ONE PIECEに学ぶ仲間の集め方
ワンピースが人気になった理由はいくつかあると思います。
- キャラクターが魅力的
- ストーリーが面白い
- 伏線の回収が見事
これらが代表的な理由だと思いますが、その他にも「とにかく熱いから好き」とか「仲間を大切にしているから好き」という理由もあると思います。
人間は誰しも一人では生きていけません。
なのでルフィのように、たくさんの信頼できる仲間が欲しいと思うのは当然だと思います。
もちろん仕事においても仲間は重要です。
「チームワーク」という言葉があるように、信頼できるメンバーが必要なのです。
それでは、どうすれば麦わら海賊団のようなメンバーが集められるのでしょうか?
ルフィは旅をする途中に仲間を増やしていきましたが、そのやり方はとてもシンプルでしたよね。
ズバリ「海賊王に俺はなる!」と言って回っただけです。
これはルフィにとっての夢であり、目標なのです。
この言葉を聞いたゾロやサンジは、それに共感して一緒に旅をしようと決めたのでしょう。
これを企業経営に直した場合、夢というのは”ビジョン”に当たります。
ビジョンとは10年後、20年後先の未来へ行って、そこで実際に見てきたかのように語れる具体的なイメージのことです。
これが企業にとっての夢なのです。
それを実現するために日々頑張っているはずですが、この「何をしたいのか?」という目標が明確でない限り、それに共感する人は現れないので、優秀なメンバーを集めることもできないのです。
チームメンバー全員の信念が大切
前述したとおり、ルフィには「海賊王になる!」という夢があります。
これはある意味で『絶対に曲げない信念』だとも言い換えできます。
例えばゾロには「世界一の剣士になる」という夢があり、サンジには「オールブルーへ行く」という夢があります。
- ルフィの夢:海賊王になること
- ゾロの夢:世界一の剣豪になること
- ナミの夢:世界中を航海して、自分で世界中の海図を描くこと
- ウソップの夢:勇敢な海の戦士になること
- サンジの夢:伝説の海”オールブルー”へ行くこと
- チョッパーの夢:何でも治せる医者になること
- ロビンの夢:空白の100年の謎を解き明かすこと
- フランキーの夢:師匠を超える船を作り、その船で世界の果てまで行くこと
- ブルックの夢:グランドラインを一周して、クジラのラブーンと再会すること
このように各キャラクターそれぞれに夢や信念があり、それをみんなに宣言しているのです。
これは心理術で言う『コミットメント効果』に当たります。
コミットメント効果とは、何か新しいことを始めるときや、目標をやり遂げたい時、その意志を誰かに宣言(コミットメント)することでそれが実現しやすくなる効果のことを言います。
なぜ実現しやすくなるのかといえば、それを聞いた仲間が手助けしてくれるようになるからです。
もちろん自分自身を追い込んで、最大効率を発揮するという側面もありますが、前述した通り自分一人で大事を成し遂げることはできないので、基本的には誰かに助けてもらいながら頑張ることになります。
その支援者は多ければ多いほど良いですよね。
このようにチームメンバー全員が、自分なりの信念を持ち、それをコミットメントすることが結束力になっていくのです。
逆にONE PIECEの世界観では、自分の考え方や生き方に信念を持っていないと、仲間として認めてもらえないようにも見えます。
お互い率直に意見をし、時にはぶつかり合って喧嘩をすることもありますが、それでも後には笑い合えるような人間関係が出来上がっているのです。
このことから理解できるのは、チームとは『数の理論』ではなく『質の理論』だということです。
どれだけ固い結束が出来上がっているのかが、チームの質を左右するのでしょう。
なぜルフィについて行くのか?
前述したとおり、麦わら海賊団のメンバーにはそれぞれ夢があります。
しかしよく見るとその夢はバラバラで、一見すると足並みが揃っていないようにも思います。
この事実は、きっとチーム作りするときの参考材料になるはずです。
そもそもルフィは麦わら海賊団を構成するため、どのような判断で船員をスカウトしているのでしょうか?
それは『自分に足りない部分を補う』という考え方に基づきます。
おれは助けてもらわねェと生きていけねェ自信がある。
これは作中にルフィが言ったセリフです。
ルフィは船長ですが、自分一人で物事を成し遂げることができないことは十分理解しているようです。
なので船旅をするために必要な航海士(ナミ)をスカウトしたり、長い航海をするために必要な料理人(サンジ)をスカウトしたり、病人を看病する船医(チョッパー)をスカウトしているのです。
それに付随して信念(=夢)がある人物をチョイスしているのだと考えられます。
例えば、ゾロの夢は『世界一の剣豪になること』ですが、ゾロが世界一の剣豪になってくれれば、ルフィの夢である『海賊王になる』という夢にも一歩近づきます。
そう考えた場合、よく議論になっている「なぜビビを仲間に入れなかったのか?」というのも腑に落ちますよね。
ビビはルフィにとっての『不足している部分を補う』という役割が欠如しているのです。
そしてビビには、アラバスタの王女として国を再建するという役割があるので、同じ船に乗せる理由がなかったのです。
先程ご紹介した麦わら海賊団メンバーの夢を覚えているでしょうか?
- ルフィの夢:海賊王になること
- ゾロの夢:世界一の剣豪になること
- ナミの夢:世界中を航海して、自分で世界中の海図を描くこと
- ウソップの夢:勇敢な海の戦士になること
- サンジの夢:伝説の海”オールブルー”へ行くこと
- チョッパーの夢:何でも治せる医者になること
- ロビンの夢:空白の100年の謎を解き明かすこと
- フランキーの夢:師匠を超える船を作り、その船で世界の果てまで行くこと
- ブルックの夢:グランドラインを一周して、クジラのラブーンと再会すること
これらの夢は、ルフィーと一緒に航海することで叶えられる可能性が高い夢ばかりです。
これこそがルフィについて行く理由になっています。
それぞれ夢はバラバラですが、目指すべき方向性は一致しているので、その道の過程でそれぞれの夢が実現する可能性が高いということです。
会社経営もこれと同じで、チームメンバーを集める場合には『それぞれの夢(=やりたいこと・実現したいこと)』を把握しなければいけません。
そして一緒にいれば夢が実現できる可能性の高いメンバーだけを採用するのです。
このような組織は、お互いが自分に不足している部分を補い合っている関係性なので、とても強い絆が出来上がるはずです。
仲間の助けに応えるリーダー
ONE PIECE には数々の名場面がありますが、序盤の名場面と言われているのがナミとアーロンの『魚人編』です。
ナミが仲間になる前、住んでいた村が魚人族のアーロンに支配されていました。
母親代わりのベルメールさんが殺されてしまい、ナミはたった一人でアーロンから村を取り戻すことを決意します。
その金額は1億ベリーでしたが、そのお金を貯めるためにアーロンの元で海図を描きながら、海賊相手に泥棒を働いていたのです。
ところが、あと少しで1億ベリーというところで、悪党のアーロンにお金を全て没収されます。
つまりこれまでの努力が全て水の泡になったのです…
ナミはとても勝気な性格なので、これまで弱音を吐くことは一切ありませんでしたが、この時ばかりはルフィに泣きながら「助けて…」と言ったのです。
その言葉を受けて、ルフィは「当たり前だ!!!」と言ってアーロンを倒しに向かいます。
このような場面がONE PIECEでは多く描かれているのですが、この時ルフィは必ず仲間を助ける動き方をしています。
これはリーダーシップという観点で考えた場合、とても重要なポイントだと思います。
人間は誰しもトラブルに巻き込まれたくないので、助けを求められたとしても話を聞き流したり、その人との距離を置いてしまいがちです。
しかしそれは、ある意味で『絆を強めるチャンス』だとも言えるのです。
もしリーダーが助けに応じた場合、それなりの覚悟をするはずなので、その姿をチームメンバーはしっかり見ているということです。