルによる売上拡大
信頼関係を築いた先にあるのが、売上の拡大です。
具体的には、現在利用中の商品に関連する別のものを提案する「クロスセル」や、より上位のプランや高価な商品を提案する「アップセル」を目指します。
新規営業の至上命題が「アカウント開拓」である一方、顧客を育て、LTV(顧客生涯価値)を高めていくのは、まさしくルート営業のミッションです。
そのためには、顧客のビジネスを深く理解し、潜在的なニーズまで正確に引き出す能力が不可欠となります。
これこそが、ルート営業の醍醐味だと私は確信しています。
顧客自身も気づいていない課題(潜在ニーズ)を発見し、それを解決する提案ができた瞬間、それこそがマニュアル通りにはいかない、非常に高度なスキルが求められるプロの仕事だと思います。
「狩猟型」新規開拓営業の仕事内容と役割
一方、新規開拓営業は、まだ見ぬ”未来の顧客”を探し出し、自社の商品・サービスを新たに導入してもらう「狩猟型」の営業です。
「ゼロからイチ」を生み出すプロセスは困難の連続ですが、それだけに大きな達成感を得られるのが最大の魅力でしょう。
まさに会社の成長エンジンとして、常に新しい風を吹き込む重要な役割を担っているのです。
見込み客の発掘とアプローチ
新規営業の仕事は、まず見込み客(リード)のリストアップから始まります。
テレアポや飛び込み営業、問い合わせへの対応、展示会での名刺交換など、あらゆる手段を駆使してアプローチの機会を創出します。
この段階で最も重要なのは、数えきれない「NO」に打ち勝つ精神的なタフさです。
ほとんどの提案は断られて当たり前。
実際私の経験上、新規開拓営業の受注率は10%~20%が普通だと思っています。
つまり8割以上はお断りされるので、その中でもいかに心を折らずに、次のアプローチを続けられるかが成果を分けるのです。
一件のアポイントの裏には、その何十倍もの”お断り”が存在しています。
新規営業は、まさに狩猟。
獲物(契約)を仕留めた瞬間の興奮は何物にも代えがたいものですが、その一瞬のために膨大な準備と精神力が求められる、非常にエネルギーを使う仕事だと言えるでしょう。
初回契約(アカウント開拓)の獲得
アポイントが取れたら、次はいよいよ商談です。
限られた時間の中で顧客の課題をヒアリングし、自社の商品・サービスがいかにその解決に貢献できるかを分かりやすくプレゼンテーションします。
そして最終的には、契約を締結する「クロージング」まで導かなければなりません。
初対面の相手に信頼され、高額な契約を決断してもらうためには、ロジカルな説明能力はもちろん、その人の持つ熱意や人間的魅力といったものまで問われます。
新規営業のミッションは、あくまで「最初の契約を取ること」。
その後、顧客との関係を深めていくのはルート営業にバトンタッチされることも多く、短期決戦で結果を出す「瞬発力」が何よりも求められるのです。
どっちがきつい?それぞれのメリット・デメリット
「結局、ルート営業と新規営業はどちらがきついのか?」
これは、多くの人が抱く率直な疑問でしょう。
結論を先に言えば、きつさの「種類」が全く異なります。
どちらか一方が楽ということは決してありません。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分にとってどちらの「きつさ」が許容できるかを考えることが重要なのです。
ルート営業のメリット・デメリット
- 既に関係性があるため、精神的なハードルが低い
- 毎月の売上がある程度予測でき、安定感がある
- 長期的な関係構築の中で、深いやりがいを感じられる
- スケジュールを自分で管理・調整しやすい
- 売上が顧客の業績に大きく左右される
- 大きな成果を上げてもインセンティブに反映されにくい場合がある
- 日々の業務がマンネリ化しやすい
- 担当する顧客を自分で選べない
特に最後の「顧客を選べない」という点は、ルート営業の最大のストレス要因になり得ます。
普通の感覚では新規開拓営業のほうがきついと思われがちですが、もし苦手な顧客や相性の悪い担当者に当たってしまったらどうでしょうか。
その関係から逃れることは、ルート営業においてまずできません。
これこそが、私がこの記事で最もお伝えしたいルート営業の「きつさ」の核心です。
新規営業のように「今回はダメでも次いこう!」と割り切ることができないのです。
相性の悪い相手と何年も付き合い続けなければならない精神的なプレッシャーは、経験した者でなければ分からない、非常に根深いものなのです。
新規営業のメリット・デメリット
- 成果がインセンティブに直結しやすく、高収入を狙える
- 自分の力で市場を切り拓く、大きな達成感を味わえる
- 常に新しい人や企業との出会いがあり、刺激が多い
- 断られても次々と気持ちを切り替えられる
- 常に断られるため、精神的なプレッシャーが大きい
- 毎月の売上が不安定になりがちで、ノルマの達成が厳しい
- 常に新しいアプローチ先を探し続ける必要がある
- 成果が出ない時期は精神的に追い詰められやすい
新規営業のきつさは、主に「ゼロからイチを生み出す苦しみ」と「成果が出ない時のプレッシャー」に集約されます。
特に営業ノルマが本当に辛い…。
もちろんノルマを達成できた時の喜びはひとしおなのですが、プレッシャーで夜寝れなかったり、ストレスで胃が痛いなんてことは日常茶飯事です。
目標達成への強い意欲と、失敗を恐れない強烈なチャレンジ精神がなければ、続けることは難しいかもしれません。
あなたはどっち向き?ルート・新規営業の適性を診断
ここまで読み進めて、あなたはどちらの営業スタイルに魅力を感じたでしょうか?
最後に、それぞれの営業に向いている人の特徴をまとめました。
ご自身の性格や価値観と照らし合わせながら、キャリアの方向性を考えてみてください。
ルート営業に向いている人の特徴
- 人と深く、長い信頼関係を築くことに喜びを感じる
- 相手の話を丁寧に聞く「傾聴力」に自信がある
- コツコツと物事を積み上げていくのが得意
- 安定した環境で着実に成果を出したい
- 細かい気配りやサポートをすることにやりがいを感じる
- 物事を長期的な視点で捉えることができる
新規営業に向いている人の特徴
- 新しいことに挑戦するのが好きで、チャレンジ精神が旺盛
- 目標達成への意欲が誰よりも高い
- 失敗を引きずらず、すぐに次へ気持ちを切り替えられる
- 初対面の人とでも臆せずコミュニケーションが取れる
- 成果が正当に評価される環境で働きたい
- 精神的にタフで、逆境を楽しめる
もちろん、これはあくまで一般的な傾向です。
ルート営業でも新規開拓マインドが求められる場面はありますし、その逆もまた然りです。
大切なのは、ご自身の強みや価値観を深く理解し、それを最大限に活かせるフィールドを選ぶこと。
私がこれまで見てきた成功する営業パーソンに共通しているのは、誰もが自分の特性を理解し、自分に合った営業スタイルを確立しているという点です。
あと「新規開拓営業が楽しい!」と言っている営業マンは、ほぼすべからく「街中でのナンパが好き!」という人でした。
つまり相手から断られることに慣れており、目的を達成するためには何度でもくじけずにチャレンジできる強い精神力を持っている人ということです。
逆説的に言ってしまえば、一人でナンパができるような精神力を持っている人であれば、新規開拓営業でも結果が残せるということです。
ぜひ、この診断を自己分析のツールとしてご活用ください。
まとめ
今回は、ルート営業と新規営業の違いについて、仕事内容から「きつさ」の種類、そして適性まで詳しく解説しました。
最後に、この記事のポイントを整理します。
- ルート営業は既存顧客との関係を深める「農耕型」、新規営業は新たな顧客を開拓する「狩猟型」の営業である。
- ルート営業のきつさは「人間関係から逃れられない重圧」、新規営業のきつさは「常に断られる精神的プレッシャー」にある。
- 安定志向で関係構築が得意ならルート営業、チャレンジ精神旺盛で成果主義を望むなら新規営業が向いている傾向がある。
ルート営業と新規営業という仕事に優劣はありません。
どちらも企業の成長に欠かせない、誇り高い仕事だと思います。
この記事を通じて、それぞれの仕事の魅力と厳しさを正しく理解し、あなたが”営業(セールス)”という世界で輝くための最適な道を見つける一助となれば幸いです。













