ファシリテーションのやり方
ここから具体的なファシリテーションのやり方について解説していきたいと思います。
まずファシリテーターがやるべきことは、会議の参加者の意思統一です。
『この会議は何を目的にしているのか?』というのをクリアにし、出席者全員に周知させるのです。
ここで重要なことは『自己中心的な意見を控える』ように促すことです。
自己中心的な意見とは以下のようなものです。
この会議では、各自がそれぞれ自分の主張ばかりしていますよね。
それぞれ自分の立場を守るため(社長に怒られたくない、自分の仕事を増やしたくないなど)に、その責任を他担当者へ押し付けようとしているのです。
参加メンバーの目指すべき方向性が一致しておらず、これでは「一枚岩のチーム」と呼べる状況ではないと思います。
なので、ファシリテーターは会議の冒頭で以下のことを明確に伝えなければいけません。
- 会議の目的
- 会議に求める成果
- 参加メンバーが召集された理由
会議の参加者にこれらを伝えて、まずは納得感を持って会議することが必要なのです。
それによって参加者全員が同じ方向を向くので、ファシリテーターの求める成果が出やすくなるのです。
中立的な立場であること
ファシリテーターは中立的な立場でなければいけません。
例えば対立する二つの意見(AとB)があった場合、どちらか一方に加担してはいけないのです。
ファシリテーターは会議全体をコントロールする立場なので、どちらか一方に加担してしまうと公平な会議が実現できなくなります。
なのでファシリテーターとして立ち回る場合には、自分の主観は一旦横に置いておきましょう。
とはいえ、ファシリテーターも自分の意見が言いたいことはありますよね。
その時には、自分の意見を述べても構いません。
ただし、それはあくまでも自分個人の意見であり、ファシリテーターとしての意見ではないことを自覚しておきましょう。
ファシリテーターが「自分の意見は正しい」と決めつけたり、その方向に持っていくように全体を誘導することは、原則的にNG行為なのです。
ファシリテーターは常に中立公平な立場で、会議全体を俯瞰的に見るようにしましょう。
会議をマネジメントする
ファシリテーターは会議の成果を求めなければいけません。
そのために必要なのが会議全体をマネジメントすることです。
具体的には下の4つをコントロールする必要があります。
- 議論の時間
- 議論の内容
- 議論の道筋
- 議論の参加者
特に『議論の時間』には神経を使うはずです。
会議には『所定の時間』が設定されていると思いますが、ファシリテーターは必ずその制限時間を守らなければいけません。
熱くなった参加者は時間を気にせずに意見するケースがあるので、そのような場合には途中で話を遮ることも必要だと思います。
会議に脱線はつきものですが、それを軌道修正させて、タイムマネジメントすることがファシリテーターの腕の見せ所だと言えます。
そう考えた場合「理論の道筋」をあらかじめ想定しておくことが求められます。
「〇〇さんと▲▲さんが参加する会議だから、おそらく着地はこの辺りになるだろうな…」と目星をつけておくのです。
それを想定して時間配分を決めておき、議論が本筋から反れないようにコントロールしていくのです。
そして参加者自体をコントロールすることも重要です。
人間には感情があるので、どうしても感情的になってしまう人が一定数出てきます。
そのような状況でもファシリテーターは冷静に判断し、本筋から逸れないようにコントロールしていくのです。
そして参加者の誰かに非難が集中した場合、ファシリテーターはその人を守る義務も負っています。
会議というのは誰かを非難したりつるし上げる場ではないので、そのようなことに時間が無駄遣いされることを防がなければいけません。
あと会議に対して積極性が見られない参加者を促す役割も担っています。
発言をしないということは「会議に興味がない」「反対意見を恐れている」「何も考えていない」などのケースが考えられますが、ある程度を予測をつけながら参加者全員が活発に意見交換できる場を作り上げるのです。
そのような前提に立った場合、ファシリテーターは参加者全員の属性を把握しておく必要があるはずです。
どのような立場の人で、どれほどの権力を持っていて、どんな性格な人なのか、などをリサーチしておくのが理想的でしょう。