
営業部長は経営戦略上で重要なポジションといえます。ある意味では社長の次に重要なポジションといっても過言ではありません。
そこで今回は、営業部長が持つべき心得や考え方、資質などのチェック項目を詳しく解説していきたいと思います。
概要
その1:営業部長の役割
営業部長の仕事ですが、営業部長というのはその名の通り営業部の長であり営業部のトップとして、営業部全体を統率する役割があります。
つまり、営業部でも一課・二課・三課などと分かれていた場合、課長はその課のみで良いですが、部長になるとそれら全てを統率しなければいけないということになります。
実質的には課長や係長などに実務を任せることになりますが、営業部長もチームメンバーをサポートし引っ張っていく存在です。
大きな会社では営業本部長という肩書きや役職がある場合もあります。
この場合、営業本部長は執行役員などの取締役クラスが兼務することも少なくありません。
営業部長は責任が重い
営業部長の最大の役割は会社の売上を最大化させることです。
営業部は会社の売上を左右する仕事になりますので責任が重く、会社の売上を最大化させることが出来なければ営業部長としての存在意義が問われることになります。
営業部長は現場の管理者として目標を立て、その高い目標を達成させなければいけないので、プレッシャーが大きく、ストレスも多い役割です。
気になる営業部長の給料についてですが、これは会社の給与システムによっても変わりますが支店長クラスと同程度になることが多いでしょう。
従業員1,000人以上の大企業の部長となると、平均年収で1,000万円を超えることも少なくありません。
役職を利用する
営業部長とはいえ、まだまだ個人技のプレイングマネージャーという人もいます。
しかし、名刺には「営業部長」「営業責任者」という肩書きを使うことができるようになります。
これは大きなアドバンテージです。
このメリットを営業活動に100%活かしていきましょう。
営業部長と聞けば、相手のイメージは「決裁者」になります。
よって、即決営業ができるということになります。
営業部長であれば値引き対応も含めて決裁権があるはずなので、その場で商談をまとめる即決営業ができるはずです。
これができないようであれば、本当の意味で事業責任者ではありません。
部下と営業同行して即決営業を実践することで、人材育成にも繋がっていきます。
関連記事:即決営業こそが価値|トップ営業マンのクロージングトークとコツ
その2:課長から部長になるということ
課長から部長に昇進するということは、会社内で評価されたことを意味します。
その場合は、給料など年収に関わることだけではなく、チームでの役割や仕事内容にも大きな違いが出てきます。
課長から部長になる前に心得るべき事項は2つあります。
- リーダーシップ
- マネジメント
リーダーシップを身に付ける
1つ目は「リーダーシップ」です。
事業責任者になったからには、その会社の代表者である自覚が必要です。
リーダーシップとは、組織やチームを導く力をいいます。
ここでポイントになるのは「チームを今よりも高みへ導く」ということです。
つまり現状維持になっているようでは、リーダーシップが発揮できていないということになります。
そのような観点では課長にもリーダシップは必要だと思われがちですが、課長におけるリーダーシップというのはかなりプレイヤーサイドに偏ったものです。
つまり今日、明日、今月がこなせればOKというレベルなので、通期で組織を管理することまでは求められません。
「課の管理者」という仕事と「部門経営者」では求められるリーダシップが大きく違うため、一概に優秀な課長が優秀な部長になれるとも限りません。
マネジメント能力が必須
課長から部長になる前に心得るべき事項2つ目は「マネジメント」です。
部長は「マネージャー」「事業責任者」とも呼ばれる立場なので、会社の経営方針や戦略を部下に教育するという仕事があります。
目標を立てて成果を出すために、人の配置や配分といった業務プロセスの設計などの業務マネジメントが代表的なものでしょう。
また、人材マネジメントやモチベーションアップも部長の大切な仕事です。
次期部長や課長の器に相応しい人物を育てていくというものや、働きやすい環境を作るということなどが人材マネジメントに当たります。
他にも、万が一に備えてリスクマネジメントなども求められます。
これらの仕事は全てマネジメントに関連する仕事になります。
つまり、マネジメントとは「組織を管理して現状維持させる」ことなのです。
リーダーシップとは今よりも高みを目指すことなので、上向きのチャレンジ思考です。
それに加えて、「最低でも現状維持する」というマネジメント思考が足されることで、土台がしっかりした組織が出来上がります。
プレイヤーが力を発揮できるよう土台を固めて、さらなる高みへ引っ張っていくというのが営業部長という存在なのです。
関連記事:営業マネージメントの具体的方法|営業マネージャーの組織強化プロセス
その3:部長になれる人の資質
課長止まりではなく、部長に昇進する人にはどのような特徴があるのでしょうか。
まず挙げられるのが、頼られる存在であるということです。
この頼られるというのは、部下からだけではなく上司や社長からも頼られるという必要があります。
部下から頼られるということは、それだけ寛容な性格を持ち合わせているということでもありますし、上司から頼られるということは前向きで行動力や実行力があるということになります。
時には辛い話を説明しなければいけないこともあり得ます。
部長というのは管理職なので、頼りがいのある人物であるということが必要不可欠と言えるでしょう。
関連記事:報告・連絡・相談の違いを徹底解説|上司にはどこまで報連相する?
部下に任せられること
そして裁量権を譲渡できるということも重要なポイントです。
指導者としての姿を見せつつ、自分は黒子(クロコ)に徹するという態度が重要なのです。
時にはプロジェクト単位で部下に裁量権を渡して、責任は自分が取るというくらいの気概が必要です。
このような姿勢を部下はよく見ています。
関連記事:部下に慕われる上司になる方法|部下がついてくるコミュニケーション術
会社で出世する人の特徴
一般的に、部長職に限らず会社で出世する人というのは、判断力や決断力にも優れている傾向にあります。
部長クラスになると、日々の業務を改善することだけでなく、迅速で的確な判断&決断を求められるシーンが増えてきます。
それらの判断や決断が求められるシーンは、会社の業績を大きく左右させる可能性がある重要な局面です。
決断を求められた時に迅速に決断を下せない人は、部長職の資質に欠けているのかもしれません。
というのも、そういったシーンは突如訪れるわけではなく、何らかの予兆などがあるケースがほとんどです。
即断即決できるということは、決断を迫られるシーンまでに準備をしていて、すでに何回も熟考を重ねているということを意味します。
それだけ覚悟があり、当事者意識が強いということでもあるのです。
関連記事:好まれる営業トーク&避けるべき話し方10選|トップ営業マンのノウハウ
その4:部長としての心構え
部長とは出世条件における一つの大きなステップになります。
課長まではプレイヤーとして頑張れば誰でもなれる可能性は高いですが、部長となるとそれ以上のものが求められるため、課長止まりの人と部長になれる人では大きな差が出てきます。
そもそも部長になれる確率というのはどれくらいの確率なのでしょうか。
これは会社の規模などによって異なるものの、おおむね5人に1人程度(20%くらい)というイメージがあります。
つまり、部長職まではたどり着けない人のほうが圧倒的に多くなります。
したがって、部長になれる人というのは、出世レースを勝ち抜いたそれなりに選ばれた存在であると言えるでしょう。
部長になる人の考え方
そんな部長としての心構えですが、まず部長がやるべきことは部下の育成と会社経営を維持させることです。
社員を育成するということは、会社にとって将来的なプラス要因になるものです。
会社を維持するということはプラスマイナスゼロなので、部下の育成に成功して、会社を維持するという両輪が回ればプラスだけが残るという計算になります。
会社が存続でき部下も成長すれば会社全体が成長することになりますし、部下は1人ではなく部の人間全員なので多馬力にもすることもできます。
つまり、部下に指示するだけでなく、チームの関係性を良好にして、自分の分身にできるような仕事術が、部長になる人の条件とも言えるでしょう。
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その5:営業部長がすべきこと
営業部長がすべきこととは一体何のか、高い年収を得ている以上それ相応の役割が求められます。
営業部長がすべきことを端的に言うと「ビジネスの仕組みを構築する」ことです。
前述しましたが部長職では、「リーダーシップ」と「マネジメント」という両軸を回さなければいけません。
このうち、最低限達成しなければいけないミッションは「マネジメント」になります。
つまり、この部分が「ビジネスの仕組みを構築する」ことになるのです。
営業部長になると課長や係長時代のようにプレーイングマネージャーとして活躍していた立場から、マネージャーの立場に意識改革しなければいけません。
いくら優れたプレイヤーであっても、マネージャーとして一流とは限りません。
しかし、マネージャーである以上、自分が仕事しないでも部が回るくらいの仕組みを作る必要があるのです。
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ビジネスの仕組みを構築する
優秀な営業マンが一人いれば、営業部としての成績は上がるかもしれません。
しかしこの方法では、一人のトップセールスマンがいなくなった途端に会社が回らなくなってしまうということが起こり得ます。
そうなってからでは遅いので、営業部長としては個々人のスキルに依存しない、再現性のある仕組みを作る必要があります。
こういった仕組みを作ることによって、それぞれに役割ができて、効率のいい仕事ができるようになります。
このような仕組みづくりを行うのがマネジメントなのです。
もしかしたら自分で動けばスムーズに仕事が進む場面もあるかもしれませんが、そこで出しゃばっては部下が成長する機会を奪うことになります。
営業部長に求められていることは、組織全体をトータルマネジメントをすることなのです。
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