クロージングに使える心理学
営業活動の中で「クロージング」はとても大切なポイントになります。
クロージングには「締めくくる」という意味合いが込められているので、商談をまとめることを指します。
つまり、「買うか?」「買わないのか?」という顧客の意思を確認する最終段階のことを言います。
顧客ニーズをヒアリングして、現在の課題を確認し、必要な解決方法を提示しても、クロージングが上手くいかないと全てが水の泡になります。
クロージングに失敗した場合、それが原因で失注する可能性もあるため、ベテラン営業マンでも緊張する場面だと思います。
このような状況でも、心理学のノウハウはとても役立ちます。
例えば、クロージングで使える心理学には「一貫性の法則」があります。
人は自分が発言した内容に矛盾がないように行動したいと思っているので、その点を利用するとクロージングの成功率が高まるはずです。
一貫性の法則を効果的に実施するには、顧客の要望や意見をどれだけ集められるかがポイントになります。
顧客ニーズを聞き出して、お客様が話した言葉を聞き逃さないようにしましょう。
そして、その言葉をトークの中に盛り込んで「●●の要素が入った製品であれば、購入したいと思いますか?」などの質問をしてみて、肯定的な答えが得られるようにします。
つまり「Yes」を取りにいくのです。
この手法のポイントは、顧客が素直に「はい」といえる質問を実施することです。
その数が多ければ多いほど顧客は断る理由がなくなるので、契約に至りやすくなるはずです。
ただし、あまりお客様を追い詰めすぎると、逆にストレスを感じてしまうので、顧客を論破するような真似は絶対にやめましょう。
クロージングで顧客をさらに引きつけ、さらに興味を持たせるのに役立つのが「希少性の原則」です。
人は珍しいものや、なかなか手に入らないものに価値を感じやすいという特徴があります。
一例として「期間限定」「入荷未定」などと書かれた商品は魅力的に思えますよね。
「今買っておかないと買えないかもしれない…」と感じて、ほとんどのケースで購入に至るのは周知の事実だと思います。
自社製品やサービスに希少性があれば、その点を強調すれば契約の後押しになるかもしれません。
おすすめの心理テクニック
前述の5つの王道といわれる心理テクニックの他に、トップセールスマンがよく利用する行動心理学があります。
その一つがアンカリング効果です。
アンカーは船の錨を指しますが、船は一旦錨を下すとほとんど動かなくなります。
これと同じような状態をアンカリングと言いますが、顧客の深層心理にアンカーを落とすようなイメージになります。
人は最初に目にした数値やデータを基準にする習性があるので、それを営業活動に応用してしまうのです。
例えば以下のような使い方があります。
複合機は2年に1回ぐらい新機種に入れ替えるのが普通なのですが、御社の複合機は何年ぐらい使っていますか?
複合機を何年使おうがユーザーの勝手ですし、入れ替え年数はあくまでも目安なので、それを守る必要はありません。
もちろん、2年を超えたところで、複合機は全然使えると思います。
しかし、営業パーソンは複合機のリプレイスがしたいので、あらかじめ「複合機は2年に1回入れ替えるのが常識です!」というアンカリングをしておくのです。
もしお客様が複合機を2年使っていれば、顧客の潜在意識には「そろそろ入れ替えた方が良いかもしれない」という意識が芽生えることになります。
このアンカリングをしないで、いきなり「複合機の入れ替えをご検討されませんか?」と提案しても、基本的に「考えていません…」と断られることでしょう。
ホットリーディング
トップセールスマンが好んで利用していて、ビジネスの幅広い分野で使える心理学に「ホットリーディング」があります。
ホットリーディングとは、相手のことを前もって調査しておき、その情報を元に相手との距離を縮めるやり方を言います。
どんな人でもそうですが、共通の話題があると、相手に親近感を持ちやすくなりますよね。
そうなると、商談もスムーズに進めやすくなります。
具体的なホットリーディングのやり方ですが、例えば、自社の商品やサービスに関する話より前に、顧客の実績や扱っている製品など良い点を褒めたり、自分の営業活動に結びつかないことであっても、顧客が興味を持っている内容に触れるようにします。
そうすると、シビアな現場であっても、相手との距離を短くし、商談を成功に結びつけることができるのです。
おすすめの心理学本
心理学は基礎心理学や応用心理学などの分野があり、広範囲に学ぼうとすると膨大な時間がかかります。
営業を仕事にしている人は、自分の仕事に役立つ分野をピックアップして学ぶと良いでしょう。
その点で役立つのが、営業の仕事に特化して記載された書籍です。
例えば「心理学者しか知らない すごい!営業」は、行うべき結論を最初に示してから、その証拠となる事例が列挙されているので、忙しい営業マンが読むのに適した本といえるでしょう。
また「売れすぎて中毒になる 営業の心理学」は、顧客の側から見た営業のアプローチの視点が書かれているので、どうしたら営業成績を上げられるかを知るヒントになるはずです。
加えて、営業活動を阻害している要因に対処する方法などを学ぶことができます。
そして、口下手な人が売上を伸ばすのに役立っているのが、メンタリストDaiGoの著書である「トークいらずの営業術」です。
この本は観察力・判断力・行動力・説得力・忍耐力の5つに絞った記載で、トークに苦手意識を持つ営業マンに力を与える内容となっています。
まとめ
ここまで営業活動で使える心理学について解説してきました。
トップセールスを目指すためには、心理学をうまく活用した方が絶対に良いと思います。
これは断言できます。
ぜひこの記事をきっかけにして、驚異的な営業実績を叩き出してください。