目次
11:人はみな、それぞれ与えられた天職がある。
この言葉は、山本五十六が後輩に対して発した言葉です。
この言葉には続きがあります。
人はみな、それぞれ与えられた天職がある。
職分をいかに巧みに処理するかによって、その人の値打ちが決まる。
何事に直面しても工夫し啓発していく心掛けが必要である。
山本五十六は部下を信頼していたと言われます。
指揮官は部下の個性をいかに引き出すかを考慮して、その期待に応えるように部下は与えられた職務を全うする。
たとえ困難な壁があったとしても、自ら創意工夫することで「必ず乗り越えることができる」という考え方だったのです。
何事も真剣に取り組んでいた山本五十六らしい言葉だと思います。
12:勝つ時が来るのを、長時間待って居る忍耐が大いに大切なのだ。
これは山本五十六の賭博哲学を説明した言葉です。
山本五十六の口癖は「絶対に勝ち抜こうとする気魄(きはく)を持て」というものでした。
これは何事に対しても一緒で、博打に対しても同じでした。
山本五十六には、勝負事の処世訓とも言うべき三徳があります。
- 勝っても負けても、冷静に物事を判断する修練ができる
- 機を狙って、勇住邁進、相手を撃破する修練ができる
- 大胆にして、しかも繊細なるべき習慣を養うことができる
ギャンブルすらも単なる「賭博」と考えず、哲学的な考え方で自分の糧にしていたのです。
13:人の心は鏡のやうなものだ。
山本五十六は「誠は明らかなり」と口癖のように言っていたそうです。
人の心は鏡のやうなものだ。
鏡は明らかである。
誠意には誠意がうつる。
この言葉は人間関係を端的に表した名言です。
自分が人に接する態度は、そのまま自分自身に跳ね返ってくることを意味しています。
14:やって見せ、説いて聞かせて、やらせてみて、讃めてやらねば、人は動かぬ。
この言葉は、山本五十六の中でも一番有名な名言だと思います。
山本五十六いわく、仕事を教える場合には讃めてやることが大切だと言います。
「讃める」ということは馬鹿な人をおだてるということではなく、共に喜ぶことなのです。
一般的な「褒める」という言葉ではなく「讃めて」という表現にしているのは、そのような意味合いが込められているのです。
15:話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
この言葉は「 やって見せ、説いて聞かせて、やらせてみて、讃めてやらねば、人は動かぬ。」に続く言葉として有名です。
経営者やマネージャーは部下を動かさなくてはいけません。
しかしいつまで経っても自分が動かすのでは、一向に楽になりません。
なので、部下に成長してもらう必要があるのです。
そんな時に使える教訓がこの言葉になります
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。」
部下のことを信頼し、任せていた山本五十六らしい言葉だと思います。
16:国産品を使え!
山本五十六が海軍の航空本部技術部長時代の発言です。
国産品を使え!
でないと日本の航空は独立もしないし、発達もしない。
山本五十六は、航空機の部品を全て国産品でまかなうことを主張しました。
しかしそれだけではなく、外国の先進的な技術には惜しみなく特許料を支払い、長所を取り入れる柔軟性もあったのです。
その結果、有名な零式戦闘機(=ゼロ戦)が出現することになりました。
17:人としての意義がある。
この言葉は、生まれ故郷である新潟県長岡市の商人に向けた言葉です。
君は勤勉努力して産をなされたそうだが、国家人類のためその財を善用して、初めて人としての意義がある。
商人は金を稼ぐのが仕事ですが、ただ自分が儲かれば良いというわけではありません。
それを社会に還元してこそ、初めて一人前だと言えるのです。
18:天下の大事を託すには足らず。
これは、陸軍士官学校を卒業したばかりの青年士官から、軍人生活の過ごし方について聞かれた時の回答です。
女の子供からチヤホヤされたりして、有頂天になるような人間では、とても天下の大事を託すに至らず。
女の子供とは「若い女性」を意味しています。
若い女性の尻を追いかけているようでは、大義を成せないという意味合いが込められた言葉です。
その時山本五十六は、
- 酒
- タバコ
- 女性
との付き合い方についても回答したそうです。
ちなみに、女性との付き合い方については「三十歳までは独身であることを希望する」と言ったそうです。
これは恐らく戦時中だったので、「自分が死んで悲しませないように…」という人への思いやりも含めた回答だったように感じます。
19:世に成敗を問はず全力を尽くす
この言葉の意味は「成功、不成功を問わずに最善を尽くす」ということですが、山本五十六が連合艦隊司令長官に就任した時に言った言葉です。
山本五十六は連合艦隊司令長官に就任してから、1ヶ月ほどはその重責から安眠することができなかったそうです。
ちょうどこのタイミングはアメリカとの緊張関係が高まっており、開戦間近と言われている時期でした。
山本五十六はアメリカ軍の強さを知っていたので、絶対に戦うことを避けようとしていたのです。
しかし、1ヶ月ほど経つと、無事に安眠することができるようになったそうです。
というのも、アメリカ軍に勝てる秘策を思いついたからです。
その結果、日本は真珠湾攻撃に突入していきます。
「世に成敗を問はず(=成功、不成功を問わず)」という言い方になっていますが、山本五十六は責任感が強い人間なので、恐らく「勝つ為に全力を尽くす」ということを控えめに表現したのだと思います。
20:男の修行
この言葉も非常に有名な名言だと思います。
苦しいこともあるだろう。
いいたいこともあるだろう。
不満なこともあるだろう。
腹の立つこともあるだろう。
泣きたいこともあるだろう。
これらをじつとこらえてゆくのが
男の修行である
日比激しく猛烈な訓練に耐える兵士のために、山本五十六が書いた一文だと言われています。
兵士を慰めるだけではなく、自己の役割を説いたのがこの言葉です。
我慢するのは大変ですが、それが男の生き様だと説いたのです。
言い伝えによると、軍艦のトイレに貼ったのを兵士が見ていたそうです。